人事担当者様に有効な、採用にまつわる情報を提供します。
企業存続、企業発展の生命線の一つは人材です。産業界の本格再編が激化する中でどのような採用が行われていくのか、弊社のサービスの一つである、リクルートエージェントのビジネスプロデューサーのインタビューを元にお届けします。
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森本千賀子
株式会社リクルートエージェント (現:株式会社リクルート)
第一ビジネスユニット ビジネスプロデューサー
93年入社。ベンチャー企業。株式上場前後の顧客情報、顧客リレーションが強み。
企業の成長フェーズに合わせた課題解決をミッションとして、主に経営幹部、管理職層の人材コーディネートを行う。多くの経営者と公私を通じた交流を持ち、相談役としても頼られる存在である。(2007年1月現在)
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キャリア採用によって外部から部長、事業部長クラスのミドルマネジメント層を迎え入れる傾向が強まる中で、企業が直面しているのは人材リソースの発掘と自社に適した人材を見極める難しさ。
新卒や若手の採用には比較的慣れている企業も、過去にそれほど事例のない幹部の採用となると、採用プロセスの一つひとつが高い段差のある階段を一段ずつ登る様にパワーのかかる事だと言う。
ビジネスプロデューサーの森本はこう語る。
「どの企業も私達のような人材紹介会社数社に声をかけ、更に新聞や各種求人媒体ヘッドハンティングなども同時平行して利用されています。すべての採用手段を使っている企業でさえ、私達との商談中に“一体求めている人材とどうすれば会えるのか?”と苦笑されるほどミドルマネジメント層の動きが見えず採用に苦戦しています。これは企業規模や成長ステージに関わらず、どの企業にも共通した悩みになっています。」
森本のもとには、昨年中盤から週十数社の企業側からミドルマネジメント層の採用に関する相談連絡が入るようになっていると言う。企業側の需要過多現象が伺える一端だ。では、一方のリソース側の動きはどうなのだろう。
「求職者全般のメイン情報源はインターネットが主流になりました。しかも広告といった企業自らが発する情報よりも、ブログなど第三者情報に敏感に反応するようになっています。地方の小さな農家の生産物がネットの口コミで爆発的に売れるのと同じで、実際に転職活動をしている人、した人の生の情報を得て自分自身の活動に活かそうとする。確かにブランド力のある企業は採用に優位ですが、第三者の実体験情報によって求職者の動きが活発になると、人気企業だからといって安心していられなくなります。」
上場企業よりも上場「準備段階」の企業の方が面白い。例えばWeb情報によって新興企業の注目率が一気に高まることもあったり、大手有名企業であっても、何か新しく刺激的な動きがあると分かれば、ベンチャー志向で革新的な求職者が集まるという事も考えられる。弊社サイトへの登録者も、確かに“転職者の生の声”に興味を持つ方が多い。
「ミドルマネジメント層の強化は、経営者が経営課題と感じて採用に踏み切るケースが殆ど。採用結果そのものが経営に影響してくることなので、どんなに労力を必要としてもやり遂げなければならないという強い意志を感じます。そのため採用企業の工夫も見られます。例えば、社長直轄の経営企画室に人事戦略部門を設け戦略的に採用活動を進める、などです。選考プロセスを省略し経営者がダイレクトに合否を判断するスタイルを構築することで、採用スピードは格段に上がります。一次面接から経営者自らが求職者を口説くこともでき、他社に先駆けて求職者のマインドを掴むこともできるのです。」
幹部層の転職となれば、求職者にとってはある意味これまで積み上げてきたキャリアを捨てて新天地に移ることにもなる。仕事のレベルだけでなく家庭や生活水準など、守りたいものも増えている。転職すべきか留まるべきか、リスクを天秤にかける際にもより慎重にならざるを得ないだろう。そうした人物に、新卒や第二新卒と同じ採用プロセスを用いるのはやはり無理があるというのだ。フィフティフィフティの関係ならば、面接は商談の場でなければならないし、お互いが選び選ばれる関係でなければならない。それを上手く演出できる企業は、やはり良い採用を実現させているという。
ある立ち上げ間もない企業が、40代のA氏という経験豊富な人材の幹部採用に成功した。その際の人事責任者の話が非常に印象的だったのを覚えている。「私たちがA氏を選んだのではなくA氏が当社を選んでくれた。」
人事・採用は管理機能と言われるが、果たして「管理」の中で人はイキイキと働けるのだろうか? 「管理」という概念から脱出し戦略的に機能する。時には組織も手段も大胆に変えることが、ミドルマネジメント層の採用には必要となっている。
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