食品業界-第二新卒でも即戦力でもない、素養系採用の盛り上がり

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新卒採用・第二新卒・素養系採用の充足バランスは?

景気が上り坂の中盤に差し掛かる頃、毎度のことながら、風物詩のように求人市場に訪れる出来事があります。俗にいう「素養系採用」の活発化です。素養系とは、20代中盤から後半にかけた若手人材のことをいいます。その素養系採用がちょうど盛り上がり始めているのが食品業界です。その実状と背景をHRmics編集長の海老原嗣生がレポートします。※2014/04/17の記事です。

素養系採用、3つのパターン

経験がある程度あり、1人立ちした即戦力人材という意味では、不況期だろうが景気の下り坂だろうが、若手の実力派はいつだって企業からは注目されている。そうした需要だけでなく、景気が上り調子のときは、同じ20代後半でも、ドンピシャな即戦力ではない人材にまで採用が及ぶ。そこが特徴的なのだ。

この背景を少し説明することにしよう。

まず、景況感の高まりとともに企業業績は回復して受注が増えるために、多くの企業が即戦力の人材の求人を強化する。ちょうど、同業経験5~10年の、いわゆる「中堅層」とよばれるゾーンだ。

こうして求人が増え出すと、それに見合う人材が不足し出す。そこで、企業は第一の選択肢として、採用経験年数を問わないようになってくる。結果、同業界であれば、経験は浅くても構わないという採用基準の緩和が起きる。

ここから先、企業によって、採用ターゲットはいくつかに分かれていく。

まず、ドンピシャな業界ではないが比較的近い分野の同職種経験者を狙うという方向。この年代であれば、社会人としての教育はしっかりなされているし、対人折衝力や業務管理力などもある。業界特有の知識についても、周辺領域にいるなら、早晩習得できる。だから、多少分野が異なっても採用するという動きとなる。

続いて、経営状況が改善し、体力的にも余裕ができた企業が、明日への投資として、自社では育てられないような、全く異分野で異能な人材を採用し始める。同じ営業でも個人向けのパッケージ商品を売っている人が、全く異色のBtoB系営業に転身したりするケースだ。このケースでいえば、BtoB企業にはない、最終消費者を考える思考回路が、彼を採用したことで企業に流入する、という良い結果をもたらす。

最後に、不況期に新卒採用を止めていたために、社内の年齢構成に乱れが生じてしまったことへの対処策として、若手人材を補てんするというニーズ。この場合は、新卒代替なわけだから、職種経験さえこだわらない。営業から管理部門へ、という動きなどが見られ出す。ただし、この場合は、素養系といっても20代中盤まで。そう、第二新卒に近い採用となる。この3つが、好況期に20代後半の人材募集が増える基本的な背景となっている。

周辺業務の同職採用、異分野の異能者採用

食品業界の場合、まさにこの3つの流れが、ちょうど今みてとれる。

まず、テレビCMなどを盛んに打って知名度の高い国内大手は、やはり最初の「周辺業界からの同職採用」にとどまる。この業界では、顧客先となる流通業界の商慣習を知らないと、活躍が難しいことがその理由といえるだろう。たとえば、GMS(総合スーパー)に代表される大手流通業では、ビール、スナック菓子、パン類、飲料など、カテゴリーごとに幹事会社を決める場合が多い。幹事に指名された会社の営業は、ライバルメーカーを束ねて、任された分野の売り上げアップのために、戦略を練ったりしていかなくてはならない。

こんな業界特有の商慣習が残るために、全く異分野の出身者だと戦力にはなりづらい。そこで、似た慣習を持つ日用品や日配品を取り扱う企業の出身者などをターゲットとしている。

一方で、「明日への投資」として、二つ目の「異分野の異能者」を採用するケースも目に付き出している。たとえば、BtoB系の営業経験者や広告業界、人材ビジネス、ネット業界などの出身者を実際に採用する企業が少なくない。

「明日への投資」という言葉の意味を詳しく聞くと、以下のような答えが返ってきた。

・従来から自社の強かったマーケットから、ちょっとずつ歩を広げて、周辺部へと商品ラインナップを広げてきた。そして、考えつく空き市場にて商品開発はやり尽くした感がある。つまり、従来の頭では、新たなアイデアが枯渇しているため、全く異分野から新しい視点をとりこむことによって、新たなケミストリーを生み出したい。

・日本型の地道な人肌営業では、業績の伸長に限界が見えてきた。そこで、一部、マーケティング主体でマニュアル色の強い欧米型の企画と営業部隊を別途作ることを考えている。そのために、一つは、業界が異なれども、外資系企業にいた人を採用する。もう一つは、マーケティング的な行動ができるという意味で、計数につよい人材を採用している。

そう、平たく言えば、「明日への投資」とは即ち「現状打破」に他ならないということだろう。

素養系から第二新卒へ発展するケースも

3つ目の「全く未経験者の採用」となると、まだそれほど多くは現れていないのだが、以下のような企業の話を聞いた。

・営業職として採用するが、明日の人材については、前職は問わない。自社の営業も、入社当初は研修や販社や問屋への出向、もしくは管理部門などを経験させるコースが多い。つまり、入社数年は、他部署・他分野にて視野を広げる時期だと考えている。だから、他社で他職務についていたとしても、結果的に似たようなコースを歩んできたと考える。

・グローバル展開で既存の実力派中堅層が海外担当に異動。そのため、本社機能はベテラン主導で層が薄くなっている。管理部門だけに、人事や経理といった同職経験者が欲しいのはやまやまだが、そうすると応募者が極端に少なくなってしまう。しかも、同職だといっても、メーカーと流通では、人事も経理も仕事の進め方がかなり異なる。ならば、そこまで前職にこだわらず、欠員補充と新しい発想、動きの刷新をかねて、思い切った若手素養系採用を開始した。

たしかに、日本型人事であれば、新卒の未経験者をまっさらな状態から教育することには抵抗が少ない。社会人経験が浅い素養系なら、染まっていない部分も多々あり、しかも、その経験差の分、社会人としての基礎教育は施されている。だから手離れも良いから好適と考えるのは、それほど違和感のないことではある。そして、景気の過熱感が高まる頃には、この動きがそのまま第二新卒採用へと流れる。

中堅の女性が引く手あまた

最後に、素養系から中堅層の女性の中途採用が、最近どこの業界でも増えているが、とりわけ食品業界では目立ってきている。昨今、政府主導で経団連も歩調を合わせる女性登用の波が、この業界にも及んでいるのだ。

前述のような古い業界特有の商慣習の中では、なかなか女性が育てられなかったので、経験5年を超えるの女性社員が極端に少ないのもこの業界の特徴といえる。もちろん、新卒採用ではそこを埋められるわけはない。だから中途で女性採用を強化しているのだ。

採用に関しては、「異分野OK」という企業も見られ、素養系採用に通じるところがあるため、ここに付言させていただいた。蛇足ではあるが、本当に中堅以上の女性が少ない業界だけに、日用品業界の10年選手の女性とあらば、企業規模は全く問われず、中小零細企業から誰もが知っている大手有名企業へ、という転職例も出てきているという。

新卒一括採用の本質的メリット

さて、素養系のレポートを書いていると(そしてさらに第二新卒採用の話まで考えると)、日本の新卒採用という風習につい一石を投じたくなってしまう。

確かに、欧米礼賛者のように、薄っぺらい合理性のみで、「この風習を根絶やしにしろ!」などと叫ぶつもりはない。たとえば、毎年まっさらな新人が入ることで、旧来の社員は人を教えることを知る。だから、先輩が育つ。また、何も知らない状態から教え込むため、会社のやり方が当たり前のことと身にしみていく。こうして会社が大切にすることがDNAとして継承される。さらには、ゆっくり他部署を回して育てることで、部分最適ではない全体最適や、クロス視点(相手側の見方)なども培われる。

そんなロマンチックな良さだけでなく、もっと本質的なメリットがある。

銀行で法人営業をしている人を欠員補充する場合は、同業の銀行員しかターゲットにはならない。

総合商社で原子力発電のプラントを担当している人の欠員補充は、商社でしかも重工部門にいる人しかターゲットにはならない。同じ商社でも穀物輸入をしている人ではとても無理だろう。

そう、出来上がった人を採用しようと思った場合、それは驚くほど狭い、賽の目の目切りになった少数の技能集団でしか、補充はできないのだ。薄っぺらな欧米礼賛者はそれを忘れて、「技能に長けた万能人材はどこでも行ける」という絵空事をいう。そんなことは欧米でも無理だ。ターゲットは同業他社にしかいない。だから彼の地では、結局、同業他社から同職者を抜く。そうしてある企業で人員が補充されると、抜かれた企業で欠員が出るという空席のババぬきが永遠に続く。

そんな無駄な欧米型風習よりも、中堅バリバリ層に欠員が出ても、そのすぐ下に連綿と人が続く仕組みで、アメーバのように補充ができる、日本型新卒採用という仕組みは、けっこう経営合理性が高いのだ。その入口の新卒採用は、職務経験など全く問わない、原石を採取するだけ、というとてつもない柔軟性に富んだ補充方法となっている。

新卒は半分を減らして素養系と第二新卒を増やすのはどうか

ただし。その入口が、新卒だけではなくて、ある年代までOKになることが一番合理性が高いのではないか、とも思う。つまり、新卒枠は今の半分くらいに減らし、あとの半分は第二新卒と素養系で充当する。この方法がベストバランスではないだろうか。

新卒は前述のDNA伝承などの「ならではの良さ」が確かにある。

が一方では、全くの未経験者を採ることにより、「こんなはずではなかった」と双方が失望する危険性も孕む。しかも、内定から入社に1年以上ものタイムラグがあるため、景況感との乖離も生まれやすい。

そうしたマイナス面を緩和するうえで、素養系採用の盛り上がりをみるたびに、新卒を半分に減らし、第二新卒と素養系であと半分を、と思うのだが、皆さんはどう考えるだろうか?

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