経済展望と人材採用 vol.5-出口施策にともなう臆病風が最後の不安

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「出口施策」とは何か。なぜそれが必要なのか。今回は「金融政策」に、思い切って踏み込みます。

HRmics編集長の海老原がレポートします。※2009/10/01の記事です。

金融政策についての素人論議

会社経営や景気にかなり詳しく、経済通でならす人も、金融政策に対しては門外漢、というタイプが多い。これは非常にもったいないことと言えるだろう。なぜなら、経済対策と金融政策は表裏一体となって景況を下支えするからだ。

ではどうして金融門外漢が多いのか?それは、金融政策があまりにもプロの世界で閉じられているため、一般人が理解するレベルの説明を誰もしてくれないためだろう。

私も金融に関しては門外漢に毛が生えた程度なのだが、今回は一般と専門をつなぐ適材として、これから半年に起きるであろう、世界的金融政策の潮目と、それがどんな景気を作りだすか、解説を試みたい。

公定歩合から市中買いオペへ

日本銀行(日銀)が不況時に行った金融政策には大きく分けて3つの処方箋があげられる。

一つ目が、日銀が市中銀行に貸し出す資金の利子(公定歩合)を操作すること。1994年までは市中銀行が一般に貸し出す金利が公定歩合とリンクしていたために、公定歩合を下げることにより市中金利も下がり、貸し出し金利の低下により、企業も家計も借金をして投資や消費がしやすくなり、景況の改善に寄与する。ただし、94年以降は市中金利を公定歩合と無関係に設定できるようになった(金利自由化)のため、このオペレーションは効かなくなった。

次に登場したのが、市中銀行の持つ国債や手形(CP)などを日銀が買い入れるオペレーションとなる。この買取により、国債の利回りや手形の割引率が低下する効果(買取と利回りの関係は後説)や、国債や手形の現金化により余剰資金のできた銀行が貸し出しを増やす効果、その結果、市中金利が下がり同時に市場に資金が流動する効果などが生まれ、家計や企業にお金が回り易くなり、景況改善が進む。

長期金利と国債入札の関係

値下げなしで額面発行した国籍 値下げをして額面発行した国籍

三つ目が、この延長線上の、政府の発行する新規国債をそのまま日銀が買い入れる国債引き受けがある。上記のように市中に資金が還流されても、「使いたい」という主体が現れなければ、この「あふれたお金」はやがて不穏な動きに向かう(後述)。そうならないためにも、政府が余剰資金を国債発行という形で吸い上げて、それを不況対策として「バラ撒く」ことは一つの意義がある。今回もエコカー減税、エコポイント、定額給付金、雇用調整助成金等、公共事業など、真水で15兆円規模の景気対策が打たれ、その資金需要も含めて、年度で50兆円近い過去最大の国債発行が行われた。

さて、低金利で資金があふれ出した銀行も、貸出し先に窮していたので、この大量の国債を買う行動にでる(図1)。しかし、さすがに50兆円もの発行だと、銀行だけでは引き受けができず、発行予定の国債が消化仕切れない状況になる。引き受け手のつかない国債は値下げをして発行せざるを得ない。そこで、入札により、発行額を下げていく。その結果、低い価格で買って、予定額で償還すると、値下げ分だけ、金利が上昇することになる(図2)。

こうして、国債の買い取りが滞ると、金利は上昇していく。「債権が暴落したので、金利が上がった」というよくつかわれる難解語は、こうしたメカニズムを言っているのだ。

さて、こうして国債が値下がりした結果、金利が上昇すると、過去に低利率で発行された国債は全て値下がりすることになる。たとえば、このメカニズムで新規発行国債が年利5%に上がったとき、過去に年利1%で発行された国債は、低利のために誰にも買い取ってもらえなくなってしまう。どうしても市場で売却しようとすれば、値下げして利回りが5%になるように価格を調整するしかない。つまり、新規発行国債が売れ残ると、長期金利が上昇し、過去に買った国債すべてが値下がりすることになる。

このような状態になれば、国債を多く保有する銀行は、当然、バランスシートに含み損を抱えることになり、財務状態の悪化により、市場貸し出しが絞られる、という負のサイクルに陥る。そこで登場するのが日銀となる。日銀が新規国債を直接引き受けるのだ。これにより、国債値下がりが防げ、経済は安定する。

緩和→バブル、引き締め→崩壊の歴史

以上のように、日銀は銀行や政府を通して、市中に資金を供給し続ける「市場緩和」を続ける。おかげで経済は確かに立ち直りを見せるのだが、同時に前述した「不穏な動き」が頭をもたげ出す。市場に低利であふれ出したお金(=過剰流動性)は、やがて株・土地・商品などへの投機の流れとなるからだ。それが最終的にはバブルを生み出す。80年第後半の元祖バブルも、2000年に起きたITバブルも、07年に崩壊したアメリカのバブルも、すべて低金利による過剰流動性に端を発している。そして、そのバブル退治に資金供給を止めると、91年4月(量的引き締め、住専迂回)と00年8月(ゼロ金利終了)のようなバブル崩壊となる。

今回の場合、日本だけではなく世界中で金融緩和が起こり、猛烈な過剰流動性が生まれつつある。中国株は一時、ボトムの2.5倍以上に高騰し、原油は再び70ドルを超えた。各国では、「バブルの芽」を恐れ、不況半ばにも関わらず、出口施策(引き締め)が話題になりだしている。中国での設備投資需要の引き締めが典型例であり、また、アメリカも新規国債の中央銀行引き受けを10月末で終了すると宣言した。

これから秋深まる間、こうした出口施策が各国で企図される。そのたびに市場は動揺し、株・商品・土地など臆病風に吹かれることになるだろう。今年後半の景気は、この臆病風が最大の想定外要因となるのではないか。

臆病風を超えたころに、本格的な陽光が差し込むことを望んでやまない。

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