401K導入は採用力アップに繋がるか！？

確定拠出年金制度は、企業をまたいで持ち運び・積み重ねが出来る為、転職に際して多くのメリットを発揮します。

入社した社員の定着化も採用の一部である

ウチの会社に401Kはありますか？転職時にも移行できる年金

2001年10月の導入開始時期には話題となり、テレビや新聞紙上でも大きく取り上げられました。ちょうど企業の人事制度が年功序列から成果主義型へ移行される時期と重なったため、“従業員の自己責任による運用成果で年金資産を受け取る確定拠出年金制度”は、時流に合った制度との見方がされていたように記憶しています。

そんな401Kの制度導入企業が、求人票に自社制度の特徴を明記しPRするケースが増えてきています。ある企業は年収の8%を年金の積み立て額とし、4%ずつ確定給付と確定拠出に分散拠出する手法を早くから取り入れ定着させているといいます。退職金の前払い制度と併用し「従業員の選択肢を増やす狙い」で導入をする企業も。やはり安心して定年まで働ける会社であることをアピールしたい企業にとって、退職年金は外せない制度の一つです。

『確定拠出年金制度は転職を志向する人に、程好い制度』と話すのは、401Kのバックオフィス業務を代行しているSBIベネフィット・システムズ社。勤務会社が変わってもポータブルが可能で、さらに05年の法改正により、確定拠出年金が厚生年金基金や税制適格年金などの受け皿となったことから、『確定拠出年金制度の導入は、人材獲得にも力を発揮するようになるのでは』と話します。

整備されていない年金制度で起こった悲劇

実は同社には、こんな体験を持つ方がいます。
新卒入社した会社が13年目に清算会社となり、税制適格年金の一時金を300万円（12年分）受け取り。その後、同業に転職した際、設立間もないベンチャーだったため経営者に退職金制度の導入を提案し中小企業退職金共済への加入が決定しましたが、会社が大手金融に吸収合併され中小企業でなくなる事から共済を脱退しなければならなくなりました。
この7年間分の受取額は90万円。さらに業界企業が加入する厚生年金基金が解散されることに。通知された受取金額は、なんと20年勤務で20万円というものでした。 自ら望んで退職したわけでもないのに、年金の受取金額は合計でたったの410万円。現在、同社でゼロから積み上げているところ、という事です。

『企業年金のポータビリティが確保されていなかった悲劇ですね。こんなリスクを無くす意味でも、確定拠出年金制度の導入企業は、人材採用の場面でもどんどんアピールしていくべき』と話します。

確定拠出年金制度を従業員満足度アップに利用する

『確定拠出年金制度は今後も導入企業が増えていくと予測されます。しかし、運用手数料は従業員の自己負担。転職時に手続きをせずに資産が目減りしたり、運用を放棄したものとみなされて積立金が連合会に移ってしまったら本当に勿体無い。企業側がきちんとサポートしていく事で、従業員満足度アップに繋げる事が出来るのではないでしょうか』

90年代後半から2000年にかけて、企業が多大な退職給付債務を負ったことから、確定拠出年金制度はリスクの従業員転換という企業側の理論で考えられた制度とされてきました。しかし自己責任による資産運用の風潮が高まってきたからこそ、401Kの有効活用を社員満足度アップに利用するべきなのではないかという発想です。

年金制度を熟知した人事のプロでも資産運用の実務となれば難しい事が多く、また実際に運用を行う従業員教育に時間やコストがかかる等の心配があるでしょう。導入、運用の経験を持つ企業の人事に話を聞いてみたり、社内の意見を吸い上げて検討していくのが良いかもしれません。

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