日経新聞2月1日朝刊では、「社員の定着率」という記事が1面トップを飾りました。雇入社後の定着が常日頃問題となるサービス・飲食領域で、離職者が減り、定着率が大幅に上がっている、という内容。不況で他業界が求人を控えているため、辞めるに辞められない、ということと、サービス産業自体が大規模化して待遇や勤務条件にも配慮が行き届くようになったことの両方が、好転の理由とその記事は書いています。
業界トレンド講座、今回は「コンシューマー産業」を取り上げます。レポートはおなじみHRmics編集長の海老原です。※2010/02/25の記事です。
昨今、サービス・飲食領域に転職者が向かい始めている、と感じさせる転職事例を数多く耳にする。もともと、サービス・飲食業の場合、接客業務があるかないかにより「人気」「不人気」が大きくわかれた。店舗での接客は土日が書き入れ時であり、そのため、休日は平日にとることになる。そのことが敬遠されたことや、立ち仕事での接客自体が好まれなかったことなどが理由として挙げられるだろう。
同じコンシューマー向け産業でも、「食品メーカー」「玩具メーカー」「アパレルメーカー」など店舗に立つ必要のない製造業は人気が高く、求人広告でも応募者が殺到する状態だった。こうした「高人気」業種は、応募殺到を避けて厳選採用をするために、転職エージェントを利用するという採用手法をとっていた。
こんな、昔から「応募者に困ることのなかった」企業でも、昨今の採用状況はさらに充実を見せている。Eコマース系の人材。もしくは、海外販路を開拓できる人材。さらには、メーカーが直営店を作るための店舗開発スタッフ。こうした、「異業界のスペシャリスト」たちの採用に成功し出しているのだ。
この流れは、2009年中盤以降始まったようだが、BtoB系の業界で、Eコマースや海外展開を縮小する企業が増え、こうした有能人材が行き場を失った結果、コンシューマー産業で彼らの採用が容易になったと推測できる。
一方、店舗に立つことになるサービス・飲食業はどうだろうか。こうした企業は、「将来的には店舗から離れて、背広・ネクタイでの働き方になる」というキャリア・パスを携えて、採用を行うケースが増えている。その採用のパターンも大きく分けて3つになるだろう。
上記の1・2のケースでは、幹部候補社員には、パートナーとの折衝や、部下の管理、経営への関与など、ビジネス・パーソンとしての動きが必要とされる。そのため、販売経験者より、営業や企画など一般のホワイトカラー職経験者が欲しいところだ。ただ、入社後に数年、店舗に勤務することが課され、それがネックとなって応募に二の足を踏む人が多かった。
こんな積年の悩みを抱えていたものが、ここ半年は、ホワイトカラー経験者の応募が増えている。なぜ、彼らは心変わりをしたのか?理由は3つに集約される。
1つ目は、ファーストフードやファーストファッション、廉価家具、ディスカウントストアなどが、不況に強く昨今でも業績を伸ばしていること。
2つ目は、自社開発製品を持っていること。自社製品だからこそ、商品について詳細な知識が持て、また、アフターフォローもしっかりしているので安心だという。他社製品を横流しで販売する形の営業に満足できない人にとっては、けっこう訴求力が高いポイントだ。
3つ目は、最終顧客を目の前にして、ダイレクトに販売する喜びが感じられること。BtoB系のモジュールやパーツの営業で閉塞感を感じているような人にとっては、魅力的なポイントであるようだ。
いずれにしても、この不況が追い風となり、積年の課題を解決している企業が多々見られる。
不況に強いサービス・飲食領域でも、とりわけ安定性が抜群なのが、介護ビジネスだ。社会全体の高齢化が進む昨今、業績を順調に伸ばしているこの業界でも、一般ビジネス経験者のニーズが高まっている。介護やケアハウスのトップ(ホーム長)は、給食関連、オムツや生活衛生用品などの使い捨てグッズ、車いすやベッドなどの機材、といったさまざまな納入業者と折衝をしていかなければならない。「人に尽くすのが好き」という介護スタッフの特性だけでは成り立たないのだ。そこで、一般ビジネスでの経験者が必要となる。では、ビジネス・パーソンから見て、この仕事の魅力はなんだろう?
よく考えると、けっこう訴求力の高い魅力があふれている。まず、ホーム長は一国一城の主であり、監督・決済業務を行う管理職と言える。このポジションに30歳そこそこで座れるのは、大きな魅力だろう。同時に、不況で売り上げに苦しむ多くのビジネス・パーソンからすれば、高齢化で安定した売り上げの伸びが期待できる介護事業は、羨ましくも思える。この2点の魅力をアドバイザーが転職希望者に伝えることで、少なくないビジネス・パーソンがこの仕事に興味を抱き、転職を果たしているのだ。
似たようなケースとしては、学習塾や進学教室などの教室長も挙げられるだろう。こちらは、さらに年齢が若くなり、ビジネス経験があるならば、25~30歳でも教室長となれるため、若手ビジネス・パーソンの新たな転身先ともなっている。
少し整理をしてみよう。
つまり、不況期だからこそ実現した、異業種×異職務の人の流れだろう。この時期に思いっきり不足する人材を採用できたサービス・飲食企業が、業界の明日を創っていくことになる。
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