超優良学生の宝庫、韓国での採用を考える

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日本語ができる優秀な人材がお隣、韓国にひしめいている。

『HRmics』はリクルートエージェントが昨年10月に創刊した人事専門誌です。発行の翌月、誌面では紹介しきれない生の情報をお伝えする「HRmicsレビュー」を開催しています。

今回は、去る9月15日にリクルートエージェント社内で行われた、第4回目レビュー報告の最終回。
テーマは変わって、お隣、韓国における日本企業の採用事情です。韓国政府の後押しもあり、優秀かつ日本語が堪能な新卒人材を採用できる、またとない機会が訪れています。※2009/11/12の記事です。

グローバルリーダー10万人養成プロジェクトとは

韓国・産業人力公団海外就業局局長

HRmics4号の特集記事にもご協力いただいた、日米韓中の4ヵ国で採用支援ビジネスを展開しているグローバルタッチの代表取締役社長、権元鎬(クォン・ウォンホ)氏が一人の男性を伴って登壇した。韓国労働部の傘下機関である産業人力公団の海外就業局局長、鄭鎮栄(チョン・ジンヨン)氏である。

鄭鎮栄(チョン・ジンヨン)氏 鄭氏は権氏による通訳のもと、産業人力公団が担う4つの機能について紹介した。すなわち、韓国国内の各種国家資格の管理運営、海外からの就業者の受け入れ及び海外への韓国人の送り出し、国内就業者向けの研修、国家技能オリンピックの管轄である。今回は二番目の機能に関連し、「グローバルリーダー10万人養成プロジェクト」推進の一環として来日したという。

同プロジェクトは、2004年から施行されている青年失業解消特別法に基づき、2009年から2013年までの5年間で、海外での就業者5万人、海外でのインターンシップ3万人、海外ボランティア2万人を実現させることを目的としている。対象となるのは30歳以下の青年たちである。

図表:グローバルリーダー10万人養成プロジェクト

日本企業が韓国人の新卒採用に踏み切った2つのケース

株式会社グローバルタッチ 代表取締役社長

権元鎬(クォン・ウォンホ)氏 続いて、権氏がマイクを握り、日本企業による韓国の新卒学生の採用事情についてプレゼンテーションを行った。権氏が経営するグローバルタッチ社は昨年以来、日本の大手企業I社と中小企業D社の韓国での新卒採用を支援している。

超大手企業であるI社は、市場のグローバル化が進み、人材のグローバル化もそれに合わせて進めて行くために、海外大学生の新卒採用を始めた。海外で初めての本格的な新卒採用のために、失敗は許されない。ターゲットをどこにするか。中国か、インドか、あるいは東欧か……。白羽の矢を立てたのが、日本の隣国であり、文化も経済水準も似通っている国、韓国だった。

一方、内需産業であるD社は、市場は国内に限られており、取り立てて国際化の必要はなかったのだが、中小企業に厳しい日本の採用事情に頭を悩ませ、今年、韓国人採用に踏み切った。その結果、思いもかけない優秀な人材を採ることができたのだ。が、話はそこで終わらない。この採用をきっかけに、今年9月には韓国支店の開設に踏み切っている。つまり、採用が市場開拓につながった、というI社と正反対の成功事例なのだ。

権氏:「韓国の文系名門大学は、ソウル大学、高麗大学、延世大学の3つ。それぞれの頭文字を取って、SKY大学といいますが、このクラスの優秀な学生を日本の中小企業でも採用することができるのです。D社の人事担当者が私にこっそり耳打ちしました、『こうした人材を日本企業がどしどし採用するようになったら、日本の採用市場は激変しますよ』と」

日本と韓国の大学制度で最も違う点がある。韓国では大学卒業時期が毎年2月と8月の2回あることだ。(男子学生に課せられる)徴兵制や海外留学の影響だという。文系は8月、理系は 2月に卒業することが多い。

I社の場合、理系のエンジニア採用が基本である。ところが日本人学生の選考が4月に集中するため、この時期に日本人だけでポジションが埋まってしまう恐れがある。I社は「韓国人学生にも公平な機会を与えたい」と考え、韓国人学生の理系採用を2月から3月にかけて始めることにし、文系採用は9月に行うことで、韓国人の新卒採用をうまくデザインしている。

一方のD社の場合、今年は9月採用を選択したが、今後は状況に応じて3月に変えるという選択もあり得る。このように、韓国人採用においては、企業の事情により、文系・理系それぞれ採用時期をずらす場合と、一緒に採用するという二通りのやり方が考えられる。

権氏:「韓国には2つのスーパー理工系大学があります。韓国科学技術院が正式名称の国立のカイスト大学と、浦項製鉄が作った私立のポステック大学です。前者は一学年が700人、後者は300人の超少人数教育で、全国の高校から優秀な学生を選抜して入学させます。授業料は無料で、しかも企業からの奨学金が山のように集まります」

語学は堪能、海外に出るのが当たり前の民族

韓国人材について懸念される点が二つある。まずは日本語能力だが、「心配ない」と権氏は力説する。たとえば、韓国でも有名になり、新聞にも大きく報道されたI社の募集においては、550人が入社を希望し、エントリーシートを提出したが、ほとんどが日本語堪能だったという。

さらに日本語だけではない。英語力もすごいのだ。同じくI社にエントリーシートを出した学生のうち、TOEIC900点以上が16%、そのうち満点の990点を取った学生が5%もいた。

もうひとつは帰国懸念、つまり、採用したものの、日本企業の水に合わず、辞めてしまう人が多いのではないか、という点である。これに関しても、権氏は太鼓判を押す。「日本からアメリカに留学している学生の数は4万人。一方、日本の3分の1しか人口がいない韓国からアメリカに留学している学生の数は11万人。韓国人は日本人よりも海外で学んだり働いたりすることに対する抵抗感が少ない民族だと思います」

I社では昨年8名、今年も5名と、計13名の韓国人学生を採用したが、脱落者はいないという。日本では「若者が3年で辞める」という議論がさかんだが、最初の新卒組が3年を終えた時、同時期に入った日本人の離職状況と比べれば、何らかの答えが出るはずだ。

権氏はこう締めくくった。「日本の大企業は韓国人学生の新卒採用を、人材のグローバル化を進めるための、はじめの一歩にしてはどうでしょう。彼らの多くは、給料が高いから日本企業に応募するのではなく、自らのキャリアを高めたい、という前向きな動機を持っており、最近の日本人学生と意識は変わりません。一方、中小企業にとっては、日本では採れない優秀な人材を確保できることが大きなメリットです。D社の担当者は『1人か、多くても2人だな』と最初は言っていたのですが、いざ現地に行くと、優秀な学生があまりに多いので『3、4人は採りたい』と言っていました。採用の真のネックは既存の日本人採用の仕組みと、どう整合させるか、ということです」

政府による、手厚い採用・教育支援

最後に登場したのが、韓国産業人力公団海外就業局課長の南英京(ナム・ヨンギョン)氏である。通訳なしの日本語、堂々たるプレゼンテーションだった。産業人力公団の紹介から始まり、グローバルリーダー10万人養成プロジェクトの概要を説明した。

韓国では、1997年に発生したアジア通貨危機以降、政府による雇用創出政策が積極的に行われている。特に若年者の失業率は、一時、10%に達するほどだったという。このプロジェクトも、前述した青年失業解消特別法に基づき、そうした政策の一環として開始された。国内で雇用を作り出すのが無理なら、海外で雇ってもらおう、というわけである。

日本側の受け入れは2007年から始まり、現在までに1200名の就業が実現している。IT分野が一番多く867人、機械/金属分野が232人、事務サービス分野が85人と続く。

人力公団の一番の武器となっているのがワールドジョブという独自の求人斡旋サイトである。そのサイトを通じて、日本はもちろん、オーストラリア、シンガポールに年平均300名の就職が実現した。さらに、採用活動のために、韓国を訪問してくれた外資系企業の手間を省くべく、応募者への連絡や面接時間の調整、会場の提供、電話会議システムを使った遠隔面接の実施、テストや面接の一部代行まで行っている。また、日本語はもちろん、ビジネスマナーや職務能力を磨くための8~10ヶ月間の研修プログラムも企業に提供している。まさに至れり尽くせりなのである。

南氏:「広い領土も豊かな資源もない韓国の今日を創った大切な資源は人です。明晰な頭脳と真面目さを兼ね備えた韓国人は、ものごとを新しく作り出すDNAを持っています」

グローバル人材というと、欧米人、もしくは中国人にスポットがあてられがちだが、日本語ができる優秀な人材がお隣、韓国にひしめいているとなると話は違ってくる。日本企業は韓国人の採用を真剣に考えてみるべきかもしれない。

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