怖いと思うから怖い?IMFショック後の韓国の絶好調に思う

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ギリシアが破綻し、IMFの管理監督下に入ったらどうなるか?1997年の韓国の事例をもとに考えてみます。

収まったように見え、その実、低空飛行を続ける株式・金融市場。この不安が取り払われない限り、景気の先行きも不透明といわざるを得ない状況が続いています。そこで、今回は前回に続き、ユーロ危機について続報をお届けいたします。レポートはHRmics編集長の海老原嗣生氏です。※2011/09/29の記事です。

あと2年以上続く可能性があるギリシア問題

怖いと思うから怖い?IMFショック後の韓国の絶好調に思う

この原稿を書いている9月20日現在でも、まだギリシア問題がまったく先行きが見えない状態のままだ。当面は、決定済みの第一次スキーム(1100億ユーロのギリシア向け支援)が履行中であり、その第六弾の9月末に予定されていた80億ユーロ分が10月上旬に延期されたが、果たしてこれが予定通り実行されるかどうか、が世界中の注目を集めている。

今後、IMFの調査団がギリシア入りして、同国の財政赤字状況をつぶさに調べることになるが、精査を進めて行く中でボロが出てくると、融資そのものが難しくなる。赤字削減の帳尻あわせのために、急遽、同国議会は不動産課税を打ち出したが、本当にこれで事足りるのか、等々まだまだ予断を許さない状況といえそうだ。

そして、仮にこの融資がつつがなく履行されたとしても、年末までには第七弾(50億ユーロ)の支援が必要となる。ここまで何とかうまく乗り越えたとしても、さらに来年までに第二次支援スキームを策定し、EU加盟各国の議会で承認を得る作業が待っている。この第二次スキームが開始されると、第一次スキームと同規模程度の支援がまたまた2年にわたり繰り広げられる。多分、実行途上で、今回同様の苦しい場面が何度となく繰り返されることになるだろう。

つまり、このままだと「終わりなきギリシア問題」に世界は苦しめられ続けることとなる。そして、その間、ECB(ヨーロッパ中央銀行)、EFSF(欧州金融安定ファシリティ)、IMFは多額のギリシア国債を抱えることとなり、最後の最後で同国が破綻した暁には、損失額は雪だるま式に増えて・・・。これは、かつての日本の銀行がたどった「問題先送り」による不良債権の拡大と似た状況と言えるのではないだろうか?

問題をこれ以上長引かせずに、ギリシアがハードランディングによるデフォルトを選んだ場合はどうなるのだろう。今から14年前、アジア金融危機の荒波にもまれて、IMFによる救済を受けた韓国ではどのような事態が待ち受けていたか、をトレースしてみよう。

IMFによるハードランディングで国内改革が進んだ韓国

まず、韓国に対してIMFは、厳しい緊縮財政を要請し、財政赤字をGDPの1%まで減らすとともに、為替を安定させるために金利を上昇させることなどを確約させた。韓国はIMFとの間でこうした政策を受け入れる代わりに、最大で550億ドル(約7兆円)の融資を受けることとなる。

さらに、 IMFの要求の中に、以前からアメリカが韓国に要求していた市場開放が盛り込まれてもいた。 IMF=アメリカ、という見方も世界には浸透しており、米韓経済交渉で受け入れられなかった要求を、弱みにつけ込んで韓国に認めさせる魂胆ではないか、という反発も巻き起こることになる。

さらに、韓国の国民感情を逆なでしたのが、大統領候補の“踏み絵”をIMFが行ったこと。翌年2月には新大統領が就任する予定の韓国。せっかくIMFと今の政府が合意しても、次の大統領がそれを反故にしてしまうこともありうる。そのため、IMFは、3人の立候補者が、IMFと当時の政府とで決めた条件に賛同することを、要請した。

こうした合意プロセスの諸段階において、韓国のマスコミや政治家、労働組合などから、不満の声が日増しに高まって行くことになる。

こうした反発にもかかわらず、なぜ韓国は“国辱もの”のプログラムを受け入れたのか。それは、IMFのプログラムが、危機の基本的解決につながり、また、それがないと、他の手段での資金調達も極めて困難になるという現実があるからといえる。国際収支上の超えることのできない問題に直面した国は、まず、IMFとのプログラムに合意しないと、他国や国際金融機関、民間金融機関は融資をしないのが普通である。IMFとのプログラムが合意に達すれば、その国の政策にIMFのお墨付きが得られた、ということで、これらの機関が融資の検討を始め、また債務の返済繰延べも可能になる。 こうした背に腹は変えられない、という事情があった。

そしてもうひとつ。

金融危機の裏にはたいていの場合、弱体化した金融機関の問題や、財政を逼迫させる構造的な問題があり、市場の信頼を回復し、危機を終息させるには、これを強硬手段で解決させるしかない。そのために、IMF提案の受け入れは劇薬として必要だ、という観点が、韓国(やその他、過去のIMF支援を受けた国)の当事者にはあったのだろう。

当時の韓国では、通貨危機が起きた1997年末の1ヶ月足らずで、それまで議論されてきた改革案の数年分が一気に決定されている。

日本の財務省に当たる財政経済院の権限を減らし、中央銀行の独立性を高め、外国人の債券や株式の保有制限を緩和すること。銀行の融資先を政府がコントロールしてきた金融政策を改めること、などである。国内政治ではいろいろな利権が絡んで難しかった改革が、IMFという「進駐軍」の上陸を許すことにより、大幅に前進させたといえるかもしれない。

こうした諸改革が進み、また企業の危機意識の高まりから、外向きな経営が促され、世界に打って出る「英語教育」まで徹底された結果、今の「KOREAN POWER」が生み出されたのかもしれない。

少しデータでその当りを探ってみよう。

IMFショック前に年間経済成長率が7.4%(93~97年平均)であったものが、その後は6.7%(99~03年平均)へとペースはダウンしたが安定成長へと軟着陸し、同時に、国際収支は-7.9%(93~97年平均)の赤字から、14.2%(99~03年平均)の黒字へと大幅改善を果たした。さらに、弱体化を経た韓国ウォンは、対円為替レートを危機前年(1996年)高値時の1ウォン=0.145円から1998年以降は同0.9円へと大幅切り下げに成功し、産業競争力を格段にアップさせている。

冷血鬼は、本当に恐怖の対象か?

少しもとに戻って、偏見無しで考えてみたい。

藤子不二雄の往年の名作に「冷血鬼」という作品があった。町に吸血鬼が現れ、夜な夜な人を襲う、という話。襲われた人は「冷血鬼」となって、次の人を襲う。街中はパニックとなり、残った人は夜間に出歩くのをやめ、息を潜めて隠れて暮らすようになる。そして、いつしか仲間がいなくなり、逃げ延びられなくなった主人公は、冷血鬼に血を吸われるという選択肢を選ぶ。

その後には何が待っていたか?

人並み外れた怪力となり、夜の闇も見渡す千里眼を備え、さらに寿命はなんと1000年に。そして、主人公は考える。「冷血鬼に血を吸われることを、僕らは何で恐れていたんだろう。今、何か不自由があるのか?あの、おびえて逃げ回った暗い日こそ、最悪の時間だった」。

漫画の中の話を、IMFとギリシアのアナロジーにしては、少々問題があることはわかっている。だが、この後ギリシアに対して7次融資、第二次支援パッケージと突き進むよりは、明確な破綻ルールを決め、“冷血鬼”の力を借りるべき時が、近づいているのかもしれない。

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