日の丸サービス業 雪崩を打って世界を目指す

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飲食、小売、流通といったサービス業のグローバル化

人事専門誌『HRmics』。発行の直後、誌面では紹介し切れない生の情報をお伝えする無料セミナー、HRmicsレビューを開催しています。今回も9月27日に行われました最新レビューの概要をお届けしておりますが、最後となりました今回は、日本貿易振興機構(ジェトロ) 生活文化・サービス産業部 サービス産業課課長の北川浩伸氏に語っていただいた内容を紹介します。執筆は同誌副編集長の荻野です。※2012/11/01の記事です。

データに頼らず、歩く・見る・聞く

最初に断っておこう。日本貿易振興機構(ジェトロ)は経済産業省所管の独立行政法人、その課長である北川氏の話も、”お役所“特有の、さぞお堅いものなるかと思いきや、予想は裏切られた。データいっぱいの配布資料も事前に用意されたが、使われたのはほんの数枚、講演のほとんどは、氏が海外各地で撮影した写真を投影しながらの、現場感覚溢れるものだった。

それには理由がある。「変幻きわまりない海外市場においては、定量データはあまり意味がない。現場に行き、見て、感じて、会話してきたことが一番重要だ」と氏は考えるからだ。

といっても、今回のテーマを論じる大前提のデータが一つ、紹介された。世界の人口推移である。

北川氏:「サービス業に代表される日本の内需型ビジネスにとって、国内の人口減という現象がグローバル化を目指さざるを得ないきっかけとなっている。その日本に代わって、これから伸びて行くのがアジアやアフリカなどの新興諸国だ。日本のサービス業も、生き残りを賭け、そこに出て行かざるを得ない。しかも狙うべきは、これまでの日本企業が得意としてきたハイエンド、アッパーミドル層だけではない。利益の確保が難しいとされてきたミドルやローエンド層も重要なターゲットになる」

サービス業と製造業の違いとは

さて、氏が一枚の写真を指し示した。インド、デリーの市場で撮影したものだという。

インド、デリーの市場

北川氏:「市場の中で、鶏が売られている場所を撮影したものだ。建物の奥の見えない場所に屠殺する場があるので、この写真には、生きている鶏と死んでいる鶏が写っている。ご覧の通りの人混みだ。鼻をつく臭いもある。聞き取れないような言葉が延々と飛び交っている。あなたが海外事業担当者だったら、臆せず、この場に入っていけるか。肉を買いたい、と堂々と交渉できるか。それがNOならば、成功は到底おぼつかない」

しかも、灼熱の大陸というイメージがあるインドだが、この日のデリーは気温10度で寒く、前日には凍死者も出ていたほどだったという。

確かに、遠く日本で、インドの鶏肉市場のデータをパソコンでチェックしたり、インドの概説書を読んでばかりだったら、こんな細部のことは分からない。そういう仕事も決して無駄ではないが、インドの現実は、インドの地、インド人の生活の場に身を置かなければ分からない。要は、百聞は一見に如かず、なのだ。

そこが非製造業、すなわちサービス業と製造業の違いなのだ、と、次の表を示しつつ、氏は強調する。

表:サービス業と製造業における視点の違い

北川氏:「サービス業は、消費者近接性が高いビジネスであり、先ほどのデリーの例のように、気候や風俗、文化・習慣など、現地に行かないとわからない情報が山ほどある。また、製造業で市場をつくるという場合、ベトナムにバイクを数百万台売る、というマクロの話になるが、サービス業の場合は、どこの国のどの都市の何々通りに第一号店をオープンさせる、といった、すぐにミクロの話になる。現地の人材には、客の好みや数に応じて、その場で瞬時に判断できる即時対応力が求められる。この点も、手先の器用さ、根気強さが重要な鍵となる製造業との大きな違いだ」

日本の優秀なグローバル・サービス業

では、実際に、日本のどんなサービス企業が世界に出て、成功を収めつつあるのだろうか。

氏が筆頭に挙げたのは、高島屋のシンガポール店である。知名度、人気ともにシンガポール隋一の小売店となったことで、従業員の定着率がよくなり、そのことがサービスの質をさらに上げている。そういう相乗効果がうまく働いているという。

中国の上海ではコンビニのローソンが頑張っている。その原動力の一つがウルトラマンだ。店内のデザインにそのキャラクターを全面に扱い、さらにはオリジナルグッズの販売にも力を入れている。クール・ジャパンといわれるように、テレビやアニメ、ゲームといった日本のソフト力の力は非常に強い。ローソンは中国の若者に対するウルトラマンの認知力を生かして、売り上げの増大につなげているのだ。

日本とはまったく違う品揃えで欧米系と真っ向勝負を挑んでいる企業もある。たとえば、マレーシアのクアラルンプール店が特に好調な紀伊国屋書店だ。商品の大部分が洋書であり、日本人向けというより、欧米人向けの店舗となっている。同社はまずサンフランシスコに海外第一号店を出し、その後、ニューヨーク、シンガポール、バンコク、シドニーなどに進出、2008年にはドバイに出店している。

また、福島県いわき市に本社をおく、婦人服の製造小売業、ハニーズは、HRmics本誌で報じた通り、中国に400店舗以上を展開する隠れたグローバル企業だ。成功の要因は、これも本誌で紹介した通り、中国人留学生を幹部候補生として採用し、日中をつなぐブリッジ人材としてうまく育成したこと。このやり方は使える。第二、第三のハニーズがそのうち、現れるだろう、と氏はいう。

また、日本とはまったく違った形で受け入れられている企業もある。カレーのCoCo壱番屋がそうだ。同店は日本においては誰もが気軽に立ち寄れるカレーの店として有名だが、バンコクや上海では、立地も考慮された高級レストランとして機能しており、クリスマスやバレンタインデーでは、カップルで満席になるほどの人気ぶりという。

シンガポールを足がかりに、香港、台湾で店を増やし、成功しているのが低価格の理髪チェーン、QBハウスだ。その原動力になっているのが人材育成力。台湾、韓国以外のアジアでは、日本にはある理髪師の資格というものがない。そこで、QBハウスは進出先に研修店を設けて、日本人トレーナーを派遣。新人は全員、その研修店に配置して、トレーナーによる研修を実施している。あわせて日本での研修も年1~2回程度実施するという力のいれようだ。また、現地人材のキャリアアップ・プランを設けるなどして、モチベーションの維持にも努め、店舗のマネジメントを担う店長のレベルアップも重視しているという。

北川氏:「その他、本当に小さな地方の店がアジアに進出するケースがどんどん増えている。地方の店舗にとってみれば、成功したら、次の目標は東京進出、という時代ではなくなった」

成功の鍵を握るのは事業担当者と経営者

こうした成功例から学ぶべき点を氏はこう説明する。

北川氏:「異国、異文化の現場でたくましく生活できる人材を海外事業の担当者に指名すること。その人材が、適宜、現地語も活用しつつ、現地の人材に、さまざまなノウハウを我慢強く繰り返し、伝えることだ」

そして何より大切なのが経営者の姿勢である。

海外進出を決めたら、決して他人任せにせず、自ら市場を歩くこと。それも、中国なら上海、それでなければシンガポールといった「流行り」に惑わされることなく、できるだけ広範な地域から進出先を検討すべきだという。数字ではない、現地において、目と耳と皮膚で感じたことが大切なのだ、と氏は強調する。

もうひとつ、大切なのが現地の合弁先や、流通、卸などのパートナー選びである。

北川氏:「地方に本社があり、海外で既に成功している経営者にパートナー選びの基準を伺ったら、『簡単なことだ。相手を呼びつけるんだ。つべこべ言わず、すぐに海を渡ってやって来て、取引させて欲しい、という人が経営している企業なら信用できる。それでも、最後、迷ったら、その人の目を見れば分かる』と言われた。その通りだと思う」

国内も海外も同じ、最後は人と人との信頼関係が成否を分けるということだろう。

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