経済展望と人材採用 vol.4-4つの想定外要因+1

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今回は下半期の景況の「想定外要因」と、過去の金利政策を引き合いに出し、今後の展望を描きます。

6月の景気予測では「不況の主役の交代」をいち早く唱えたHRmics編集長/海老原が、今回もレポートします。※2009/09/17の記事です。

想定通り「まだら模様景気」の進展

45歳になる人生で2度目の政権交代を目の当たりにした翌日に、台風の暴風の中、この原稿を書いている。不定期ながら大体3か月に一回程度お送りする景況と採用の動向が今回と次回のテーマとなる。

言いっぱなしの一般評論家よりも良心的である、という姿勢を示すために、まずは前回6月の予測を以下に振り返っておきたい。

  1. 1、ハイテク・輸出産業を中心にした「たそがれ後半期」からの脱却。この結果、メーカーを中心に、生産増が起こり、ゆるやかに回復トレンドが醸成される。
  2. 2、ただし、流通・サービス業の景況はまだ当分停滞をする。理由は、消費者の所得が本格的に減りだすため。特に、ボーナスは前半年の業績に左右される「遅行」項目のため、これからの減少が本番。
  3. 3、こうした流れに水を差すべく、定額給付やエコポイント、エコカー買換えなどの施策がとられたが、その結果、中モノ消費が増え、反対に日常消費が抑制される。したがって、一般小売業を中心とした消費不況が続く。
  4. 4、上記のように、メーカー=回復、流通=停滞というまだら模様が今年度いっぱい続き、本格景気上昇に至るのは、ボーナス減効果のなくなる来年4~6月期。

結果はどうだったろうか?

鉱工業生産指数は本日発表になった7月分まで、4か月連続上昇。その数字も6月は前月比で史上最高の伸びを記録、発射台の高くなった7月さえ、大方予想の1.4%増加をさらに上回る1.9%の伸びと、順調に回復を見せている。

一方で、小売業売上高は2か月連続減少、デフレ率は-1.9%と、消費回復は程遠い。決して好ましい景況とは言えないが、ひとまずは予想通りの展開と自負している。

遅行指標が曇らせる回復トレンド

このトレンドを惑わす雑音に関して最初に触れておきたい。

「過去最高の失業率、有効求人倍率も0.42と過去最低を記録」。このニュースから、求人回復はまだまだ先という気持ちになりがちだが、ご注意いただきたい。失業率は景気よりも半年程度遅行する。つまり、今猛烈に上がっているのは、今年1~2月の景況を反映しているだけのこと。有効求人倍率の低下は、分母になる求職者(=失業者)の増加が原因であり、分子になる有効求人数は若干ながら回復しつつある。これから当分は、失業の増加と求人の増加が綱引きをする展開となるだろうが、分子の有効求人数だけに注目すれば、すでに底入れしているのだ。

有効求人数(新規学卒とパートを除く)の図

「全求協が出す有料求人広告件数も、7月に若干の回復を見せたが、まだまだ底打ちとは言い切れない状況じゃないか」。という反論も受けそうだが、こちらも景況と若干遅行する指標だと念頭に置いておいてほしい。求人広告を掲載するには広告費が必要となる。広告費を捻出できるのは、それなりのキャッシュフローの改善の後となるため、若干遅行するのだ。

ハローワークデータの有効求人数がいち早く5月から改善しているのは、「無料求人」なので、遅行が少ないためといえる。同様に、求人申込時点では費用無料の「リクルートエージェント」の有効求人数も、今年4月を底に実数でも前年比でもアップトレンドに入っている。こんなトレンドの中で、遅行指標が起こすいたずらには、あまり神経を尖らせない方がよいだろう。

下半期が危ない5つの要因

では、6月の予想通りに「まだら模様」ながら景気はすでに最悪期は脱しているのだろうか。これについては、いくつかの想定外の事象をあげておきたい。

  1. 1、4~6月期GDPの急激な伸び。年率3.9%増という「高い発射台」のため、後続四半期の伸びが見た目上低くなる。
  2. 2、自然要因。7月の長梅雨、西日本を中心とした冷夏、お盆の地震による東名高速道路の不通、東日本の夏休み最終日の荒天、西日本の残暑。こうした天候不良と自然災害により、夏物消費・レジャー消費が低迷する可能性が大きい。天候不良はエルニーニョの年共通のパターンと想定すると、9月の高温、秋雨の遅滞が続いた場合、秋物の低迷、9月5連休レジャーへの影響など、悪い方向へ触れる可能性が指摘できる。
  3. 3、政権交代による政策の不連続。自民党の補正予算による大がかりなバラマキが終了することへの反動。一例あげても、エコカー買換え予算の払底が危惧される。2700億円の当初予算を1台平均10万円の助成で割ると、その数は270万台分。登録車+軽自動車+業務用車を合わせて500万台以上の国内販売規模からすると、予算でのカバーは6~7か月分。どんなに遅くても12月にはカラとなる予算に対して補正がされなければ、即、売上ダウンにつながる・・・。
  4. 4、新型インフルエンザ。この流行規模が意外に大きく、2000万人の罹患、ピークは9月中下旬で1日76万人発症との厚労省の予測。9月5連休や修学旅行シーズンとかぶる恐れがある。

上記のマイナス要因が重なると7~9月期は0成長、10~12月期も同様、または最悪の場合はマイナス成長もあるのではないか。後だしとなることが恐縮だが、もう一つ大きな「想定外」要因がある。それが金融政策なのだ。

過去には91年と00年の2回にわたり日本で不況のきっかけを作った金融政策について、今回はアメリカが失敗をしそうだ、というレポートを次回はお送りしたい。

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