金融業界-風向きが変わる直前の無風

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金融業界の転職市場は「順当な転職」が増えつつあるようです。

業界トレンド講座、今回は半年ぶりに金融業界をレポートいたします。
海の向こうでは、ギリシャの財政悪化にともなう国債暴落リスクにEU全体が揺れ、一方アメリカでは、ゴールドマンサックスがSECから訴追を受ける、という激震が走る。金融崩壊の第二ラウンドか、と不安におののく中、日本の金融業界は折からの不況回復を受け、順風満帆といったところ。レポートはおなじみHRmics編集長の海老原です。※2010/05/06の記事です。

戦国的様相だった昨年の金融業界採用事情

金融業界-風向きが変わる直前の無風

不況風が強く吹きまくった昨年、金融業界では採用の勢力図が大きく変わった。普段だとなかなか人が採れないフルコミッション系の外資系生保(カタカナ生保)が、採用競合が減った今こそがチャンス、と猛烈に戦線を伸ばし、若手未経験者市場を席巻。業界経験者についても、損保から転じた業界後発である「ひらがな生保」が、大きく採用数を伸ばし、損保が得意とするチャネルである自動車ディーラーや税理士などへの間接営業スタッフの拡充に成功した。

一方で、金融に全く関係のない、他業界の中堅・ベンチャー企業が、財務責任者として銀行出身者を採用する、などという突発的採用成功事例も多々生まれたのがこの時期だ。
年度後半になると、今度は監査法人が、リスク監査ビジネスのために、金融スペシャリスト採用を強化。
まさに、従来のメインプレイヤーが採用を小休止させる間隙を縫って、新たな主役が次々と生まれる、という一年だった。

この戦国的勢力争いが最近ようやく終息に向かい、業界全体が落着きを取り戻しつつある。

変調の理由は3つ挙げられるだろう。
まずは、外資系銀行を中心としたリストラにより、採用市場に業界経験者が多数参戦したこと。一方で、景気回復の本格化にともない、投資熱も回復を始め、業界全体に「実弾」が回りはじめたこと。そして、ちらほらと若手採用を始める企業が現れ出し、少し前のように、「若手採用はカタカナ生保の一人勝ち」という状況がくずれたこと。

この3つが合わさり、結局、業界経験者がもといた企業と比較的近い分野に転職する、という「元さや転職」が多くなりだした。意外性の少ない妥当な勢力図に戻りつつあるのだ。

ありがちな業界内採用に落ち着く今年

まず、フルコミッション営業を多数採用した「カタカナ生保」だが、こちらは採用巧者らしく、はじめから若手未経験採用は、「不況で競合が少ない間だけ」と決めて、この間に余すところなく採用戦線を伸ばすことを期したフシが見られる。そこで、景気回復期に当たり、競合激化の前に、早々に「充足宣言」を出した、そんな状況といえるだろう。

かわって現状では、株価回復を受けて利回りが向上する「変額年金」が業界の売れ筋として浸透し、こうした商品を作る生保が、都銀や信金などに間接営業を行うスタッフの拡充を始めた。こちらは、都銀や信金に詳しい銀行出身者か、変額年金に詳しい生保出身者を狙い撃ちする、という「経験者採用」の流れを強く意識させる。

もっと近い領域からの採用をしている業界もある。たとえば、外資系銀行のリテール部門だが、こちらは昨年秋ごろまでにリストラを一巡させ、その結果、冬に求職者があふれる状況となった。ところが、折からの景気回復と株価上昇により、体力が復活した外資系都銀リテールが、春先より採用を再開することになった。そこで、同業ライバル同士が、かつての同業ライバル在籍者をお互いに採用し合う、というクロス採用が盛んに行われている。

もう少しスペシャリスト色の強い高年収ゾーンでも、数は多くはないが、採用が復活しつつある。投資銀行における為替ディーラー、トレーダー、ファンドマネジャーなどがそうだ。こちらは、景気がよくなればいつものように起きる「大手→大手」の半ば引き抜き合戦といえるだろう。

あと目立った動きとしては、連綿と続く金融規制強化・市場透明化の政策に沿って、ほふり(証券保管振替機構)などの半公的機関が、金融商品の取引インフラを拡充させる動きの中で、顧客の利便性向上を図るために、この仕組みのカスタマーである銀行・証券出身者を採用する、というやはりこれまた定番の「経験者」採用が、中規模で行われている。

現在は、こうした業界内の「ありがちな」人材移動が、極地的に繰り広げられている状況で、大きく目立った新しい動きは、現れていない。

なりを潜めている「未経験者採用」については、国内証券の一部で、契約社員という形で細々と進んでいる程度。まさに風が止まった状態だろう。

本格的に新たな動きが生じるのは、昨年採用したカタカナ生保のフルコミッション営業スタッフが、一人前の「業界経験者」に育った今年後半。そのころには、上記の国内証券「未経験」契約社員も独り立ちをはじめる。こうした「終(つい)の住処(すみか)」を探す若手経験者が市場にあふれ、しかも、景気が一段高になるころまで、ひとまずこの凪(なぎ)は続きそうだ。

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