採用や教育など人事関連の実務に追われて忙しい毎日の皆さまに、この連載を通して広くビジネス全体を知っていただく機会をご提供していきます。今回は、サービス流通業界の動きを「4つの道筋」に整理して解説していきます。レポートはHRmics編集長の海老原でお送りします。※2009/08/13の記事です。
既報どおり、これからが不況本番となる日用品産業は、「業績好調に伴う増員」といった求人はやはり数少ない。 代わって主流となっているのは、以下の4分野の求人だ。
いずれも「拡張」系の募集ではなく、「ビジネスモデル変更」に伴う求人というのが共通項となっている。以下、その状況を説明する。
一番目立つのがこのタイプの求人。国内需要の低迷を海外輸出でカバーしようというもの。食品、美容・化粧品、アパレルなどでこの手の求人が多い。
もし、「不況だから投資を少なく」と考えるなら、海外進出の最良の手立てはEコマースになるだろう。これならば、すべてのインフラを日本においたままで、中国向けHPを立ち上げさえすれば、ビジネスは始められる。
4つの道筋に集約された各企業の動きこうした動きは確かに少なくはないのだが、あえてこの時期に、リアルビジネスで海外、とりわけ中国を狙う企業が増えている。リアル店舗で対面販売をすれば、現地顧客の声が手に取るようにわかり、それを集約して対応を考えておけば、今後、本格展開したときに、失敗が少なくなる。つまり、リサーチの意味を兼ねた先行投資として、リアル店舗を出店しているのだ。
ただ、リスクを最低限まで減らすために、比較的バッティングが少ない企業がジョイントして海外店舗を設けるケースがよく見られる。たとえば、カレーの外食企業とカレー粉の製造企業のジョイント、高級アパレルメーカーと廉価版アパレルSPAのジョイントなどだ。現在、海外支店網を整理・縮小している企業も多いため、普段だとなかなか採用できない海外勤務経験者が、案外うまく採用できたりしている。
こちらは、「不況だから廉価製品へ」というシフトの中での人材需要といえるだろう。
たとえば、この不況で外食ニーズは縮んだが、反対に中食ニーズは増えている。そこで、中食メニュー開発を、といった動きだ。
こうしたシフトは各企業とも豊富な経験を持つために、この先の対応にも明るい。
たとえば、ある調味料メーカーでは、業販スタッフを外食から中食にシフトさせた。その結果、弁当などに付属する小分け調味料の製造ライン拡充と、惣菜売り場への営業スタッフなどが求人として上がっている。
この先の読みでは、「中食もやがて冷えると、最後には自炊」ニーズになるという。そのため、「自炊慣れしない主婦向け」の補助調味料の開発に余念がなく、「すきやきのタレ」「てりやきソース」「中華レシピ関連」などの開発を急いでいるという。
ここでの一番手は、Eコマース関連の求人ニーズだ。販路を拡大することにより売上げ増加させるために、ECの再整備に乗り出す企業は多い。
次に多いのが、「となりの領域」。たとえば食品産業なら、健康食品や特保などへの進出を企図し、必要な人材を集めている。
その他で目立つのは、有望ニッチ領域の取り込み。たとえば、人材サービス業であれば、今まであまり対応をしていなかった“特殊技術者(介護師や臨床検査技師、理学療法士など)”の領域で事業強化を図る企業などがある。
また、オークションサイトを観察して、盛り上がりを見せる商材を見つけ、それをすばやく輸入販売するタイプの小ロット多品種貿易業なども見られる。
外注化していた業務を、コストセーブのため内製化する動きの一貫といえる。
販売代理店を整理して直販型に変えたボディケア用品メーカー、販売店管理として外注ラウンダーを雇っていたのを直接雇用の契約社員に変えた日用品メーカー、コールセンター要員を派遣から自社雇用に変えて、多クライアントの案件を1オペレータで対応することを可能にして、生産性アップを図ったテレマーケティング企業など、インソーシングがひそかに流行の兆しを見せている。
いずれも、好況でバックオーダーを大量に抱える時ではできなかった構造改革を、不況の今、行っているケースにあたる。
日用品需要は不況だからといっても漸減であり、好況だからといっても漸増に終わる。また、熾烈な研究開発競争に勝つために膨大な先行投資が必要、という産業でもない。
景況に応じて組織フォーメーションをうまく変更することにより、業績変動を極力抑えることが可能となる。外食→中食→自炊へと販売網をシフトさせていく食品業界など、その典型だろう。
今回の不況には、従来の経営“レシピ”に加え、Eコマースや海外展開などの新たな”エスニック”レシピが開拓された。こんな感じで景況の波に応じて、随時、経営レシピを拡充し続けてきたのが日用品産業なのだろう。えてしてハイテク産業の技術力がマスコミで注目される中で、案外しっかりした経営体力を持っているのがこの業界であったりする。
来るべき人口減社会において内需が著しく減少していく中でも、たとえば高齢者向け需要の開発とそのための組織フォーメーション作りや海外需要のキャッチアップなどにも、経営レシピ作りのノウハウで対応していける可能性は十分ある。案外、日本で最後まで生き残れる企業群は、この業界にこそあるのかも知れない。
続きは、サービス流通業界(3/3)にて。
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