HRmics編集部の荻野が解説します。※2010/01/14の記事です。
昨年12月18日、今後の派遣制度のあり方について議論してきた、厚生労働大臣の諮問機関、労働政策審議会が派遣法改正の原案を発表した。メンバーは大学教授を中心にした公益委員3名、労組幹部などの労働者代表3名、企業経営者など使用者代表3名の計9名。労働政策の変更は国際労働機関(ILO)条約に基づき、公労使の代表による協議が不可欠ゆえに、こうした三者構成方式が取られている。
出された案を叩き台に労使が意見を述べ合い、両者が合意できる線まで修正していくという形式が取られた。改めて案の概要を記しておきたい。
派遣法改正を巡る昨今の動きは大分込みいっているので、ここで整理しておきたい。前回記したように、偽装請負などの問題が起こり、「派遣=悪者」論が吹き荒れるなか、2008年11月に、旧政府(当時の自民・公明連立政権)が日雇い派遣の原則禁止などを内容とする改正案を提出。さらに2009年6月、リーマン・ショック後の「派遣切り」問題を憂慮して、当時は野党だった民主党・社民党・国民新党が製造業派遣や登録型派遣の原則禁止などをうたった同じく改正案を国会に提出している。しかし、2009年7月の衆議院解散によって、先の政府案ともども審議未了で廃案となった。
3党案は旧政府案に比べ派遣労働者保護を強く打ち出しているのが特徴だ。それが端的に表われているのが、26業務以外の登録型派遣禁止、政令で定める専門業務以外の製造業務派遣禁止、契約期間2ヶ月以下の日雇い派遣禁止、という3つの禁止項目である。
今回の原案は、禁止項目はそのままで3党案に近い内容となっているが、(1)製造業については、派遣が可能な専門業務を決めるのではなく、常用型の場合のみ認める、(2)労働者派遣契約の遵守、有給休暇や育児休業などを理由とする派遣労働者の不利益取扱いの禁止といった「派遣先責任の強化」という項目が抜け落ちている、というのが大きな違いだ。3党案をベースにしつつ、使用者(企業)側にやや歩み寄った内容といえるだろう。
今回の議論は登録型および製造業務派遣の禁止を認めるか、否かという点に集中してきた。労働側はいずれも賛成、使用者側がいずれも反対、という立場である。
まず登録型派遣の禁止についてだが、労働側が賛成する理由として以下の点が挙げられていた。
これに対して、使用者側は以下のような反対意見を述べてきた。
製造業務派遣の原則禁止についても、是とする労働側は以下を理由に挙げた。
使用者側の反論は以下にまとめられる。
次回(派遣法 - 改正案審議の中身と成立後の影響)では、こうした対立点をはらんだ審議会の議論がどう収束していったのか、その辺りからご報告したい。
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