採用や教育など人事関連の実務に追われて忙しい毎日の皆さまに、この連載を通して広くビジネス全体を知っていただく機会をご提供していきます。3回にわたってお送りしたIT業界のレポートも最終回。前回のIT業界(2/3)では近未来のコンピュータに対する先行投資=クラウドの動きについて解説しました。今回は、もっと現実的な業界の動きをレポートします。今回もHRmics編集長の海老原がお送りします。※2009/09/10の記事です。
前回の「夢の世界」に向けた投資的人材採用の話から、一転、今回はEコマースを中心とした日々のビジネスでのIT人材採用について書いてみたい。
そもそも、Eコマースついてはサービス・流通の連載で既にレポートしているのだが、その時は、「販路拡大のために、Eコマースの展開を始める企業が増え、この分野に強い人材の獲得が盛り上がりだしている」という内容に終始していた。これはあくまでも、直売からネット販売へと変わったという話である。
今回は、Eコマースという領域の中で、どんな進化が起き、求人がどう変化しているか、を書く。
一言で言うと、「マーケティング&企画」の専門会社が、メーカーや輸入業者と組んで、新たなビジネスを開発し続ける、というスタイルが業界の王道となりつつあるのだ。
もともと、ネットマーケティングは、バナーを提案してどう集客するか、という閲覧者数向上を生業にする事業だった。それが、閲覧だけではクライアントを満足させられず、購入までどう結び付けるか(=コンバージョン)が主題となり、購入まで持って行けるなら、マーケッター自体が店を持って自分で売った方が儲かる、という方向に進んだ、と考えればよいだろう。
この発展段階の初期に、バナー→アフェリエイト(ブログを書く人などのページにバナーを貼って、そこからの閲覧数に応じてマージンを支払う)へと主軸が移った。無数にいるブロガーは、閲覧マージンが欲しいため、ブログの中で自分がその商品を購入してどんなに満足しているか、等を上手く表現し、その内容を読んだ読者が、「あのブロガーが言うのだから買ってみよう」と勧誘されていく形で進化していく。
ブロガーが実は代理店?というビジネスこのブロガーは、少額の閲覧マージンをもらうよりは、自分でこの商品を仕入れて、それを紹介して売った方がよっぽど儲かることに気がつく。ただし、配送や請求などを行うのは素人では難しい。そこで、受発注・配送・請求などはメーカーが行い、ホームページ上で紹介・販売という行為のみをブロガーが行う、という形に発展した。この「作る人」と「売る人」の分離、売る人は「広告して魅了するだけのプロ」化が、ドロップ・シッピングというビジネスモデルだ。
ドロップ・シッピングが進むとメーカーはマーケティングや宣伝の苦労から解放されることになる。良い商品さえ作れば、ブロガー中心に販売を行ってもらえるからだ。
しかし、商品が認知されて売れ筋になれば直売に切り替えたくなるのがメーカーの心理だ。ここで、ブロガー達は自分が幕間のピエロな事に気づきだす。商品認知が進むまでの「つなぎ」役にしかならないと。
そこで、もう少し、息の長いWin&Win関係が続けられるようなビジネスモデルが考えられていく。それが、企画開発型Eコマースだ。ネット上で商品を企画し、人気投票を得て、欲しいという人が集まったら実際の商品を作る、というビジネスモデルだ。
これならば、Eコマースを担当した企業(もしくは個人)側に商品開発料や版権が入ることになる。メーカーも容易に直売できないし、直売したところで、開発者にもインセンティブが入る。つまり、Win&Winになる。そして、人気投票を経ているから購買見込み顧客リストもある。当然在庫も少なくなる。ニッチ分野の商材開発に二の足を踏みがちなメーカーも、これなら安心だ。
不況の昨今、こうした「安全なビジネス」が注目を集め、たとえばアイドルの写真集なども「して欲しいポーズ」を投票で決めて制作されるようになっていたりするのだ。
こうしてビジネスが進化する中で、ネットマーケティング会社も提供サービスを進化させてきた。
当初はバナーの掲載先HPの開拓やメーリングリストの拡充、クリック数やクリックレート、費用対効果データなどがサービス内容だったものが、アフェリエイター獲得、アフェリエイター支払・請求処理、メーカー発注・配送・請求・支払などのERP機能、最近では、海外からの直輸入のために、コンテナを借り切り、ここに混載型で色々なクライアントの発注品を詰め込む配送代行、海外製品の検査・検品を代行するサービス、空港や港湾での通関を代行するサービスなどが生まれ、これらを結ぶことにより世界規模のEコマースも容易に実現可能になっている。
こうして日々進化する業界だけに、成功する企業からは人材ニーズが不況と関係無く寄せられている。これらの求人には、もちろんシステムエンジニアやWebクリエイターなどのITエンジニアも含まれるが、企画やマーケティングの求人も多い。総じていえるのは、単にスキルだけでなく、ビジネスモデルを企画出来るようなアイデア力や、それを実現するために汗を流せる行動力など、「人物面」が問われるということだ。単にアクセスを通じた統計処理が得意だから、というスキルだけのマーケッターでは通用しない世界なのだろう。
ひとたびこの世界で鍛えられた人間は、Web関連の技術的知識、マーケティング関連のデータ処理力、アイデア力、行動力などが身につくことになる。同時に、日々めまぐるしく変わるEコマのサービスについても非常に詳しい。ということで、こうした「ネットマーケティング出身者」に熱い視線を送る企業は多い。先日お送りした販路拡大のためにEコマース強化に打って出た流通・サービス業界などもその一例といえるだろう。
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