リクルートエージェントでは、転職を実現したビジネスパーソンに、転職活動全般にわたるその時々の意識や行動の決め手となった事項を調査する「転職世論調査」を行っています。5回目に当たる最新の調査では、特に『選考過程における企業からの連絡』を深堀りし、選考・面接のスピードが求職者にどのような影響を与えるのかを調査しました。そのアンケート結果から見えてきた採用ノウハウを、日々求職者と接しているキャリアアドバイザーの話しを交えながら、4回にわたってお届けします 。
※「第五回転職世論調査」
実施期間:2006年2/22(水)~2/27(月)まで
対 象:リクルートエージェントの登録者で、何らかの手段で転職を実現した方2999名(うち回答者1289名*回答率42.9%)
調査方式:Webを使ったアンケート
Q1.入社を決めた会社は、応募した中で何番目に内定が出た会社ですか?
Q2.面接後に連絡が遅く不安になった経験はありますか?
Q3.面接した会社からどのくらい連絡がないと不安を感じますか?
Q4.連絡の遅い会社に対してどんなことを感じますか?
Q5.面接した企業から、いつぐらいまでに連絡があることを望みますか?
編集 転職に成功したみなさんでも7割以上が、面接結果の連絡が遅く不安になったとの調査結果が出ています。さらに面接後、三日以内には結果連絡が欲しいし、一週間たっても連絡がないと「不採用なのかも」と不安になるのと同時に、企業に対して「物事にルーズな会社かもしれない」と感じるようにもなることが分かりますね。
キャリアアドバイザー(以下CA) 採用したい!という応募者に対しては、当然、企業の反応は早く、翌日に連絡をくださる場合も多いのです。しかし「決済者が出張中」「合否判断でかなり悩んでいる」場合など、企業の事情によってお返事をいただくまでに時間がかかることがあります。
ただ調査結果(Q1)にもあるように、求職者は一番最初に内定出た会社に転職を決める傾向があります。つまり、同時期に応募していた会社の選考結果が遅ければ、それを待たずに入社を決めてしまうわけです。ですから二次面接や内定へと進められない場合も、途中経過を連絡するなどして「あなたを候補者として大切に考えていますよ」と意志を示しておくことが大切です。
最もまずいのは、明らかに不採用の応募者を放っておくこと。ダメな時ほど早く連絡をして、次の転職活動に気持ちを切り替えられるようにしてあげることが大切です。
編集 とにかく連絡は早く、そして結果が出ない場合も途中経過を伝えておくことが有効なのですね?
CA 採用活動は対顧客と接する仕事と同じです。外食・流通などは応募者イコール顧客ですし、産業機器などのいわゆるB to Bのビジネスをしていても、今後なんらかの形で応募者と取引関係を持つことになるかも知れません。「ルーズな会社」などと悪印象を持たれたら企業としてマイナスですからね。
選考過程の上手な会社は「あなたのココのキャリアやスキルを当社では高く評価しているのですが、配属先の長が出張のためいついつまで待って欲しい」とコミュニケーションが途切れないようにします。そうすることによって、応募者の緊張感や入社に対するモチベーションが維持され、逆に「きちんとした会社だ」というように好感度が増したりもします。
反対になんの連絡もなく待ちに待たされる。合格ならまだしも不合格となったら誰でも「失った時間」を悔やみます。
編集 景気回復に伴って転職希望者を上回る数の求人が出ている中でも、マイナスイメージを残してしまうような選考過程は少なくない?
CA 残念ながらそうですね。私が担当しているあるエンジニアで、5社の面接に望んだ方がいます。「どうでしたか?」と印象を聞きましたら、開口いちばん「1社だけコーヒーが出ました」とおっしゃいました(笑)。これ、冗談ではないんですよ。応募者は企業側のちょっとした気配りや対応で気持ちが揺れるんです。結局彼は別の会社に入社を決めましたが、唯一コーヒーが出た事が転職活動の中で最も印象に残ったほど感激したのでしょう。その会社のよい印象は今後も忘れないと思います。
編集 「採用活動は仕事と同じ」とのことですが、注意点をまとめると?
CA 商談では「社に帰って検討します」よりも「その場で返答ができる」こと、あるいは「いついつまで結論を出す」明確さが求められますよね。現在、求職者は一人3~10社に応募していますので選考結果は早く。翌日出す会社もありますから、時間がかかる場合はその理由や結果がでる目安を随時お知らせいただきたいと思います。
スピード、そしておもてなしの心があるコミュニケーションが採用成功を確実にします。現場の取りまとめなど、採用の主導をとらなければならない人事の方の動きに期待したいと思います。
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