新卒戦線変化なし!?-氷河期というよりは、就職格差

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今回は中途採用ではなく、新卒採用についての情報をお送りします。

就職氷河期真っただ中の11年度向け採用を振り返ると、言われている「買い手市場」とは全く違う様相が浮き彫りになってきます。そこからは、現在の採用方法について、いくつかの改善点もみてとれます。尚、今回の記事は「就活のバカヤロー」(光文社新書)で有名な常見陽平氏の近著「就活断層時代(仮題)」(角川SSC新書 9月10日発売予定)を踏まえ、HRmics編集長の海老原がレポートします。※2010/07/29の記事です。

好景気よりも早期内定が増えた上位大学生

就職氷河期で学生たちはみな大変な思いをしているのだろうか?

確かに、バブル時代の学生天国とは明らかに様相は異なるが、全員が全員、青息吐息というのは事実とは大きく異なるようだ。

図表1は、4月末時点で大学別にどれくらいの学生が内定を取れているかを調べたものだ。旧帝大・早慶クラスだと、内定有の比率は実に80%となっている。4/1の内定解禁より1か月足らずで、上位校では学生の多くに内定が出ている、という状況なのだ。

図表1/4月末、学生の保有する内定数/文系

かつて、私が雑誌ワークスの編集長をしていた時に、「採用ブランド調査」の特集に付随して、同様のアンケートを大学別に行ったところ、早慶2校で夏休み前に内定を得ている学生の数は7割強だった。当時は、倫理憲章も未制定であり、たとえば松下電器産業(現パナソニック)は、冬休み中のインターンシップで内定を出すことを公言してはばからない、つまりそれほど「早期採用」が極まった時期であるが、それでも、夏前に内定を得ている学生は7割強だった。ところが、現在は4月末でなんと8割に達している。

この違いの理由を知ると、「氷河期で買い手市場」という楽観的態度を一変しなければならないことがわかってくる。就職氷河期とは関係なく、採用活動は熾烈を極めているのが、現実なのだ。

ネット採用→ターゲット校という流れの副産物

就職氷河期なのに、なぜ、こんなことが起きているのか。

理由は簡単。内定は上位校に集中しているからだ。あおりを食らって、中堅以下の大学は、国公私立問わず、目も当てられない状況となっている。つまり、就活氷河期ではなく、就職格差が生じ出しているというのが正しい認識だといえる。

では、就職格差の原因は何か?ここには、2つの問題がある。

  • ・ネット応募の浸透
  • ・ターゲット校選抜の浸透

この2つは、実は表裏一体の関係にあり、そしてこの2つが相まって、日本の就活はかつてとは異なるものに形を変えてしまったのだ。

まず、ネット応募だが、このエントリー方法になると、はがき応募時代よりもエントリー総数は格段に増える。学生からすれば、はがきを一枚一枚手書きするのは骨が折れ、せいぜい20社応募が限界のところが、ネットで登録情報をコピペするだけでエントリーできるなら、100社応募も比較的容易にできるからだ。

結果、企業には大量の応募が集まる。桁が1つ違うエントリーを目の当たりにすると、企業も選考に困る。そこで、ターゲット校選抜(学校名を指定して、それ以外の応募は機械的に不合格とする)により、数を絞って、それから選考に移る、という手法がとられるのだ。

HRプロ社の企業調査によれば、この採用ターゲット校を指定している企業の割合は33%。企業にとって答えづらい調査でもあるから、実数はこれ以上と推測できる。

では、ターゲット校とは具体的に何校くらいが指定されているものなのか。

このデータを示したのが図表2となる。その数、20校以下で82%。20校というと、旧帝大・東工大・一橋大・東京外大・早慶上智・MARCH・関関同立を合わせた数とほぼ同数。つまり、これくらいの大学にのみ、内定が集中する、という状況になっているのだ。

図表2/ターゲット校の数

「次世代経営を担う」というワンスペック化

こうした少数ターゲットに向かって採用競争が繰り広げられる中で、これに油を注ぐような問題がさらにもう1つ発生している。

俗に、「ワンスペック採用」「神様スペック」と揶揄される「理想的な採用スペック」の設定だ。これは、最近の大手企業が、マスコミの流す「買い手市場」という情報にあおられ、スペックをむやみに高く設定するケースが多すぎることに端を発する。いつもよりも少数しかとらない分、質にこだわる、という名目で、要はどの企業もおんなじような学生を取り合っているのだ。

ここにあげる神様スペックとしては、「自律的(自分の頭で考えられる)」「ハートが強い」「課題を発見できる」「コミュニケーション能力が高い」の4つが挙げられるだろう。平たく言えば、「次世代の経営を担う人材」とでも言えばいいだろうか。

果たして普通の営業や事務を行う人間に、ここまでのスペックは必要なのか、という疑問が、「神様スペック」という揶揄につながる。

彼らをうまく自社に誘導しようとしても、こういうオールマイティ層はなかなか自社に応募してくれない。その結果、企業はジレンマを募らせていく。その様が、図表3に表れている。企業の採用課題の1番は、「ターゲット層の選考への誘導」に他ならないのだ。

図表3/企業の採用課題

事業体や企業風土を全く無視して、金太郎飴のようにこうした人物を、狭いターゲット大学群の中から取り合うことにより、今度は内定バッティング→辞退多発という問題が生まれる。結果、人気学生は内定を多数獲得し、不人気学生は見向きもされない、という就職格差が広がっていく。

一方で、企業は買い手市場でも気を休める間もなく、熾烈な採用競争に明け暮れたあと、辞退対策に頭を悩ませ、さらには、そんな「自律的で課題意識が高いターゲット」社員たちは入社後の現状に飽き足らず、早期離職者が多数生まれていく。

2012年新卒採用の計画を立てるにあたって、こうした茶番について、もう一度社内で検討することをお勧めする。

少なくとも、いくつかの有名企業は、もう、この虚無のサイクルから抜け出そうとしている。大手総合商社が内定出しを7月に後ろ倒ししたことなどはその典型といえるだろう。

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