留学生採用の肝となるビザ取得のポイント

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留学生採用のビザの壁をクリアするためのノウハウ

人事専門誌『HRmics』。発行の直後、誌面では紹介し切れない生の情報をお伝えする無料セミナー、HRmicsレビューを開催しています。今回も9月27日に行われました最新レビューの概要をお届けしております。2回目となりました今回は、アクロシード社、マネージャーの宮川真史氏に、留学生採用の実務ポイントを語っていただいた内容を紹介します。執筆は同誌副編集長の荻野です。※2012/10/25の記事です。

翻訳、通訳要員は昔の話

アクロシードは、日本企業向けの外国人雇用のコンサルティング、外国人社員のビザ申請、留学生の採用手続き代行などを行っている企業だ。行政書士の資格をもち、同社でマネージャーをつとめる宮川真史氏の話は密度の濃い、実務直結の内容だった。

最初に留学生採用に関する最近の動向が紹介された。

すなわち、留学生採用といえば、以前は、海外進出企業の翻訳・通訳要員、あるいはエンジニアの確保策が主流であり、または知名度が低く、採用難の中小企業が行う例が多かったが、最近はすっかり様相が変わった。

現在は、国籍に関係なく優秀な人材を集めたい、という意図で大手企業も鋭意、取り組んでいること、採用だけではなく、自社の国際的な知名度アップも視野に入れたインターンシップもさかんになっていること、アルバイトとして働いてもらった優秀な学生を新卒として採用する例も増えているという。

ビザ取得にもスケジュール管理が重要

ただ、留学生採用には、日本人学生を採用する場合とは違った大きな壁が存在する。入管法(出入国管理及び難民認定法)である。この壁をうまくクリアできると、本人に就労可能なビザ(在留資格)が発給される。そのためのノウハウの開陳が今回の話の眼目となった。

逆にいえば、就労ビザがなければ就労はできない。採用してからビザが取れなかった。これではお話にならない。最近の事情はどうか。

宮川氏:「以前は、留学生は就労ビザが取得できた時点で入社してもらうのが主流だったが、最近は変わってきた。特に、数十人の留学生を採用して全国の店舗に配置するような企業の場合、ビザの取得時期により入社がまちまち、となると、全社一斉スタートのオリエンテーションが不可能になり業務に深甚な影響を及ぼす。それでは困る、と、全員のビザをいつまでに必ず欲しい、と相談に来る企業が増えている」

理系は「技術」、文系は「人文知識・国際業務」ビザ

留学生、つまり、新卒外国人を企業が雇用する場合のビザは2つある。一つは「人文知識・国際業務」であり、もうひとつは「技術」である。前者が院を含む文系卒の、後者が同じく理系卒の外国人に適用される。

技術は比較的わかりやすい。学校で学んだことと、企業での仕事の結びつきが強いからだ。問題は人文知識・国際業務である。

宮川氏:「人文知識は、法学、社会学、経済学といった学術上の素養があること、国際業務は日本とは異なる海外の文化に基盤のある思考、もしくは感受性が必要な業務を指す。経理、金融、会計、コンサルタント、そして企業の総合職として働く場合は前者が、翻訳、通訳、広報、宣伝、デザイン、海外取引業務、商品開発などに従事する場合は、後者が該当する」

原則としての法律論

さて、就労ビザが下りるかどうかは、「上陸許可基準」によって決定される。留学生なので既に「上陸」している。つまり、許可基準は不要のはずだが、就労は週28時間までのアルバイト以外は原則不可の留学ビザから、就労可能なビザに切り替わるわけなので、それなりの審査が再度、必要なのだ。

氏は、「人文知識・国際業務」ビザを例にして、説明を続けた。

まず「人文知識」で申請する場合は、(1)その知識を得るための大学または専修学校を出ていること、(2)10年以上の実務経験があること、のうち、どちらかを満たさなければならない(ただし、この実務経験には、(1)の期間も合算される)。つまり、学歴か、もしくは実務経験がクリアできればよい。

次に「国際業務」に就く場合は、(1)翻訳、通訳、広報、宣伝、デザイン、海外取引業務、商品開発といった業務に限定されること、(2)その業務に関して、3年以上の実務経験があること(ただし、大卒者が翻訳、通訳にあたる場合は除く)、という2つの条件を満たさなければならない。つまり、業務内容と実務経験という2つの要件をクリアしなければならないので、「人文知識」より審査が厳しいといえる。

さらに、どちらの場合でも、その留学生が受け取る報酬が、日本人が同じ仕事に従事する場合の額と同等額以上でなければならない。つまり、低賃金での外国人雇用は認められないわけだ。

「人文知識・国際業務」をうまく使え

さて、ここまでがいわば法律の原則論である。日々、現場で“切った張った”を繰り返している氏の話はここで真骨頂を発揮する。

宮川氏:「入管法というのは非常に厳しい法律だが、経済や経営のグローバル化の影響を受けて、運用する入国管理局もできるだけ、柔軟な運用を心がけるようになってきた」

氏は3つの例を上げて説明する。

一つは、「人文知識」の在留資格該当性。

宮川氏:「たとえば営業販売業務に就く場合だ。そもそも、営業販売が人文知識を要する業務に該当するか、ということだが、店舗接客も含めた単純肉体労働は認められないというのが、入管の原則的立場だった。ところが、グローバル化の影響で、外国人顧客の多い店舗に配属する場合や、化粧品など詳しい説明が必要な商品を外国人顧客に説明するため、といった必要性が認められれば、最近は許可されるようになってきている。また、飲食業の場合、厨房業務だけに従事させる目的でビザを取得することはできないが、幹部候補生として現場も経験させるという理屈であれば、最初の数年間は厨房業務に従事させるという条件でもビザが下りるケースも出てきた」

二つは「国際業務」に関する業務内容要件である。入管法には次のように書かれる。

〈翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発、その他これらに類似する業務に従事すること〉

宮川氏:「『その他これらに類似する業務』に注目していただきたい。つまり、具体的に上げられている翻訳や通訳としての仕事でなくても、類似した業務であれば、国際業務としての解釈の余地が生じる。近年、この傾向がますます強まっている」

最後は、同じく「国際業務」に関わる実務経験についてである。

宮川氏:「経済学部出身の留学生が海外取引業務に従事しようとする場合、入管法を素直に解釈するならば、3年以上の実務経験がないから不可のはずである。ところが現実はビザが取得できている。なぜかというと、海外取引業務が、学術上の素養を背景とする人文知識を学んだ、文系出身の学生が従事する業務として認められるようになったからだ」

要は「人文知識・国際業務」というビザの審査がよく言えば、非常に柔軟、悪く言えば、非常に緩い、ということなのだ。法律の運用には現状を規制する面と、後追いする面がある。経済や経営のグローバル化に、入国管理局もすばやく対応せざるを得ないということだろう。

宮川氏:「実際、大学での履修内容と関連性があるのならば、ほとんどの場合、ビザが取得できる。かと言って過信は禁物であり、関連性が証明できなければ不許可となる。たとえば、環境学部出身の留学生を販売業務に従事させようとしたら、ビザが下りなかった例がある」

入社後数年、再びビザが問題に

こういった資格要件該当性の他に、最近は留学生を雇用する組織が果たすべき立証責任という点も緩和される傾向にある。

具体的には、提出書類が少なくて済むようになっている。上場企業、もしくは前年の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,500万円以上の企業(つまりは社会的信用度が高い企業)の場合、『会社四季報』のコピーや給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表をビザ取得申請書とともに提出すれば、スピーディーにビザが下りるようになっているという。

こうやって採用した外国人、そのビザが問題になる時期が数年後、再びやって来る可能性も氏は指摘する。

一つは仕事内容が変わった場合だ。「技術」ビザで入社した人材が、人事異動で海外取引業務につく場合、「人文知識・国際業務」へと、ビザの変更が必要になる。

もう一つは、その人材に、海外進出の重要な足がかりを担ってもらおうと、故国への帰参を促す場合だ。でもその申し出が必ず聞き入れられるとは限らない。日本に10年いると、永住権が付与され、窮屈な立場から解放されるからだ。

宮川氏:「留学生は日本語学校に2年、大学に4年在学しているから、新卒入社の時点で6年、日本に在住していることになる。あと4年で満期になり永住権が認められるのに、帰参を命じられたら、拒否する人がいるのは当然だ。その可能性があるなら、採用時にきちんと話しておくことが大切だ」

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