金融マーケット「採用成功の縮図が見える」(前編)

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他業界から見ても「採用成功のヒント」となりうる金融業界の採用について見ていきます。

採用や教育など人事関連の実務に追われて忙しい毎日の皆さまに、広くビジネス全体を知っていただく機会をご提供していきます。今回は金融業界です。ビジネスの動きを知ることで、明日の人材の動きも、よりはっきりと見えてくるのではないでしょうか。この連載は、HRmics編集長の海老原がレポートします。

金融にいる人は、全員が異能人材?

アメリカのサブプライムローン破綻で始まった、07年末以降のアゲンストな環境を金融不況と呼ぶのは社会のすみずみまで定着している。不況の元凶となった金融業界は、そのころ「人など動いていなかった」と皆さん想像されているのではないだろうか。

ところが・・・。もともと金融マンは、市場価値が高かった。そして、特に国内系大手金融機関では、従来、転職意向が少なく、なかなか人材流動化が進まない分野でもあった。そうした動きの鈍い業界に、不況の荒波が押し寄せたことによって、様々な細流が生まれ、そうした支流を全部合わせると、それなりの太い川が出来上がりつつあった。そのさまは、他業界から見ても「採用成功のヒント」として参考になるはずだ。

では、なぜ、金融マンは市場価値が高いのか?難しい金融工学やファンド合成などの稀有な人材なら市場価値が高いのはよく分かる。ただ、一般的な銀行マン―ホール系のそこそこのディーラーでも、若手の個人営業でも、中堅の法人営業でも、三顧の礼をもって迎える企業が少なくない。それはなぜなのか。簡単に書いてみよう。

中堅金融マン-交渉がうまい財務部長候補

つまり、中小企業やベンチャーでCFO役を探している企業にぴったりと合う。こうした企業は、不況化で銀行の貸し渋りを受けているから、まず、銀行マン出身の「資金繰りのうまさ」や、上手くいくと「元いた銀行からの融資引き出し」能力などを高く評価する。銀行相手に、資金繰り、借り換え、債務整理、こうした当り前の能力をフルに活用した「交渉上手な財務責任者」があっという間に生まれるわけだ。同様に、部門やプロジェクト毎のPLを管理していくプロジェクトファイナンス的な仕事も、彼らにとってはかつての日常業務の範囲になる。さらに上級者は、人件費・原価などの出費にもメスを入れ、コストカットによる経営立て直し(ターンアラウンド)までもお願いすることが出来る。

これらの仕事は、生え抜きの経理部員にはなかなか難しいものなのだ。まず、銀行との交渉が必要になる。そして、社内の部署への調整も根気強く行わなければならない。えてして、数字とにらめっこは得意だが対人折衝は苦手、というタイプが多い経理マンには、ハードネゴシエーションを嫌う傾向がある。そこで、営業で鍛えた銀行マンの強さが生きるのだ。

もちろん、銀行当時に担当した業界と同じ業界の企業を採用した方が有利ではあるが、営業力と銀行とのコネがあれば、資金繰りやプロジェクトファイナンス等はどの業界でも共通のため、あえて「担当業界」を問わずに採用するケースも多い。

ただ、大手銀行のホールセールスで大きなディールを動かしていた人だと、1社のみの事業に専念する事に抵抗感を覚える事も多い。彼らは、コンサルタントとして多数の企業を相手に出来るプライベートエクイティファンドからのオファーを受け入れるケースがまま見られる。特に、半公的なファンドである企業再生系のファンドに人気があり、外資系大手がこれに続く。

若手金融マン?営業もできる経理マン

銀行でリテールを担当している営業マンの最大の強みは、B/S・P/Lが見えて、そのうえ営業が出来るという事だ。つまり、企業経営者との折衝をいとわない。中堅金融マンが「銀行」と「社内」に強かったのに対して、若手は、企業に強い事がウリとなる。

ただし、若手とはいえ銀行にいる時は、金を「貸す」立場であり、どちらかといえば、頭を下げられる側にいたものが、転職先では頭を下げる側に変わる。このギャップがあるため、好況期で雇用も安定し転職先も豊富にある頃には、頭を下げる側への転職は好まれない傾向にあった。ところが、昨今はそんな贅沢も言えず、この「立場が逆転する」転職もいとわない事例が増えているのだ。

象徴的なケースは、ブティック型M&Aコンサルティングファームと、IRコンサルティングファームへの転職だろう。どちらも、横文字でハイソなイメージが漂うが、現実は、なかなか人肌が必要な対人折衝が待っている。例えば、M&Aの場合、後継者不足企業の経営者から、売却先を探してほしい、といった案件が入る。これに対して、買い手企業を探す、という仕事をこなす事になる。IRの方は、現在では単に株主広報をするというビジネスではない。敵対的買収などで株主総会がもめている時に、多くの株主を味方につけて議案を通すための下準備(プロキシーファイト=委任状争奪戦)を任されたりする。どちらもハードに働く仕事ではあるが、銀行で小さな歯車として働いていたのが、企業の運命が自分の働きで大きく変わる、という影響の大きさを感じ、転職して満足している、という声を聞く。

ともすれば、なかなか動かないと思われがちな金融経験者が、不況だから動く、という事例が分かってもらえただろう。受け皿となる「中小のCFO」「IRコンサル]「MAコンサル」などは、好況時は採用難に苦しんでもいた。不況採用の醍醐味はこのあたりにあるのだ。次に、金融マーケット「採用成功の縮図が見える」(後編)にて、保険・証券業界をレポートしながら「不況期採用のメカニズム」について、まとめてみたい。

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