中国人採用の成功方程式

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「中国の人材市場」についてお送りします。

去る1月25日に東京で行われた第8回レビュー概要の最後となる今回は、RGF HR Agent China総経理、舘康人氏による報告をお届けしています。(以下、HRmics誌副編集長 荻野氏にレポートいただきます)。※2011/02/24の記事です。

中国でも高度人材の争奪戦が始まった

RGF HR Agent Chinaはリクルートグループの人材事業部門の中国拠点である(RGFとはRecruit Global Familyの頭文字をとったもの)。2006年に中国最大の求人サイト、51jobに資本参加し、中国に進出した日系企業向けの人材紹介を開始したのが事業の始まりである。

舘氏はその立ち上げ段階から参画し、現在は上海にあるRGF HR Agent Chinaの総経理として中国6拠点を統括している。同社は年間約1,000社の日系企業と取引し、中国人および(現地で採用される)日本人の人材紹介を行っている。

舘氏がまず確認したのが日本企業の中国への進出状況である。経済産業省の調査によると、海外に進出する日本企業は年々増加している。進出先として圧倒的に多いのが中国で、実に3割あまりを占めている。中国における進出地域の分布を調べると、上海が約2,000社、北京が約500社、広州・深?に代表される華南地区が500社と、圧倒的に上海が多い。

業種は製造業が42%と最大で、企業規模は従業員数10人から50人の中小企業が33%と、これまた最大だ。最近の傾向は小売業の進出が目立つことで、その動きは2004年あたりから加速している。

舘氏:「企業にとっての中国の位置づけが、商品の安価な生産地から、13億人という巨大市場を抱える一大消費地に変わった。そうした変化に応じて、求められる人材像も多様化している。今までは、工場労働者と日本から赴任した工場長の間をつなぐ、通訳兼事務アシスタントのような人材が求められたが、今は、営業や経理の専門家、商品開発担当者など、高度専門人材の需要が高まり、争奪戦が激化、一部では給料も高騰している」

現在、RGF HR Agent Chinaに寄せられる求人依頼先の業種を示したのが下の表である。製造業が40%とトップを占め、その後に、商社/貿易26%、流通/小売9%と続く。職種を見ると、営業が40%と圧倒的な首位の座にあるが、最近増加しているのが、総務/人事/法務、財務/会計/経理といったアドミニストレーター系の職種だ。

RGF HR Agent Chinaに寄せられる採用依頼(上海)

日本語要件を加えるとパイが激減

そんななか、現地の日系企業は採用に苦戦しているという。最大の理由は、採用条件に「日本語ができること」を付加するからだ。例えば、中国最大のジョブサイト、51jobで「2011年登録、上海在住の営業マネージャーで英語が出来る人」を検索すると300人あまりが該当するが、英語を日本語にするだけで該当者が10分の1に激減する。こうした小さなパイの中から、ふさわしい人材を選ぶため、日系企業同士の争いがますます激化するのだ。

日系企業は新卒採用でも苦戦しているという。China HRが2009年に調査した「大学生のブランド企業ランキング」によると、ベスト10は、①中国移動通信、②P&G、③ハイアール、④華為技術有限公司、⑤中国銀行、⑥グーグル、⑦中国広東電子力発電、⑧レノボ、⑨アリババ、⑩百度、と、P&G、グーグルを除き、8社を中国勢が占めた。50社のうち、日系企業は、広州汽車本田汽車(広州ホンダ)(24位)、パナソニック(25位)と広汽トヨタ自動車(広州トヨタ)(49位)の3社のみ、という惨澹たる有様である。

大学生のブランド企業ランキング(学生全体)

日本で働ける”Work In Japan”プロジェクト

舘氏:「外資人気は総じて低落する傾向にある。特に、2008年のリーマン・ショック以降、中国企業が軒並み、人気を集めている。100年に一度の経済危機に見舞われても中国経済は大きな傷を負わずに済んだ。中国人の自信の表われだろう。日本企業の人気が外資の中でも今一つなのは、日本語力が要求されることと、やはり給料の低さが響いている。TOP大学の大卒文系の初任給を調べた調査でも、欧米外資が4,429元、中国国有企業が3,821元だったのに対して、日系は3,344元と大きく水をあけられた。早急な待遇改善が必要だ」

こうした日系企業の旗色の悪さを挽回すべく、RGF HR Agent Chinaが昨年、実施したプロジェクトがある。採用力のある日本の大企業に北京および上海に来てもらい、トップ30校に所属する優秀な大学生と集団面接を行う「”Work In Japan”プロジェクト」である。中国の現地法人ではなく、日本本社で働けるというところが訴求ポイントとなり、多くの学生が集まった。日本企業も22社が参加し、軒並み、本社幹部候補生の獲得に成功。同様のプロジェクトの実施を求める要望が未参加の日本企業から来るほどの人気ぶりだったという。

日本人とは違う中国人の就労観とは?

中国での仕事経験が5年目となる舘氏によれば、中国人の就労観は日本人とはまったく違う。キーワードが3つある。

一つ目は「個人主義」である。自らが負うべき責任の範囲を明確に線引きし、そこから外れたものに関しては「我関せず」となりがちだ。その代わり、自分が成し遂げた仕事の成果に対しては、明確な評価や報酬を求める。会社に対する連帯感が薄く、同じ上司でも「Aさんの言うことは素直に聞くが、Bさんの言うことは聞かない」といった独自の人間関係を築く。

二つ目は「キャリア志向」である。自分が取り組む仕事の内容を重視し、中長期的な視野に立って、その分野におけるプロフェッショナルを目指すので、頻繁な異動を繰り返す日本型雇用は歓迎されない。研修が好きで、能力の向上を常に考えている。

三つ目は「形式知管理」である。暗黙のルールを嫌い、誰にでもアクセス可能な明文化されたルールによる管理を好む。就業規則や評価・報酬制度、昇格基準の公開も必須で、少しでも合理的でない部分があったら、すぐさま訂正を要求してくるという。

最近、個人主義的でキャリア志向が強く、明文化されたルールを好む日本人が増えてきたが、それでも中国人の比ではないのだろう。

こうした中国人の就労観をよく理解せず、肌の色が同じだからといって、日本人と同じような感覚で採用し働いてもらうと失敗してしまうわけだ。

中国人採用5つの失敗パターン

舘はこれまで日系企業が犯した採用の失敗例を山ほど見てきたが、それは5つのパターンに分類できるという。

一つ目は職務の定義が曖昧なこと。責任者として採用したのだから、何でもやってもらおう。先述したように、中国人は責任の所在を非常に明確にする人たちであるから、こういうやり方は最も嫌われる。

二つ目は、期待する成果が曖昧なこと。「いつまでに何をすればいいのか」をはっきりさせないと中国人は働いてくれない。もっとも、これは万国共通のルールだろう。

三つ目は、駐在員としてやってきた日本人と、現地の幹部人材の間で、責任や権限の分担が不明確な場合である。仕事はやりにくいのはもちろんだが、プライドの高い中国人ほど「自分は信用されていない」と腐ってしまうのである。

四つ目は、会社の負の部分の共有が不足している場合である。例えば、日本人駐在員は会社の中国事業全体の数字が悪化しているという事実を把握しているが、たとえ幹部であっても中国人には黙っておく。「自分たちはやはりよそ者なのだ」と、離反してしまうのは当然だ。

最後は、長期雇用中心の日本と、短期雇用中心の中国という、両者の間の文化認識の不足である。中国では2008年1月から労働契約法が施行された。契約を連続して2回更新した時点で定年までの終身雇用に自動的に切り替わるようになっており、それまでは、ほとんどの企業が3年契約で労働者を雇っている。

一方の日本企業は違う。終身雇用という考え方は大分薄まったものの、大企業の男性正社員の多くが定年まで働く。中国に来ている駐在員もまさにそうだ。そういう働き方をしている人が、正社員といえども、短期の契約社員に近い働き方をする中国人をうまくマネジメントするのは相応の経験とノウハウが必須だろう。

GDPベースで日本を抜き、昨年、世界第2位の経済大国に躍り出た中国。人口減少による経済縮小に悩むわが国の隣に、そうした富裕国が誕生したことを素直に喜ぶべきだろう。そう、日本の4倍速で成長する経済が目と鼻の先にあるのだ。今回の舘氏の報告をヒントに、中国人採用の成功方程式をうまく解くこと。それが中国での成功に結びつくことを期待したい。


【現地法人での採用に関する場合・日本本社での中国ビジネス関するご相談】
RGF HR Agent:http://rgf-hr.com/jp/home
リクルートエージェント 貴社担当営業までご連絡ください。

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