インターネット業界-コンプガチャ問題よりも、案外、アベノミクスが逆風?

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インターネット業界の速い流れに関連した求人の動きについてお伝えします。

たった1年で大きく常識が変化してしまうインターネットビジネス。この1年でもアンドロイドベースのスマートフォンがiPhoneとシェア逆転し、一方で、無料通信ソフトのLINEが利用者1億人を突破など、新たな話題に沸いています。さて、そうした流れと求人ニーズはどのように関連しているのでしょうか。レポートはHRmics編集長の海老原です。※2013/04/04の記事です。

プラットフォーマーのくびきからの解放

EC(eコマース)に始まり、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)や、ネットゲーム、無料通信コミュニティソフトなど、さまざまなビジネスが普及し始めたインターネットサービスが、昨今その進化のスピードを増している。

昨年の夏前に、未成年の射幸心をいたずらにあおり、高額な出費を促すとネットゲームが問題視されたとき、この業界もそろそろ成長の曲がり角に来たのか、と感じたことが嘘のようだ。そもそも、規制対象となった、有料のクジ形式でカードを手に入れ、それでゲームを戦い抜く形の「コンプガチャ」はネットゲームを手がける企業において、その屋台骨を揺るがすほどの売上シェアを誇っていなかった。そのため、この規制強化は、業界全体にそれほど大きな影響を及ぼさなかったのだ。

さて、では、ここ半年、どのようなエポックが起きているか?

まず、利用者の環境が大きく変わった。たとえばネットゲームでも、それまではPSP(プレイステーション・ポータブル)や任天堂DSシリーズのように、ポータブルゲーム機を利用することが主であった。もしくは、パソコン経由でネットゲームを利用する場合でも、そのソフトウェアは、サイバーエージェントやGREE、mixiなどの大手SNSサイトを通して提供されることが前提でもあった。ところが、スマートフォン(以下「スマホ」)の普及により、業界の構図が大きく様変わりして来たのだ。

まず、利用端末としてゲーム専用機がもちろん不要になっていく。と同時に、ソフトウェアを手に入れる場としてのSNSが不要にもなっていく。端末はスマホで、それを購入するのは端末由来のアップルストアやgooglePlayなどになるからだ。

結果、ゲーム機やSNSなどのインフラを提供する事業者(=プラットフォーマー)へ支払うロイヤリティや、彼らが決めた仕様などから解放され、廉価で自由にゲームを提供できるようになってきた。

結果、こうしたインフラをもたずに、ゲームソフトのみを開発してきたソフトハウス(SAP/サービス・アプリケーション・プロバイダー)が制約から解き放たれ、その成長スピードを増している。そのため、提供するソフトが充実した。旧来だと、ともすれば、エンタメ一本槍でもあったものが、昨今は、たとえば、教育、健康、趣味、情報サービス、ビジネスなどさまざまな分野でサービスが拡充している。

ただし、利用者からすると、こうした進化・深化は嬉しいものだが、サービス提供者は、自由になった分、さらに事業戦略を練らねばならなくなったとも言えそうだ。なぜなら、ドル箱のエンタメ関連だけでも進化は激しい。 昨年も、パズル&ドラゴンズなどのロープレとカードゲームの融合した新たな遊びのエポックが多々生まれた。多方面に手を伸ばして主戦場がおろそかになると、一気に競合に出し抜かれてしまうのである。

その一方で、教育や健康などで大ヒットが生まれた場合、エンタメのみに固執していれば、業界の流れに乗ることもできなくなる。自由で多彩になれば、経営は楽になるというわけではなく、その分、事業資産をどこに振り向けるか、という悩ましい問題が生まれているようだ。

子世代の影響で、親世代が無料通話→無料メール→SNSの流れ

ゲームの次にウォッチしておかなければならないのは、久々の日本発世界標準サービスとなったLINEについてだろう。すでに、この利用者は1億人を超えている。Facebookの普及スピードを凌ぐ勢いだ。「SNSって何のためにやっているの?」と冷ややかに見ていた熟年世代にまで広まっている。その理由はなぜか?

そこには、親子を通した世代間普及という新たな流れがあった。まず、すでに子供にスマホを持たせる親は増えている。その際、通話料金の高さに閉口した経験を持つ人も多い。こうした中で、電話会社を問わず通話が無料、ショートメッセージも無料のLINEは親子双方にとって、電話料削減の強い味方となる。

普段なら、そうした新手のサービスに対して警戒感を持ちがちな親世代も、無料なら、ということで娘・息子のLINE参加を許容する。そして、子供がLINEに入ったため、親子間の連絡もLINEを使う人たちが増えていく。何せ無料なうえに、たとえばショートメッセージに画像やインターネットのURLの貼り付けなどもできるのだから、通常の電話会社提供のメールサービスよりもよほど便利だ。

しかも、新たに電話帳を作成する必要もなく、今の電話帳をそのまま使えもする。こうしてこのサービスを普通に使うようになっていき、その中で、子供のメールの送信元を示す写真をクリックすると、いつの間にか、子供たちのホームページに行き着く機能を知り、そこで、子供たちの近況を読み込むようになる。

そう、フェイスブックで行われているのと同じ行為に、いつの間にか浸かって行くのだ。そして、タイムラインにつぶやくと、返事が来る。ツイッターのようにいきなりオープンな環境でつぶやくのははばかられても、電話帳に登録している知人にのみ、つぶやけるこの仕組みなら、それほど恐怖感もない。こうして、親世代をも本格サイバー空間に引き入れていった。その結果が、あっという間の利用者1億人という快挙を生んだ。

もちろん、頭のいいサイバービジネス事業者が、この強大なコミュニティをほっておくわけはない。こうしたメールでのやり取りに、スタンプという絵文字(記号)を打つ行為が流行りだし、このスタンプを売る事業者が生まれた。

さらには、広告目的で、有名企業も自社もしくは自社製品などの可愛いいスタンプを作り提供をするようになる。ミュージシャンや小説家なども自分の作品のスタンプをプロモートに利用するようにもなった。とにかく、こんな形で、ちょっとしたアイデアが一攫千金となる可能性大。LINEや同様の仕組みのCACAOトークなどは、今後も次々にヒットサービスを生み出す可能性を感じさせる。

諸作法よりも機動性とアイデア、という楽しさ

さて、ではこうしたスマホ上で展開される新サービスを開発するための人材はどうなっているか?

もちろん、こうした活況下では求人は増えている。そして、その求人への応募も一昔前に比べると格段に増えだしているのだ。

今から10年ほど前に携帯電話向けソフトウェアは、「アプレット」と呼ばれていた。アプリケーションほどの大きな開発ではないので、「ちょっとしたもの」という時に付ける接尾語の「let」を接続した造語だ。そのため、本格的なSEたちからは、この小さな開発はあまり歓迎されはしなかった。ところが、その状況が変わってきているのだ。

まず、利用環境がスマホになったとはいえ、今でも通常のソフトウェアと比べると、開発規模はそれほど大きくはなっていない。デザイナー、プランナーとプログラマー、SEを併せても総勢10名にも満たないチームで開発は行われる。精緻で大量にモジュールを組み上げる仕事とはいえないだろう。そのため、そうした技術的深みを志向するSEからはやはりそれほど歓迎はされない。

ただし、もう一方の観点ではSEのハートを刺激するファクターがある。ネットでリアルタイムにユーザーとつながることができ、しかもその数は常時数万以上になる、という醍醐味だ。

結果、瞬時に何万件ものフィードバックが寄せられる。使われて、楽しんでもらえ、その上、感想が分かる、という楽しさだ。ひとつの改良や工夫がどう受けて、そこから波及が起きるかも毎日見ている。それがやりがいであり、「勘」につながる。しかも開発自体は少人数だから、引き継ぎのためのドキュメント作りに追われるような周辺作業に時間を費やす必要もない。

そしてそれが、大きなビジネスになる。

しかも、こうして「勘」を鍛えられているから、SEの意見をプランナーもデザイナーも尊重する。何せ、スピードが命であり、また実現可能性や反響率などはSEしかわからないのだから。

一般的なビジネスソフトであれば、ユーザーの意見やプロジェクトマネジャーの方針が鉄の掟で、SEの声が反映されないフラストレーションがあることと比べて、やはりやりがいがある開発環境といえるだろう。

しかも、こうした勘と経験を活かしてプランナーへ転出という道もあり、そうなれば一攫千金も夢ではない。

もちろん、そんな、マネジメント職務など望まないSEも多いかもしれないが、それでも、業績連動給で成果に応じて、思わぬボーナスを手に入れることもできる。だからやりがいにつながる。


こうして、新サービスが随時生まれ、そこに人も集まり出したこの業界は、今後もしばらくは、同じようなペースで進化が続くと思われる。

そこで一つ疑問が生まれる。世はアベノミクスで景気が上向きだが、この景況はネットビジネスの進化にどう影響するか、だ。

実は、好景気については、案外、ネットの進歩に水をさす可能性があるという意見を聞いた。不況で家にいる時間が長いから、その暇つぶしにとか、もしくは、ネットを利用して執念で最安値商品を探すとか、サイバー空間には景気がよくない時ほど人が集まる、とも言われているからだ。その点では、パチンコビジネスにも似ているとも言えそうだ。言われてみれば、サイバービジネスにはラグジュアリーさを売りにするサービスが少ない。このあたりへのリーチが、ここ1、2年の課題となるのかもしれない。

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