女性にキャリアがなくて、日本に明日があるか(その3)

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女性のキャリアの質を高めるための方策を探っていきます。

リクルートエージェント発行の人事専門誌『HRmics』。発行の直後、誌面では紹介し切れない生の情報をお伝えするHRmicsレビュー(無料セミナー)を開催しています。引き続き最新のレビューの概要をお届けします。発表者は同誌編集長の海老原、レポートは同誌副編集長の荻野です。※2012/04/19の記事です。

女性のキャリアを充実させる具体策

前回、「日本の大企業は濃厚な男性社会のため、女性をうまく活用できない」という指摘を行った。

確かに、大企業ほど、上司はもちろん、先輩、同輩、そして後輩と、男性だらけの職場であることが多い。社内の他の部署はもちろん、取引先や関係会社も、担当者の多くは男性である。

そもそも一人の新人が仕事を覚え、自立していくためには、先輩が手取り足取り教えていくOJTが基本になるが、その場所というのは職場だけではない。顧客企業から帰る道の途上であったり、食事も兼ねた夜の飲み会であったりする。時には辛口の説教も必要になるだろう。その場合、女性を相手に、厳しいことを平気でいえる男性がどれほどいるか。多くの男性は「かわいそう」「気まずい」「やりにくい」となるのではないだろうか。

かくして、男性度が高い、特に営業職などでは女性の配属が忌避される。結果的に、もともと女性が多い部署へ優先的に新たな女性が配属される確率が高まってしまうのだ。俗に4R(IR=財務、PR=広報、HR=人事、CR=お客様センター)と言われる部署である。

海老原はそれに異義を唱える。

海老原:「女性をうまく活用している企業はそこが違います。そもそも女性を寄せておく特別な部署など設けません。配属は男女平等で、実際の仕事の場面でも女性を特別視せず、男性と同じく平気で叱り、夜の飲食などにも平気で連れ回しているものです」

採用、教育、ロールモデル設定、抜擢の4段階でもう少し具体的に見てみよう。

「特別扱い」が女性をつぶす

まずは採用である。基本は、採用基準、採用タイプを男女同じくし、女性の採用比率を3割以上に設定することだ。

海老原:「女性らしさや育ちのよさ、気品ばかりを女性に求めるのはそろそろ卒業でしょう。たとえば、社内で活躍する社員が、元気でやる気にあふれ、運動部出身だったりするのなら、女性もそんな基準で見てもいいのではないでしょうか。また、採用比率を3割以上とするのは、それだけ在籍していると特別扱いができなくなるからです。女性自身も萎縮しないでしょうし、年々それだけの比率を採り続ければ、後輩たちのロールモデルとなる女性も順調に育つでしょう」

次は教育である。ここでも基本は同じ、いわく「入社から3年間、女性を特別扱いしない」のが鉄則だという。

海老原:「小学校から大学まで、女性は女性らしく、と家庭でも学校でも指導されてくるはずです。それが会社内でも女性を特別扱いする根源となっているのではないでしょうか。だから、入社後の早期教育で改めてもらうのです。たとえば、大手企業でも新人女性に自宅から通えない遠隔地に配属したり、営業や回収、工場まわりといった、男性同様の初期教育を行って成功している企業が多々あります。また、ミスをしたら遠慮なく叱ったり、アフター5でも議論百出、といった男女差のない付き合いをしている企業も成功しています」

スーパーウーマンは基準にならない

三番目、ロールモデルについてはどうだろうか。

海老原:「男勝りのスーパーウーマンや肉食女子をロールモデルにすえてしまうと、普通の女性は自分にはとても無理、と感じて引いてしまうもの。やはり、両立支援と銘打つわけですから、家庭も仕事も両立できることを志向していきたいですよね。多くの女子が働けるような仕組みにするためには、スーパーウーマン型のロールモデルからは早晩、脱しなければならないでしょう」

健全なロールモデルが形成されるよう、先述したように、3割を超える比率で、ある程度、女性を採用し続けなければならないのだろう。

最後は抜擢策である。

失敗例からいうと、まず一律抜擢。総合職の女性採用が進んでいない企業の場合、一般職の優秀層を抜擢することが多いが、評価点や年次だけで基準を定め、そこに達した女性社員を一律に総合職にしてしまうことがある。こうした機械的な抜擢は、男性の年功昇進同様、よいものではないだろう。

また、女性社員比率を上げるために、出産などで退職した女性を呼び戻している企業もあるがこれもあまりよい結果を生んではいない。会社は日々変化している。5年や10年も仕事から離れていた女性社員を、同年次並みの総合職として扱うのは、本人にとっても苦痛が多いところなのだ。

失敗例の最後は女性登用を社内外にアピールするために行われる象徴人事である。先述した4R部署などが格好の舞台になる。4Rでのスペシャリティがいくら高くとも、社内の他部署、営業や工場などの経験がないために、重要な意思決定で現場の気持ちがわからない、などの問題に直面することもあるだろう。そんな彼女らを早期で抜擢すると、当の本人が苦しむ例が少なくない。

この3つが駄目だとしたら、ではどうすればいいのか。

海老原:「総合職は先ほど述べたような方法で地道に育成するとして、一般職優秀層の抜擢をお勧めします。大切な点は3つです。まず20代後半の、まだ成長途上の時期に超優秀層のみを対象にすること、育成目的でローテーションを行い、決して元の部署にそのまま在籍させないこと、そして、ある程度成長したら、男女比が近いチームのマネジメントを任せてみることです。男性の部下ばかりのチームのマネジメントは難しいでしょうし、逆に女性ばかりのチームのマネジメントはやさし過ぎてしまう。その中間から鍛えさせるのがいいでしょう」

置き石を利用して、できるところから手をつける

やり方はわかったけれど、そこまでの変革はすぐには無理……そういう人事や会社に向かって、海老原が提示したのが「置き石」という概念である。池の真ん中にある岩があったとする。岸から岩まで一足跳びに到達するのが難しい場合、岸と岩の間に手ごろな石を置けば大丈夫だ。それが置き石である。

たとえば、資生堂が女性総合職の採用を始めた当初、美容部員から営業担当に登用されていた女性社員が既にいた。彼女たちが女性の先輩として、後輩の新人総合職女性を育ててくれたおかげで女性総合職制度がスムースに廻り出した。そう、美容部員出自の女性社員が置き石の機能を果たしたのだ。

新潟にある地方銀行、大光銀行では、女性社員を管理職に登用する場合、窓口業務が多い支店で管理職としての基礎を積ませてから、法人業務の多い中核支店に移ってもらう。この窓口主流支店も置き石である。

採用と人事労務のコンサルティングを行うトライアンフには、毎週水曜日が「パパの日」になっている。この日は未就学児をもつ男性社員全員が16時に退社し家に帰らなければならないのだ。この制度で、男性社員が、出産後の短時間勤務で働いている女性社員に対して優しくなれるようになったともいう。短時間で仕事を終えることの難しさ・厳しさが肌身にしみてわかったからだ。いきなりイクメンになれ、女性のよき理解者になれ、というより、このパパの日という置き石で、男性社員の意識と行動を変えていけるわけだ。

最後、これまでの議論を踏まえ、海老原が女性のキャリアの質を向上させるための具体策をまとめたのが以下である。参考にしていただければ幸いである。

図表:大企業への女性進出と男性の意識改革

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