派遣法-過去の改正案との比較と労使の対立点

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派遣法改正について、改正原案・3党案・旧政府案を比較しながら、詳しく見ていきます。

HRmics編集部の荻野が解説します。※2010/01/14の記事です。

派遣法改正の原案とは

昨年12月18日、今後の派遣制度のあり方について議論してきた、厚生労働大臣の諮問機関、労働政策審議会が派遣法改正の原案を発表した。メンバーは大学教授を中心にした公益委員3名、労組幹部などの労働者代表3名、企業経営者など使用者代表3名の計9名。労働政策の変更は国際労働機関(ILO)条約に基づき、公労使の代表による協議が不可欠ゆえに、こうした三者構成方式が取られている。

出された案を叩き台に労使が意見を述べ合い、両者が合意できる線まで修正していくという形式が取られた。改めて案の概要を記しておきたい。

  1. 1、登録型派遣の原則禁止(禁止の例外=(1)専門26業務、(2)産前産後および育児および介護休業取得者の代替要員派遣、(3)高齢者派遣、(4)紹介予定派遣)
  2. 2、製造業務派遣の原則禁止(禁止の例外=常用雇用の労働者派遣)
  3. 3、日雇派遣の原則禁止(「日雇」とは日々もしくは2ヶ月以内の期間をいう。禁止の例外=別途定める専門的な仕事)
  4. 4、均衡待遇(=派遣労働者と同じ仕事についている派遣先の労働者との間における均衡待遇を考慮すべし)
  5. 5、マージン率の情報公開(=派遣会社は、派遣労働者の雇い入れや派遣開始の際、派遣先から派遣会社が受け取っている一人当たりの料金の額を当の派遣労働者に開示すべし)
  6. 6、違法派遣が行われた場合における派遣先企業における直接雇用の促進(違法派遣とは、(1)禁止業務への受入れ、(2)無許可・無届状態の派遣会社からの受入れ、(3)期間制限を超えた場合、(4)常時雇用の労働者以外の受入れ、のいずれかを指す)
  7. 7、法律の名称および目的に、「派遣労働者の保護」を明記
  8. 8、施行期日は法律が交付された日から6ヶ月以内。ただし、上記の登録型および製造業務派遣の原則禁止に関しては同3年以内という猶予を認める

3党案、旧政府案とどこが違うか

派遣法改正を巡る昨今の動きは大分込みいっているので、ここで整理しておきたい。前回記したように、偽装請負などの問題が起こり、「派遣=悪者」論が吹き荒れるなか、2008年11月に、旧政府(当時の自民・公明連立政権)が日雇い派遣の原則禁止などを内容とする改正案を提出。さらに2009年6月、リーマン・ショック後の「派遣切り」問題を憂慮して、当時は野党だった民主党・社民党・国民新党が製造業派遣や登録型派遣の原則禁止などをうたった同じく改正案を国会に提出している。しかし、2009年7月の衆議院解散によって、先の政府案ともども審議未了で廃案となった。

3党案は旧政府案に比べ派遣労働者保護を強く打ち出しているのが特徴だ。それが端的に表われているのが、26業務以外の登録型派遣禁止、政令で定める専門業務以外の製造業務派遣禁止、契約期間2ヶ月以下の日雇い派遣禁止、という3つの禁止項目である。

改正原案、3党案、旧政府案の比較

今回の原案は、禁止項目はそのままで3党案に近い内容となっているが、(1)製造業については、派遣が可能な専門業務を決めるのではなく、常用型の場合のみ認める、(2)労働者派遣契約の遵守、有給休暇や育児休業などを理由とする派遣労働者の不利益取扱いの禁止といった「派遣先責任の強化」という項目が抜け落ちている、というのが大きな違いだ。3党案をベースにしつつ、使用者(企業)側にやや歩み寄った内容といえるだろう。

登録型派遣および製造業務派遣禁止を巡る労使の対立

今回の議論は登録型および製造業務派遣の禁止を認めるか、否かという点に集中してきた。労働側はいずれも賛成、使用者側がいずれも反対、という立場である。

まず登録型派遣の禁止についてだが、労働側が賛成する理由として以下の点が挙げられていた。

  1. 1、雇用を不安定にし、「派遣切り」を引き起こした元凶である
  2. 2、能力開発が不十分になり、労働者のスキルがアップしない働き方である
  3. 3、派遣の契約期間と労働契約期間が一致している制度であり、それは「自己の雇用者を他に派遣する」という、派遣本来の趣旨と一致しない

これに対して、使用者側は以下のような反対意見を述べてきた。

  1. 1、募集しても人が集まらない中小企業の人材確保が困難になる
  2. 2、派遣という形態で働きたいという人のニーズを無視することになる
  3. 3、派遣を禁止しても、正社員の雇用には結びつかず、逆に失業者の増大につながる

製造業務派遣の原則禁止についても、是とする労働側は以下を理由に挙げた。

  1. 1、(登録型と同じく)雇用を不安定にし、「派遣切り」を引き起こした元凶である
  2. 2、ものづくりの現場力が落ちた
  3. 3、未熟練労働者が増えたことで労働災害が増えた

使用者側の反論は以下にまとめられる。

  1. 1、(登録型と同じく)募集しても人が集まらない中小企業の人材確保が困難になる
  2. 2、(同)派遣という形態で働きたいという人のニーズを無視することになる
  3. 3、(同)派遣を禁止しても、正社員の雇用には結びつかず、逆に失業者の増大につながる
  4. 4、諸外国では認められており、日本だけ禁止にするのはいかがなものか
  5. 5、禁止されると海外へ生産拠点を移す動きが促進される

次回(派遣法 - 改正案審議の中身と成立後の影響)では、こうした対立点をはらんだ審議会の議論がどう収束していったのか、その辺りからご報告したい。

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