転職者アンケートからワークライフバランスについて考える　その2

男女間で異なる転職の選択肢

リクルートエージェントでは、転職を実現したビジネスパーソンに、転職活動全般にわたるその時々の意識や行動の決め手となった事項を調査する「転職世論調査」を定期的に行っています。最新の11回目は、近年話題の“ワークライフバランス”をメインテーマとしてアンケートを実施いたしました。
その結果を受け前回から4回にわたって“転職者が考えるワークライフバランス”の現状を探りながら、採用や会社の環境作りについて考えていきます。

少子化などを背景に労働者人口が減少する中、働きやすい環境作りに注力し従業員確保を促進する企業が増えています。一方の転職者側は、どのような視点で転職を実現させているのでしょうか。

※「第11回転職世論調査」
実施期間：2007年8月28日（火）～9月2日（日）まで
対　　象：リクルートエージェントの登録者で、何らかの手段で転職
を実現した方2280名（うち回答者746名※回答率32.7%）
調査方式：Webを使ったアンケート

■働きがいと働きやすさ、どちらを優先しますか？

■転職時にワークライフバランスを考慮しましたか？

■ワークライフバランスの考慮点は？

転職に際して「働きがい」を優先したか、「働きやすさ」を優先したかの回答はほぼ半数に分かれましたが、いわゆる25歳までの第二新卒層においては、非常に興味深い回答が得られました。
「働きがい」を選んだ男性は26.8%に留まったものの、女性においては48.1%と高く、男性を大きく上回ったことです。

団塊世代の退職や少子化による労働人口の減少が社会問題化する中で、 改めてその存在に注目が集まっている働く女性。「働きがい」を求めて転職活動をする彼女たちのたくましさは、今年の日本の産業界に明るい話題を投げかけてくれる存在と言えそうです。

それは実際に、採用現場にも変化をもたらしてきました。
例えば以前は「男性でなければ難しい仕事だ」、あるいは「前例がない」などで採用に消極的だった企業も、そうした垣根をどんどん取り払い、スキル重視、能力重視で女性の採用が実現していることです。

これは実際に入社後に活躍する女性が多く、転職市場においても高い評価を得ている為です。人材の多様性（ダイバーシティ）に注目する企業の増加などの追い風もあり、今年も女性の活躍から目が離せない1年となるのではないでしょうか。

さて、女性の活躍というと切り離せないのが、結婚や出産といった人生のイベントと仕事の両立です。
今回のアンケートでは、26～35歳の女性が“ワークライフバランスの考慮点”として「子育て支援制度」に着目し、転職の際のポイントとしている事も明らかになりました（34.1%）。
これは「結婚や出産を経験しながらも仕事を続ける」事を前提として、転職先企業を選択しているという結果です。

本サイトでは、昨年11月に、労働力不足の問題を解決してくれる存在として、ワーキングマザーを取り上げました。
そして、ワーキングマザーの働く環境整備に取り組んでいる会社が、人材獲得、ひいては会社の業績アップに良い成果を挙げているという記事です。
例えば新聞紙上にも取り上げられた制度に、以下のような新興企業の取り組みが紹介されました。

• ・育児手当の人数制限撤廃
• ・女性社員の出産時にお祝い金50万円を支給
• ・妊娠判明時点から産休の取得対象に
• ・短時間の仕事を充実／託児サービス付きの登録会実施
• ・ゼロ歳児から預けられる企業内託児所を開設

人生のイベントでキャリアの継続を断念するのは、働く女性本人の悩みであると同時に、会社側にも大きな痛手です。会社にも業務にも慣れ、豊富なノウハウを蓄積した社員を、人生のイベントを支援しながらしっかりと確保するための策。この1年も、より現実的でアイデアあふれる制度の制定・運用に注目していきたいと考えています。

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