世界的コンシューマー企業の教育メソッド(前編)

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マクドナルド17万人のクルーがすばやく、確実に育つ仕組みとは

リクルートエージェントが2008年10月に創刊したのが人事専門誌『HRmics』(年3回、4月・8月・12月発行)です。発行の翌月に、誌面では紹介しきれなかった情報をライブでお伝えするHRmicsレビューを開催しています。今回から3回にわたり、去る9月16日に東京で行われたレビューの模様を、HRmics副編集長の荻野が報告します。テーマは人材育成。今回と次回にわたって、北九州市立大学准教授、見舘好隆氏の講演概略をお届けします。※2010/10/07の記事です。

成長に不可欠な要素とは

見舘氏は、日本マクドナルド(以下マクドナルドと略記)、スターバックス コーヒー ジャパン、コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン各社の現場に深く入り込み、接客アルバイト育成のメカニズムを解き明かした『いっしょに働きたくなる人の育て方』(プレジデント社)を、2010年5月に上梓した気鋭の研究者である。専門はキャリア形成支援だが、民間企業の人事を15年勤め、MBA(経営学修士)も取得し、企業実務に詳しい。

見舘氏が依拠したのがアメリカのリーダーシップ研究の第一人者、モーガン・マッコールが考案したリーダーシップ能力を開発するモデルである(図表)。マッコールのモデルのうち、見舘氏は、人間が成長するために不可欠な要素として、個々人の才能を伸ばす(身の丈を超えるような)経験、その経験をより確かなものにさせる触媒、そして、その触媒と触媒を施す教育プログラム(=メカニズム)という3つが重要だと考えている。

図:リーダーシップ能力を開発するモデル

これを探るために、先にあげた3社の教育プログラムを仔細に検討、さらに、それぞれの現場で働く大学生に、成長のきっかけになった出来事(=経験)と、その成長を下支えしてくれた“何か”(=触媒)を探るインタビューを地道に繰り返した。

教育プログラム 8つの特徴

氏はマクドナルドの教育プログラムの特徴として以下の8つを挙げる。

1つ目はマニュアルの作り方の工夫である。マクドナルドのマニュアルには、「この場合はこうしなさい」という記述だけではなく、なぜそういう行動を取らなければならないのか、という理由や背景もしっかり記載されている。

2つ目は年齢や性別はもちろん、勤続期間や雇用形態も関係なく、デキる人が報いられ、そのデキ具合を判別する基準があること。ある意味、究極の能力主義になっているわけだが、それを担保しているのがクルー(アルバイト)の制服につけられる各種のシールだ。その数と種類がデキ具合を表しているという。

一方、デキる人だけが報いられると職場が殺伐とした雰囲気になってしまうが、マクドナルドの職場はその弊を免れている。上司が部下に接する時は建設的なフィードバックが重視され、部下をまず褒めることが奨励されているからだ。これが3つ目のポイントである。

さらに同社にはクルーが参加できる各種イベントが充実している。例えば、接客や調理の巧拙を競うオールジャパンクルーコンテスト(毎年開催)だ。日々の仕事のスキルアップが全社で評価される。この時とばかり燃えるクルーも多いだろう。にぎやかで活気ある職場づくり。これが4つ目の特徴だ。

「スマイル0円」も育成の重要な鍵

以上4点は会社側が意図して行っているマネジメントだとしたら、以下の4点は意図せざるマネジメント(事業そのものから必然的に生じるもの)といえる。

すなわち、5つ目は、ハンバーガーひとつを提供するにしても、多様で、しかも複数の仲間たちと声を掛け合いながらの協働が必然となっていることだ。これによって、ひとつの目標に向かって、多様な人と働くという貴重な経験を積むことができる。

6つ目は、シフトの仕組みが柔軟にできており、どの時間帯にも、ほどよい忙しさが実現されていること。しかも、それぞれのクルーのスキルの熟練度がシールによって明確化されているので、その人のレベルに合わせて難易度の高い仕事を与えることもできる。常に、少しだけ頑張らないと仕事がこなせない状態になっているので、退屈せず、楽しみながら力を伸ばすことができるのだという。

7つ目は、企業ブランドの役割である。マクドナルドには「スマイル0円」「I'm lovin' it」といった著名な標語やクレドがあり、クルーたちも入社前から消費者として、それらを熟知している。だからこそ、自分がクルーの側に立った時、「いくら忙しくても、お客様には微笑みを見せなければ駄目だ」という気持ちを自然にもつことができるのだ。

最後の8つ目が顧客からのプレッシャーをうまく利用していること。日本のマクドナルドでは、メイド・フォー・ユーといって、顧客からの注文が入った後にハンバーガーなどの商品を作り始めるやり方がとられているが、以前はそうではなく、商品の作り置きをしていた。メイド・フォー・ユー導入後、大きく変わったのは厨房のレイアウトで、カウンターから商品を作っている様子が見られるようにした。これによって、「(商品を)早く出してくれないかなあ」という顧客からの無言のプレッシャーを、レジ係だけでなく、商品を作る側も受けるようになったのである。

見舘氏:「この8つのポイントに、大量の人材を、短期間に、すばやく一人前にさせるマクドナルドの強さの秘密があるのです」

次回は、こうした教育プログラム以外の人を育てる要素、すなわち、経験と触媒の関係を探っていく。

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