採用バブルをにらんで、獲得のための戦略を練る

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本格的な採用意欲上昇のあと、求人市場はどうなっていくのか。

年初の景気予想の第一弾となる前回は、なぜ、景気動向は好調で、求人市場も統計的にはバブル状態なのに、今一つ盛り上がりが感じられないか、を説明いたしました。それは直近4年間の景気の形が悪かった、という見立て。アクセルを踏もうとするたびに、震災や欧州危機、6重苦などが起こり、だから、経営者が慎重になっている、ということ。現在は消費税増税が最大のネックと考えられています。ただし、前回で詳報した通り、増税による景気の腰折れは少ないという予想。
前回に引き続き、HRmics編集長の海老原嗣生がお送りします。※2014/01/30の記事です。

今年の夏から秋口にかけ、採用意欲が盛り上がる

経営者の採用意欲が高まり、求人市場に本格的な夏が来るのはいつか?

4月の消費税増税による景気の落ち込みは少ないと前回書いた。

ただし、日常消費に関しては、増税前の駆け込み需要の反動として、やはり4~6月期はマイナスに転じるだろう。

その一過性のマイナスを通り過ぎ、買いだめした日用品も底をつくころ。梅雨明けあたりから、日用品消費は再び、活発になっていく。これは、1997年の増税時にも確認できる動きだ。1997年のように、このあとに、医療費値上げやアジア金融危機などの不測の事態が起きない限り、巡航速度に戻った景気は、拡大を始める。

その時期こそ、ようやく目先の懸念が払拭されたことで、企業経営者の採用意欲が本物になるはずだ。

つまり、夏場から秋口にかけ、求人市場に本格的バブルが来るのではないか。

それが私の見立てとなる。

このシナリオに沿って、求人市場のプレイヤーがどうなっていくか、を予想してみたい。

好景気に使い勝手の良い採用手段は何?

人材を採用するためには、さまざまな手段がある。ハローワーク、コネ、チラシ、自社サイト、求人メディア(公募)、転職エージェントなどだ。

景気動向により、この主役が入れ替わる。その状況を、前回の景気拡大~縮小にあたる2005年~2009年までをトレースしたのが図表1となる(出典は、ビジネスパーソン10万人を対象に、転職意向や転職経路について聞いた「ヤフーリクナビ転職調査2010」より。以下同)

図表1:採用手段別のシェア推移

求人が盛り上がり始めた当初は、求人メディア(公募)が採用シェアを拡大させる。それが、景気の山に差し掛かった2006~2007年ごろになると、若干シェアを下げ、今度は転職エージェントがシェアを伸ばす。

この当時の動きに関しては、二つの理由が考えられる。

まず、あのころは、転職エージェント全体が普及を広めた時期でもあり、元来、転職エージェントを使っていなかった企業が、これを使い出したことによるシェアの拡大があった。その拡大に伴い、求人メディア(公募)への出稿を取りやめる企業も多かったため、メディア(公募)のシェアが下がっていく。これが一つ目の理由。簡単にまとめれば、メディア(公募)から転職エージェントへのリプレイスだ。

こちらに関しては、転職エージェントの普及が進んだ現在では、再現されることはないだろう。

もう一つ、メディア(公募)がシェアを下げ、転職エージェントがそれを上げる理由が考えられる。メディア(公募)の場合、求人広告を作り、それをサイトに掲載することで、ビジネスが成り立つ。実際に転職者の相談を受け、彼らを推薦し、面接を組んで内定までサポートするというサービスはついていない。だから、求人市場が盛り上がり始めた時期に、スピーディに対応が可能であり、企業も利用を増やす。

ところが、市場の盛り上がりがピークに達するころになると、出稿企業の数が大幅に増え、一企業当たりの応募・決定者数が下がっていく。そのため、ピーク期には、掲載しても費用対効果に満足をしない企業が増えていく。そこで、求職者を推薦してくれて、内定までサポートをする転職エージェントに軸足が移っていくのだ。

こちらの動きに関しては今回も必ず起きるだろう。

実際に、2013年は求人メディア(公募)の伸びが、エージェントの伸びを上回っていた。ちょうど、2005~2006年にあたる状況であり、今年~来年が、前回の2006年~2007年のような、転職エージェントが本格的に伸びる番となると予想ができるだろう。

両サービスのメリット・デメリットをふまえてか、近年、求人メディアに成功報酬型のやや転職エージェント的なサービスが生まれてはいる。ただし、これとても、求人出稿数が増えれば、一社当たりの応募はやはり減っていくことになる。そのため、やはり前回同様、採用市場が真夏の時期となるころには、メディア(公募)がシェアをやや下げ、その分、転職エージェントに移るのではないか。

分野ごとにきっちり手段を使い分けるべき

次に、求職者の属性ごとに、どのサービスのシェアが推移していくかを示したのが、図表2および3となる。

こちらは年度別の詳細データというわけではなく、リーマンショック前である2007年~2008年9月までと、リーマンショック後である2008年9月~2009年3月までを比較することで、好況期と不況期のシェア変化を見て取れるようにしている。

図表2:年齢別採用手段のシェア推移

最初に、図表2の年齢別シェア変化だが、こちらは、20代前半、いわゆる第二新卒層で転職エージェントが好況期に強いというのが見て取れるだろう。メディア(公募)に関しては意外にも、好不況の変化が少ない。これは前述のとおり、好況期には出稿が増えるため効果が下がり、逆に不況期には効果が上がるためと考えられる。

図表3:年収別採用手段のシェア推移

続いて、図表3の年収別でみると、こちらは面白い傾向が見て取れる。年収400万円台(首都圏)では、メディア(公募)も転職エージェントとともに好景気に大きく数字を伸ばすが、500万円台になると、伸びるのは転職エージェントのみ。逆に、600万円台になると、今度は転職エージェントが数字を下げる。この奇妙な動きについては、以下のように説明ができるのではないか。

400万円台/そもそも、採用が少ない不況期は有料手段を使わず、コネやハローワークで人材獲得していた。ところが、好況期で人材不足ともなると、有料手段を積極的に利用開始する。そのため、メディア(公募)も転職エージェントもシェアを伸ばし、無料媒体がその分下がる。

500万円台/こちらは、不況下でもハローワークやコネでは人材獲得が難しいため、有料手段を使わざるをえない。ただし、メディア(公募)は好況期になると効果ダウンが起き、結果、一人あたりの採用単価が上昇するためシェアが下がり、一方、料率が不況期でも好況期でも変わらない転職エージェントは、相対的に安価となるために、シェアを伸ばす。

600万円台/意外にも好況期にエージェントのシェアが下がる、という他と異なる動きとなる。これは、400~600万円の大量採用ゾーンへの対応に追われることが原因と考えられるだろう。転職エージェントはあくまでも人手による採用支援手段のため、好況で対応数が増えてくると、既存人員では対応が難しい領域が生まれ、そのため、シェアが下がるものと思われる。

結論は3つ

これらの動きから、求人が盛り上がる時期に見て取れる傾向を以下にまとめてみた。以下を参考にして今年の採用戦略を考えてみてはどうだろう。

  1. 1、採用条件の緩い層では、転職エージェントやメディア(公募)のサービスが効果的。今まで採用を止めていた、もしくは、ハローワークやコネを利用していた層には、新規で転職エージェントやメディア(公募)を利用するのが奏功する。具体的には、事務アシスタント、第二新卒、20代ポテンシャル採用の営業、製造・販売・サービス職など。
  2. 2、採用条件の難易度が中位だが、潜在的に採用競合が多く、獲得がし烈になる層では、メディア(公募)効果のダウンが考えられる。フルサービスで成功報酬型の転職エージェントに力点を置くのが得策と考える。具体的には、営業職・ITエンジニアなど。
  3. 3、採用条件が高く、従来から採用難易度が高い層は、さらに競合も増え採用難易度が上がる。ただし、採用条件が高い分、採用競合が頻発するわけではない。ということで、好況期でもメディア(公募)が奏功する。補足として、専門職に特化した転職エージェントや、自社サイトでの募集などを合わせていくのが良い。具体的には、ハイスペックエンジニア、事務スペシャリストなど。

以上、過去の傾向から、好景気の人材獲得法を考えてみた。

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