最新の転職者アンケートデータから採用を考える！　その4

漠然とした“やりがいを”言語化する工夫

リクルートエージェントでは、転職を実現したビジネスパーソンに、転職活動全般にわたるその時々の意識や行動の決め手となった事項を調査する「転職世論調査」を行っています。その最新の調査を元にした採用ノウハウを、採用に成功した企業の事例を交えてお届けする企画。今回はその第4回です。

※「第六回転職世論調査」
実施期間：2006年5/25（木）～5/30（火）まで
対　　象：リクルートエージェントの登録者で、何らかの手段で転職を実現した方3990名（うち回答者1708名*回答率42.8%）
調査方式：Webを使ったアンケート

やりがいのある仕事を別の言葉に言い換える面接を

転職先を選ぶ際、最も優先したことはなんですか？

何社に応募しましたか？※上位4回答

「この開発の仕事ができるなら、給与や勤務地にはこだわりません」というエンジニア。「頑張った結果が自分の収入に反映されることが仕事の醍醐味だ」という営業。「人にありがとうと言ってもらえる仕事がしたい」という同じく営業。同年代で同時期に転職活動をしている3人ですが、それぞれの考えるやりがいは、やはり異なるもの。

ここに出てきた3人のやりがいは『経験や専門性が生かせる』『頑張りが収入に直結する』『人や社会への貢献』にカテゴリーされる内容ですが、他にも転職相談で多いものには『順調に業績を伸ばしている会社で働く』『設備や知的財産が充実した会社で働く』などがあるようです。

求人情報を見て応募してきた人材は、アンケート結果にもあるよう複数企業に応募しています。もちろん、事前に企業研究を行いやりがいのある仕事と感じたから応募するわけですが、面接にいった先でそのやりがいを具体的にイメージできないと「自分の選択にミスがあった」と、他社への入社へと気持ちが傾いていくことがあります。

こんなことがありました。
ある商社の財務募集。一次面接で具体的な仕事内容を聞かれた人事担当者は「海外の数社の子会社の売上を管理する仕事です」と説明しました。しかし応募者が想像していたのは、海外進出の事業計画段階から関わる仕事。自分が面白さを感じている業務とは無関係と判断した応募者は、面接後に応募を辞退する旨を連絡したのでした。「それなら別の会社に行こう」。

しかし、現実の仕事は人事担当者が説明したものと違っていました。採用を前向きに検討するため書類選考を通した現場責任者は、応募者の辞退を知り慌てました。「なんとかもう一度会社に来て欲しい、わたしからお任せしたい仕事を説明したい」と再度面接日時を設定することを希望したのです。

海外進出に際して人・物・金の面から検討し、進出先まで提案していくポジション、現在抱えている複数の子会社と、これから増やす子会社すべての財務を取りまとめる管理職…。再度の面接で自分がやりがいと感じる内容との合致をみた応募者は、この会社への入社を決めました。

どんなポジションでどんな仕事をするのか、その仕事が取引先や消費者に与える影響は、また、仕事をする本人が楽しめ身につくスキルは何なのか…。 そんな具体的な情報の中にこそ、応募者が入社の決め手にする「働きがい」が有ります。どうかやりがいという言葉を使わず、事業や仕事内容を噛み砕いて説明する言語を探してみてください。答えは、現場で働く社員たちが持っています。

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