採用トレンドを斬る-英語は企業公用語になるか

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英語の社内公用語化の動きや、メリット・デメリットなどを考えてみます。

少子高齢化の影響で、国内市場の縮小に拍車がかかる日本。一方で、お隣の中国をはじめ、新興国の成長は目覚しく、世界経済の牽引車となっている。つまり、これからの経営はグローバルというキーワード抜きには語れなくなっているわけだが、それに付随して持ち上がるのが、何語で経営するかという問題である。※2010/07/08の記事です。
荻野進介(HRmics副編集長)

英語ができない役員には辞めてもらう

採用トレンドを斬る-英語は企業公用語になるか

この6月、ネットサービス大手の楽天、ユニクロを展開するファーストリテイリングの2社が相次いで、2012年までに社内公用語を英語にすることを発表した。

英語の社内公用語化といえば、ルノーとの提携により実質、外資となった日産自動車の例が有名だ。1999年6月にCEOに就任したカルロス・ゴーン氏が「英語=仕事上のコモン・ランゲージ」宣言を行って以来、取締役会、役員会は英語で行われるようになった。ひとりでも会議に外国人が加わった場合や、トップが外国人の部署で行われる会議もすべて英語。決裁書、稟議書などの社内文書にも日本語と英語の併記が義務付けられた。

楽天の場合、公用語化の徹底はこのはるか先を目指しているようだ。2010年から社内が“英語漬け”になっており、取締役会はもちろん、事業ごとの経営会議も、会話と資料はすべて英語である。毎週月曜日の朝8時から行われる全社員対象の「朝会」も英語で行われている。社員食堂のメニュー、フロアの案内版も英語にするほどの徹底ぶりだ。

昇進のためにも英語は不可欠で、入社3年程度でTOEIC600点、管理職級で700点、執行役員級で750点以上が必須とされた。三木谷社長からは「猶予は2年間。それまでに英語ができない執行役員はクビにする」という勇ましい発言も飛び出している(『東洋経済』2010年6月19日号)。

一方のファーストリテイリングは、柳井会長が経営会議は文書を含め、すべて英語で行うことを宣言。そのための基礎として、TOEIC700点以上の英語力獲得を求めている。

どちらも、日本で生まれた非外資企業だが、劇薬ともいえる英語公用語化は、「国内だけを相手にしていたのでは生き残っていけない」という、脱・ガラパゴス化を目指す経営判断の表れといっていい。

どんな企業が英語公用語化を進めるべきか

『英語で経営する時代』(共著、有斐閣)という著書をもち、10年以上前から「英語経営のすすめ」を説いてきた南山大学の吉原英樹教授によれば、(1)販売市場で半分以上、(2)生産で4分の1、(3)開発で10分の1、それぞれ海外に依存している企業は英語経営に移管すべきだ、という。楽天、ファーストリテイリングの2社ともこの基準にはまだ達していないが、あえて踏み切った。どちらもカリスマ的企業家をトップにいだくという点では共通している。英語公用語化そのものが目的というより、それをきっかけに、「グローバル企業に生まれ変わる」という決意の表われと見るべきだ。

そもそも、日本企業で、英語公用語化の先鞭をつけたのが電子コイルメーカー、スミダコーポレーションである。本社は東京にあるが、現在、約2万人いる社員のうち、日本人の数が600人あまり(3.2%)しかいない。しかも、売上高の85%が海外に依存し、生産拠点は日本にひとつもない。そんな隠れたグローバルメーカーが2002年から英語を社内の共通言語にしているのは理にかなっている。

もともと同社は1999年までは日本語を重視し、海外現地法人の社員向けに日本語教師を派遣するなど、日本語教育を熱心に行っていた。日本人が経営のトップを占め、工場長も日本人だったからだ。ところが、同年にアメリカ企業の電磁気事業部門の買収が行われた。そこで働いていた従業員をスミダグループにうまく組み入れるには、彼らに日本語を覚えてもらうか、自分たちが英語に長けるかしかない。経営陣が選んだのが後者の選択肢だった。

「英語共通語化」を後押しする施策として同社が取ってきた施策が面白い。

  • ・本社の1フロアに1人、ネイティブスピーカーの社員を配置
  • ・優勝者にグアム旅行があたる英語スピーチコンテスト
  • ・日本語使用禁止、話したら罰金の忘年会
  • ・社内食堂の従業員を外国人にしてメニュー表記もすべて英語に変換
  • ・全員に英語のニックネームをもたせる
  • ・TOEIC500点以上の希望者に英語学習費用として年間30万円を支給

いずれも無理をせず、英語アレルギーを少しずつ緩和していくような内容となっている。

英語力>仕事力にならないか

ここで、英語の社内公用語化のメリット、デメリットを考えてみたい。

メリットとしては、通訳や翻訳といったコストが不要になるのが大きい。言語が統一されると意思決定の速度も増すだろう。ネットの世界では英語がいわば第一言語であるから、情報収集がしやすくなるのも大きな利点である。さらに、(英語を話す)外国人の採用や登用がしやすくなる。ダイバシティの実現に役立つというわけだ。

一方のデメリットだが、英語力が低い人にとって、大きな負担となるのは間違いない。企業負担か、個人負担かはさておき、英語習得のための学習費用もバカにならない。踏ん張りどころなのに、「英会話学校の時間が来たから、お先に失礼」とでもなったら、本末転倒だ。会議の生産性も最初の頃は落ちる。仕事ができなくても英語を流暢に話せる人の評価が高くなったりしたら、目も当てられない。

こうしたメリット、デメリットを勘案すると、今後、国内より海外重視に舵を切った企業であれば、役員に外国人を入れ、役員会での英語使用から始めてみたらどうだろう。社員に英語公用語化という“艱難辛苦”を与えるならば、まずトップから範を垂れるべきである。偉くなるには、英語ができなければならない。そういう空気が社内に醸成されれば、自然に社員の英語力もあがっていくはずである。ちなみに、楽天、ファーストリテイリングともに、両社のHPを見た限りでは、外国人役員の数は今はまだゼロである。

英語よりも中国語が大切?

一方でこういう動きもある。

建設機械で世界第2位のシェアを誇り、売上げの海外比率が8割に達したコマツは、この6月、2012年までに、中国にある子会社16社の経営トップを全員、中国人にする方針を発表した。

同社は、日本を代表する、まぎれもないグローバル企業でありながら、英語公用語化を推進している節はない。重視しているのは現地人材の抜擢であり、コマツウェイと呼ばれる企業DNAのグローバルレベルの浸透である。

言語の変革から入るか、人材の抜擢から進めるか。同じグローバル経営という山を登攀するのに、どちらの道を選ぶべきか。少子高齢化により国内市場が収縮するなか、選択を迫られる企業が増えるのは間違いない。

最近、グローバルといえば、元気がいいのは、欧米よりむしろ中国企業だ。中国企業による日本企業の買収例も増えている。今後、人民元の切り上げが行われると、買収はさらにやりやすくなる。英語ならぬ、中国語が社内公用語になる日のほうが近いかもしれない。こうした日本企業における英語強化の潮流に着目し、次回以降で、個別企業の採用や教育研修に焦点をあてた第二弾レポートをお届けするつもりだ。

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