Hさんは、転職先企業が間もなく行った組織再編によって、それほど経験のない「事業開発部」に配属となり、ある日突然、仕事内容が一変してしまった人物。「心機一転、頑張ろう!」とは思うものの、周りにも馴染めないまま経験の浅い仕事をしなくてはいけないプレッシャーに、日々、押しつぶされそうになっていました。
Hさんは、正直、何をどんなふうにやっていけばいいのか分からなくなっていました。 勇気を出して先輩に質問してみても、「じゃ、僕がやっておくよ」と一言。周りが“そんなことも知らないの?”と言っているように思え、まるで自分一人が取り残されていくようなあせりを、次第に強く感じるようになっていったといいます。
毎日がそんな具合だから、Hさんはだんだん人が変わったように沈んでいきます。口数が減るどころか、部署のメンバーと目を合わせるのすらビクビクするようになり朝、出社しても相手の顔を見て「おはよう」とさえ言えなくなってしまったのです。
そんなある日、Hさんは上司にミーティングルームに呼ばれました。
「最近なんだか沈んでいるように見えるけど、なにかあった?」
Hさんはこれまで、あまりにも忙しそうなので声をかける事もできないでいたその上司に、すべての事を包み隠さず打ち明けました。「正直、つらいだけです。どうしたらいいのか分かりません…」と。するとその上司は、こう言いました。
「じゃあ、明日から毎日、朝の15分間、二人で朝会をやろう」。
さて、それからHさんは、毎朝「今日はこれをしようと思います」とその上司に仕事を報告。「じゃあこんな準備が必要になると思うけど、やってある?」上司からはそんなフォローがあり、少しずつ仕事を覚え、自信をつけていったのでした。
現在Hさんは、自分の企画した業務がいくつか形になり、成功体験を積んだことで自信もつき、以前の明るさを取り戻しました。すると不思議なことに、いろいろなことが増々良い方向に動き出し始めたといいます。部署の仲間や他の同僚たち、協力会社の人たちとの関係もよくなり、仕事も面白くなっているといいます。
もしあのまま上司が気付かずにいたら、Hさんが再び転職活動を始めるのは時間の問題だったでしょう。日々の人材マネジメントは、人事ではなく現場の中間管理職が行うもの。では、人事には、一体何ができるでしょうか…。
それは、人事のみなさんが、人が辞める時というのは、こうした人には言いにくい、ある意味知られたくないような理由の場合も多い、ということをまず把握しておくことです。そして、各現場の中間管理職たちと、定期的に対処法などについてミーティングの場などを設けて“情報共有”しておくことも大切です。
「最近、目を合わせない」「おどおどしている」「声やメールのトーンが変わった」、などという社員がいると聞いたら、人事としては『一声かててみてはいかがでしょうか?』と積極的にはたらきかけましょう。また、社内を見渡して、いつもお昼を一人で過ごしている社員なども、ちょっと気になる存在です。その社員の直属の上司(=中間管理職)に伝えて、一度は真剣に話をしてみるのも危険回避につながるかもしれません。
医療機器メーカーのA社は、入社者に対して手厚くOJTを実施していました。先輩営業社員に新人を同行させること一ヶ月。社用車で営業に回るA社では、まさに先輩社員と新人は徒弟関係の間柄になります。A社に入社したMさんも、先輩社員と朝から晩まで寝食を共にせんばかりの濃密な時間をすごし、そして一ヶ月後に先輩社員ともども退職しました。
どうやらこの先輩社員、以前から会社の経営に不満を持っており、転職を考えていたようなのです。会社に対してネガティブになっている人と「寝食を共にした」のだからひとたまりもありません。Mさんは、先輩社員と同様、すっかりA社にネガティブになってしまいました。
入社直後に身の回りにいる人たちから、「新人」は影響を受けやすいといいます。手厚いフォローも人選をミスすると、逆効果になったりするのです。
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