女性にキャリアがなくて、日本に明日があるか(その2)

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育児と仕事に追われ、女性のキャリアの充実など絵に描いた餅に終わってしまう

リクルートエージェント発行の人事専門誌『HRmics』。発行の直後、誌面では紹介し切れない生の情報をお伝えするHRmicsレビュー(無料セミナー)を開催しています。前回に引き続き、最新のレビューの概要をお届けします。発表者は同誌編集長の海老原、レポートは同誌副編集長の荻野です。今回は日本企業における女性活用の現状と課題を見ていきます。※2012/04/12の記事です。

10年以上勤続の女性総合職が企業を変えていく

そもそも、昨今の日本企業はなぜ女性活用の推進にこれほど熱心なのか。「政府が熱心だからでしょ」「社会的趨勢だからだよ」といった曖昧な議論を排して、海老原は「4年制大学(以下、4大)卒の女性が増えたからだ」と、極めてシンプルな答えを提示する。その背景にあったのは、短大進学率の低下と、OLモデルの崩壊、という事情だった。

海老原:「1980年代までは、女性は4大ではなく短大を目指し、卒業して企業に入ると男性の補助的な仕事につき、27、28歳で、同じ会社のエリート男性と結婚、30歳で出産し退職する、というOLモデルが健在でした。女性の早期定年制が暗黙のルールで通用する時代でもあったのです」

表1:景気後退→OLモデルの崩壊→女子大学生増

女性の4大進学率が短大進学率を抜いたのが1996年(4大24.6%、短大23.7%)。2000年には30%、2010年には45%を超すに至る。そうした4大で、男子と机を並べて学んだ女子はもうOLモデルに自分を当てはめようとはしないだろう。

海老原:「それだけではありません。OLモデルが崩壊したきっかけは3つあります。1つはバブル崩壊で、企業が当時、一般職といわれていたOLの女性採用を絞ったこと。もうひとつは、一般職の均衡雇用訴訟が数多く起こされ、企業が一般職の扱いに慎重になり始めたこと、さらにその要請にも応える形で、一般職の中核にあたる事務アシスタントは派遣で代替する、という流れが出てきたことです」

逆に、2000年ごろから、企業は4大卒の女性を男性と同じ総合職として熱心に採用し始めた。そうやって入り、育ってきた10年勤続女性が各企業に今たくさん在籍している。

海老原:「10年選手といえば、現場で最も頼りになる戦力層です。彼女たちに活躍してもらわなければ今までの投資が無駄になってしまうので、企業が女性活用に懸命になっているのです。日本企業の女性の課長比率が少ないと言われますが、課長年齢に達している女性総合職が少ないからに他なりません。あと数年もしたら、続々現われ、比率もぐっと上昇するはずです」

長足の進歩を遂げた両立支援

企業が女性活用に真剣に取り組んでいることは、例えば、育児休暇制度の整備率や、出産女性の育児休暇取得率を10年前と比較するとよくわかる。データだけではない。「育休は子ども1人まで。2人目が出来たら退職」が1990年代の暗黙的な職場基準だったとしたら、今は多くの職場で、「2人目も育休取っていいから、必ず戻っておいで」となっているのではないだろうか。

海老原:「育休終了後の退職者の割合も随分減りました。短時間勤務制度や育児用フレックスタイムなど、ほとんどの企業で復職後の両立支援策が整備されたことが大きいのでしょう。また正社員だけではなく、非正規社員にも育休を付与する企業も増えるなど、この10年で、日本企業において、育児と仕事を両立させる環境が長足の進歩を遂げたといっていい」

日本人男性よ、もっと育児を、もっと家事を

では何が問題なのかというと、男性の意識である。

例えば、男性の育休取得率はいまだに1%台に留まっている。

海老原:「生物学的にみて女性のほうが育児に向いているという意見もありますが、この真偽はさておき、たとえそうだとしても、いくら何でも偏り過ぎではないでしょうか。男性と女性でどちらが足が速いか、といえば、平均値で見れば男性という答えになるでしょうが、男性がかなわない俊足の女性が数多くいるのも事実。仕事もそうでしょう。男だから、女だから、という平均値的な理屈で物事を押し切ると、男性より俊足だったり、男性よりもずっと仕事ができる女性の存在を無視してしまうことになります。男女で半分ずつ育休を採るべきだ、とまでは言いませんが、せめて3対7くらいになってもいいのでは」

育休だけではなく、日常生活における日本人男性の家事負担率も欧米と比べて非常に低い。「男は仕事、女は家庭」という価値観も、以前と比べると奉じる割合が減っているものの、諸外国と比べると日本はまだ根強い。男性のみを見ると、半分が「賛成+やや賛成」しているのだ。

表2:「男は仕事、女は家庭」はもはや日本のみ

大企業ほど、意識も実態も遅れがち

中小企業よりも、“男性社会”度が強いからだろうか、女性の活躍は大企業ほど遅れる傾向がある。

たとえば、賃金構造基本統計調査で、女性係長比率、同課長比率、同部長比率を、1985年から5年ごとに調べると、大企業ほど、その値が低くなっている。出生動向調査を見ると、出産退職率も企業規模に比例して高くなっている。

さらに雇用均等調査を見ると、「女性の活躍を推進する上での問題点」は企業規模に比例して大きくなる。特に顕著なのが「顧客や取引先を含め理解不足」「管理職や同僚男性の理解不足」の2項目。「理解不足」というのは男性社会度が強いということだ。大企業はまさに強力な男社会、ということだろう。

これまでの議論を海老原が総括したのが下図である。女性の社会進出のステップを6つに分け、それぞれに応じた就業傾向と同じく顕在化する問題をまとめたものだ。現在の日本企業の多くが②、③、④のレベルに留まっており、④と⑤の間には、向こう岸になかなか渡れない大きな川があるという。

表3:女性の社会進出のステージと日本の現状

この④レベルに留まっている限り、育児と仕事に追われ、女性の負担は増すばかり。キャリアの充実など絵に描いた餅に終わってしまう。その問題をいかに解決したらいいのか、次回、お伝えしたい。

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