一流のアスリートでもオリンピックという舞台は別物だといいます。メダル獲得に向けて4年間必死に汗を流し、食事や生活習慣そのものまで改善しながら次のオリンピックを目指す。そして本番には世界から視線が集まり相当なプレッシャーがかかる中、たった1回の勝負に勝たなければいけない…。
ビジネス界の人々にも、そんな戦うアスリートの気持が痛い程分かる場面があるのではないでしょうか。それは「経験豊富なマネージャー」だと社内にしっかりと広報されている転職先で新たなスタートを切るとき。特に管理職ポジションの場合、知識・実務力・マネジメント力・人脈など期待される事が多く、企業側も業績アップの為にすぐにでも成果を出して欲しいと急ぎの結果を期待しがちです。
特にこの景況感の変化が非常に厳しい状況では、企業側のその思いが強くなりがちと言えるでしょう。
しかし、例えベテランの域に入ろうとしているビジネスパーソンでも、アスリートと同じ。企業風土やマーケットも違う新しい環境(しかも緊張する)で確実に成果を出すためには、それなりの準備期間が必要です。
通常、入社3カ月から半年で現状を把握しながら(営業なら商品特性や流通環境、マーケットの違いや特色など)プランを立て、実践に移していけるのはそれ以降。まいた種を回収出来るのは、早くても入社後1年というのが相場。企業には余裕をもって、新しい管理職の活躍を見守っていただきたいというのが本音です。
実はそこを理解し、管理職に対しても「育てる」という感覚を大切にしている会社は、まずマネージャー候補として採用し、本人も周りの社員も慣れてきた半年後くらいにマネージャー職に昇進させるという方法をとる事もあるようです。すると、候補として転職してきた人物が、マネージャー職に就く頃にきちんと実力を発揮し始める。このやり方が、多くの業界・企業で成功しています。
それなりのポジションのため、それなりの好待遇で迎えなければならない管理職。給料以上の成果を早く期待したいところですが、目に見えない“アスリートの4年間の努力の日々”という足場作りにも、ぜひご着目下さい。成果を出す事を誰より望んでいるのは、転職してきた本人かもしれませんから。
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