景況が新たなビジネスと求人を創る金融業界

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求人が盛り上がりつつあるこの業界の人の動きがわかるだけでなく、今さら聞けないサブプライムの真相など、新聞用語の説明も散りばめられています。

レポートはHRmics編集長の海老原でお送りします。※2009/12/03の記事です。

ヨコ文字生保の未経験営業募集に過熱感

不況風は若干弱まりつつあるが、まだまだ本格回復とはいえない世相の中で、金融業界の求人ニーズは頭二つくらい突出しているようだ。業績自体は完全に底打ちしたにもかかわらず二番底不安で保守的になっている電機・機械メーカーとは対照的と言えるだろう。

半年ほど前にここでレポートしたとおり、ヨコ文字生保(外資系)、ひらがな生保(損保系)、漢字生保(旧大手生保)では、依然、三者三様の営業スタッフ募集が続いている。とくに、未経験若手を多く採用しているヨコ文字生保では、不況期の「買手市場」が終わる前に最後の大量採用を見込み、採用活動が過熱しつつある。ほぼ同じ人材層を同様な意図から狙っているCSO(医療業界の営業代行企業)などとバッティングすることが増え始め、次第に条件・待遇も上昇し始めた。この局面だけを見ていると、冬が終わりつぼみが綻び出すような雰囲気を感じてしまう。

監査法人になぜか金融のプロ

一方、本格的な金融スペシャリストの方はどうだろう?

こちらは、まさに業界の変貌がそのままダイナミックな求人の変化につながっている。
現在、とにかくニーズが豊富で、採用意欲が高まっているクライアントとしては、監査法人が挙げられる。
「監査なら、会計のプロを雇うのではないか?金融ではないのでは?」そう疑問に思われる方も多いだろう。しかし、監査法人が金融スペシャリストを大量に採用している。それも、保険・年金数理人(アクチュアリー)などはもちろん、デリバティブやクオンツ(金融工学を利用した運用プログラム)のプロなども多数採用しているのだ。

なぜか?
これこそまさに、業界の変貌の表れなのだ。

話を詳細に書くために、少しさかのぼって、今回の金融危機がなぜ起きたかについて、説明をしてみたい。

腐ったハンバーグと金融危機

金融危機というと、08年9月のリーマンブラザース破綻を思い浮かべる人が多いだろう。だが、その1年以上前の07年8月にBNPバリパがサブプライム債で既に大きな損失を出していた。続いて08年1月には仏ナショナルソシエテの飛ばし発覚(損失をグループ内で隠匿)、同年3月のベア・スターンズの破綻-JPモルガンによる救済合併と、リーマンの前に、超大型危機が何度となく訪れていた。リーマンと同時期にはAIGの政府救済。しんがりはGMだが、こちらも売上不振は破綻理由の一部であり、残りは傘下金融企業(オートローン)の債務と年金問題だった。

つまり、BNPバリパからGMまで、超大手企業がバタバタとなぎ倒されたのが、今回の金融危機だったのだ。この原因について、業界通は「腐ったハンバーグがあたった」と表現している。この言葉について、少し説明してみたい。

危険なハンバーグはGMをも潰す

金融における利子とはリスク・テイクの仕組みだと換言できる。「危ない借手」には「高い利子」を払ってもらう。よく使われるサブプライムという言葉は、優良な借手であるプライム層よりも、劣る借り手という意味だ。つまり、サブプライムの借手は危険度が高いが、その分高く利子が取れる。ただ、これだけなら、危機を起こすほどの話でもなかった。

当時、強いドル政策や金利差などを反映して、米国には世界中の投資資金が集まっていた。このお金をなるべく高く運用すべし、という十字架が米国の金融機関には背負わされていたのだ。そこで、この「利子が高いサブプライム」が注目され始めた。ここで金融工学が、「利子は高い」が「危険は少ない」という魔法のハンバーグを作ってしまう。サブプライムはもともと、単純に証券化されて売りに出されるのが主だった。これを、「サブプライムでも比較的安全な層」「やや危ない層」「危険な層」と薄切りにして売り出すことにより、リスクを取るか、利子を取るか、という選択が可能になった。この薄切りをトランシェ(仏語で「切り身」)という。しかし、切り身にすると、いくら利子が高くても最下層のトランシェは売りづらくなる。そこで、危険度の高いトランシェはさらに刻んでミンチにし、優良なミンチと混ぜ合わせて売る、という方法に奔った。これがハンバーグなのだ。

サブプライムのハンバーグの図

このハンバーグには、「格付け」という絶妙なスパイスがかけられた。金融工学的にリスク計算されて、「良いお肉も混ざっているから安心だよ」と格付けされることになったのだ。そこで、安心して、腹いっぱい金融機関はこのハンバーグを食べだす。果ては、食べもしないハンバーグを買って、売るという行為に出て、手持ち資金をはるかに上回る売買を繰り返し、気づいた時には、誰も買手がなくなり、破綻を迎えた、というところなのだ。

因みにサブプライム層向けの自動車ローンは、住宅の何倍も危険であり、その分利子も高い。つまり超高金利なハンバーグには不可欠な材料だった。GMの不幸はここにある。

よく精査しないと経営さえも不安

こうして危機を迎えた金融機関は、ステークホルダーから厳しい監視の目を向けられることになる。もう誰も、「おいしいハンバーグ」とは信じなくなってしまったからだ。金融監督庁はもちろん、こうした商品を投資信託という名前で買うことになる投資家たち、さらに言えば、金融機関の株主、いやその前に、金融機関自身の経営者たちでさえ、ハンバーグの中身を戦々恐々として見つめているのだ。そこで、手持ちの商品状況がどうなのか、正しく査定をして、財務状況を会計に反映させる、というニーズが沸き起こる。これが、金融機関のグローバル化に伴う世界標準導入の圧力と相まって、監査法人での金融職ニーズの高まりにつながるのだ。

この監査は、従来の「手持ち商品の査定」つまり市場でいくらで売却できるか、という話ではなく、そもそもどのような論理に基づいて合成された商品なのか、開発の大本までたどることを求められる。当然、金融工学のプロも必要になる。

同じように、年金資産や生保・損保のソルベンシーマージンをはじめとした各種リスク分析への要望が高まり、こうしたプロたちも監査法人の求人ニーズに反映されている。

この他にも、たとえばカーボンリスク(CO2排出に伴う費用)のプロも製造業の監査・コンサルティングを中心に必須となりつつあり、また、フォレンジック(不正調査)のプロなども、特許侵害問題やITセキュリティに代表される各種セキュリティでの不祥事・不正事実が重大な事業リスクとなる昨今、監査法人には必要となっている。

そう、監査法人には、新聞をにぎわす問題のプロが大集合している状況なのだ。

底打ちでまた新たなニーズ

一方、株価や土地などに割安感が漂い、景気底打ちから今後の上昇が期待される中で、ややリスクを取っても、今のうちに仕込みをしたい、という個人が増え始めてもいる。国外資金や機関投資家相手から、こうした目利きの個人へと、投資資金の主役は移りつつもある。この流れを受けて、ようやく銀行でも求人ニーズが高まりだしている。中堅外資系銀行の日本支店や、再生ファンドにより立ち直った国内中堅銀行などが、こうしたニーズを受けて一気に個人顧客を開拓するために、ドメスティック営業に強い、地銀・信金経験者の積極採用を行っている。この流れで、こうした銀行群に投資信託商品を供給する外資系投資銀行でも求人ニーズに火がつき、銀行向けの営業ができる国内金融営業経験者に注目が集まり出している。

変化の最後の締めくくりに、「半公的機関」の求人ニーズにも触れておきたい。各種再生ファンドや公的金融機関などは、債権整理や企業支援などのため、不況が終わりかけた今でも、まだまだ繁忙期が続く。当然、これら機関からはスポットながら複数の求人が寄せられる。こうした求人に、金融危機で経営が厳しくなった外資系銀行から転職するケースが多々見受けられる。「転職先の上司の顔を見たら、前の会社で仲の良かった上司だった」という笑い話が聞かれたりするそうだ。


一昔前なら、「変わらないもの」の代表格として金融業界が挙げられていた。現在は全くその逆で、景気や世相でここまで変化がダイナミックに起きる業界となっているのだ。

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