新旧好対照な開発案件が目立つIT業界

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雪解けと業界変革が進行しつつあるIT業界のトレンドをご紹介します。

株価も昨年3月に底を打ち、GDPは3四半期連続で上昇中。すっかり最悪期は脱した感はあるのですが、それでも景気の二番底が不安でもある今日この頃。こういう時は、ミクロな景気がどうなっているか、覗いてみるのも一興でしょう。HRmics編集長の海老原がレポートします。※2010/03/04の記事です。

変化の胎動

新旧好対照な開発案件が目立つIT業界

半年ぶりとなるIT業界のレポート。前回は、求人の最悪期を脱したことが以下のような点から分かった。

条件にぴったりかなう応募者が、最終面接で「内定待ち」となり、最終的に内定が出ないというケースが減少(内定となるケースが徐々に増加)。これは、「ぴったりな人材でも、仕事がないから採れない」という状況から、「ぴったりな人材なら、(しばらく待ってもらい)何とか仕事を探して、内定を出せる」状況に業界が変化しつつあるという胎動期なのだ、と解説をした。

現在の状況は、これよりもさらに一歩進んでいるようだ。IT業界の場合、不景気が進行すると仕事がなくて、社内で待機するSEやプログラマーが増加する。こうした待機要員は最近すっかり少なくなってきた、というのだ。待機要員が少ない企業からだと、(採用意欲が高いと思えるので)リクルートエージェントも自信を持って求人の紹介ができる。そんな好転を体感できる状況なのだという。

オープン・ソースという「さざ波」

まだ、力強くグングンと求人市場を引っ張るような企業は現れていないが、細かく見れば、ちらほらとさざ波が立ち始めた分野が目に留まるようになった。その一番手が、「オープン・ソース」関連の求人だという。業界外の人には聞きなれないこの言葉、少し解説をしておこう。

コンピュータを動かすソフトウェアというものは、各種のプログラミング言語で書かれている。この言語は、主に英語の単語を使用し、その法則性なども分かり易く、プロの人間ならば、読み書きがかなり自由に行える。この読み書きを行うのが、プログラマーであり、作業自体をコーディングと呼ぶ。ただ、実際に書かれたプログラムだけでは、コンピュータは動かず、これをさらに機械にわかることば(機械語)に翻訳する仕組みが間に入り、そうしてコンピュータでソフトは動くことになる。

この、機械語に翻訳されたプログラムは、0と1の連続であり、これはもう人間には理解が不可能になる。

旧来のプログラムを販売する場合、この「機械語に翻訳された判読不可能な」ものを納品していた。そのため、購入者が中身を容易に改良もできないし、このソフトウェアをもとに新たな作品を作ることも難しかった。こうした状況を、「クローズド」といい、ソフトウェアはあくまでも開発者に所属し、利用者は使用料を払ってそれを使っている、という概念で、ITの世界が構築されていたのだ。

成功事例が新スタンダードを作るか?

ここに、大変革をもたらしつつあるのが、オープン・ソースだ。ソフトウェアを人間が理解可能なプログラム言語で書かれたソース・コードまで公開する、というスタイルである。これなら、1つのソフトウェアをベースに、さまざまな開発ができ、また、バグなどがあった場合も、利用者がそれを改良して公開すれば、反映されるため、開発がスピーディに、安価に行えることになる。

そう、ソフトウェアはみんなのものであり、それを各自ができる範囲で作り足しながら、みなの利便性をアップしていく、という新たな考え方-それが、オープン・ソースの考え方であり、こうして作られた世界を「オープン・アーキテクチャ」、この世界を支える仕組み(土台)を「オープン・プラットフォーム」と呼んでいる。

オープン・プラットフォームを具体的に示すと、(1)オープンなOS、(2)オープンなWebサーバ言語、(3)オープンなDB構造、(4)(機械語ではなく、直記述が可能な)スクリプト言語の4つを指す。その代表的なものとして(1)ならLinux、(2)はApashe、(3)はMySQL、(4)はPerl・PHP・Pyton、それぞれの頭文字をとって、LAMPと呼ぶのが流行りとなっている。こうしたオープン・リソース型の開発に関しては、まだ歴史も浅いために信頼性に不安を抱くクライアントも多い。そのため、ここに抜本投資する企業は少なかったのだが、「早い・安い」という即物的魅力と、次の世界観を作るという高邁な理想にほだされ、昨今急激にオープンを標榜する企業が増え始めた。

この思想自体が、クラウドコンピューティングの目指す「身軽」で「社会的無駄を削減する」という方向性ともあっているため、クラウド関連の開発はオープン環境で行われることが多い。それがまた、流れに拍車をかけている。

とりわけ、進化の激しいWebサービス分野では、オープン標榜企業が増え、大手検索エンジンや、SNSサイト、集合型Eコマースサイトなどが、オープン型システム構築に歩を進めている。いずれの企業も開発力に長けた内製スタッフを抱えているために、多少のトラブルも社内で対応が可能なので、こうした決断が可能となったのだろう。

利用者が多く、影響度の大きいポータルサイトやEコマースサイトでこうした成功事例が確立されていくと、次第にオープン型システム構築は社会に認められ、開発の主流となっていくのではないか。そんな予感を抱かせる空気が漂っている。

金融系で今でも続くコボラー需要

一方で、信頼性にとにかく重きが置かれるような分野では、いまだに超クローズドな環境でシステム開発は続いている。その最たるところが金融系であり、高セキュリティ、高負荷に耐えられるシステムとして、今でも汎用機をベースにした基幹システムがその主役の座に収まっている。開発に使う言語もCOBOLであり、そろそろこの言語を使いこなせるプログラマー(コボラー)も転職市場には少なくなってきた。

こうした中で、金融系はいまだにどこかで大規模開発が続いている。大手企業の合併が常に繰り返され、大規模なシステム再編が必要となるからだ。銀行、証券がひと段落したと思ったら、今度は、生保とカード・信販の分野で開発が盛んになる、といった具合だ。この領域では、少数になったコボラーと、少数ながら開発が続くクライアントを結ぶ、低位安定型の人材移動が続く、と考えていいだろう。

早さと安さと次世代を目指す「オープン+クラウド」への動き。対して、信頼性と安全性を重視する「超クローズ」な動き。現在のIT業界は、新旧両極端の人材が、不況下でも動いている、と見てとれるだろう。

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