人材採用でも盛り上がりが感じられます。レポートは、HRmics編集長の海老原です。※2012/03/01の記事です。
金融業界の求人勢力図が一変しつつある。
不況になると、カタカナ生保などの高給だけれどもコミッション比率が高い営業職に応募者が集まり、景気が上がり、不況も底打ちになると、チャネル営業を主にするひらがな生保の求人が優位性を増しだす。そして、景気が好調期にさしかかったころ、資産家のリスク志向の高まりとともに、今度は銀行や証券での富裕層狙いの営業求人が増えだす―そんな感じで景気変動にともないガラリと主役が交代するのがこの業界の特徴だ。
こんな流れの中で、大手を中心とするいくつかの邦銀で、若手の営業職採用が始まった。
この背景には、いくつかの要素が重なっている。まず、邦銀は、世界各国の金融機関と比較しても、今回の欧州危機騒動の被害が非常に少なかったこと。バブル崩壊以降、負の遺産を処理し続けたため財務的に健全であり、ともすれば批判されがちな「自行の預金に頼る」経営手法さえも、今では「正しかった」と見直されるほどだ。
こうした中で、欧州系の銀行がアジアの融資案件から手を引く中、邦銀は着々と進出の準備を続けている。
国内に目を向けても、JAやゆうちょ銀行などの半公的な金融機関が非常に強かった個人富裕層に対して、一時、外資系の投資銀行が営業を強化して、「預金から投資へ」の流れを生み出した。ただ、やはり国内資産家は外資へのアレルギーも強く、そこにリーマンショック・欧州危機で外資が撤退したため、この市場が空白地帯となっている。
こんな事情があるから、欧州危機の終焉と同時に、邦銀が、この個人富裕層という空白地帯に斬り込もうとしている。そのための人員補強が激しくなり始めたのだ。
人員補強が激しくなっているとはいえ、さすがに金融業界未経験者はほとんど採用されない。
金融業界の営業は、まず、基本的な金融知識を保有していないと務まらないからだ。さらにいえば、投資信託を売るためのノウハウも持っていれば尚可という条件が付いている場合も多い。できれば、地域の顧客層にも明るいような、地縁を持つ人などが好まれもする。
こうした要素を考えると、証券会社のリテール部門で働く若手・中堅の営業スタッフがターゲットに絞られてくる。
折しも、リテール系部門と法人系部門の統合で余剰人員が生まれている証券会社や、昨年度の株式市況の低迷から上場引き受けや売買手数料の減少で業績悪化する証券会社などで、早期退職を募るケースが増えている。
また、同じく証券外務員資格を有する生保や損保などでも、現在は人材が流出しやすい状況だ。たとえば損保は東日本大震災やタイの洪水に対する巨額の支払いで業績が悪化し、また、生保は営業チャネルが勝ち組に集約され整理統合が進んだ。そのため、やはりどちらでも余剰人員が生まれている。
つまり、市場に金融業界経験者が比較的多くいるところに、いくつかの大手を中心とする邦銀が募集を開始したため、大きな流れが生まれつつあるのだ。
勢いに乗るかのように、その他スタッフの採用を強化している銀行もある。
たとえば、SEや電気工事士などエンジニア系の専門職も引き続き募集中。昨今の、セキュリティ強化や節電・省エネ対応などで、支店インフラや情報通信網を一新する必要性から、その指揮役として専門家が必要となっているためだ。
この点でも、邦銀は大手企業の社内SEや中堅ゼネコンの退職者の受け皿にもなっている。
通常ではなかなか獲得できない人材の採用が順調に進んでいる様は、まさに時期が幸いしたといえるだろう。
一昔前は、日本で銀行と言えば、新卒一括採用・年功序列・終身雇用の代名詞のような存在でもあったことが、隔世の感も感じさせる、昨今の採用状況ではある。
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