建設・不動産業界に経営シフトを学ぶ

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構造不況が叫ばれるこの業界、実は「不況シフト」のさきがけでもあったのです。

他業界も参考にすべき、不況シフト-レポートはHRmics編集長の海老原でお送りします。※2009/12/17の記事です。

「不況慣れ」した先駆者たち

建設・不動産業界に経営シフトを学ぶ

リクルートのある霞ヶ関界隈を歩いても、オフィスビルに空室が目立つ。住宅地を歩けば、今度は建築計画がたな晒しになった空き地が普通に散見される。一方、土木建築分野では、八ツ場ダムに代表されるように、無駄な箱物投資の削減により、閑古鳥が泣く。不況風をもろに受けやすい建設・不動産業界は、今、真冬の真っ只中なのか?答えはNOだ。

バブル崩壊以降、土地価格下落に長らく悩んだ不動産業界も、小泉改革で予算削減が当たり前になった建設業界も、いわば「不況慣れ」した先駆者たちなのだ。今回の金融危機にあっても、すでに対応フォーメーションを決めて、そこかしこに新しいビジネスが生まれ始めている。

不動産は「まだら模様」

なんと言っても大きいのが、「底入れニーズ」だ。土地は上がり下がりするもの。下がった時に仕入れた奴が常に勝つ。この鉄則に従い、すでに大底打ちが観測される今、底入れニーズが多方面で起きている。

  • ・マンション→営業求人は底這い状態だが、用地仕入れ求人が徐々に増加中。
  • ・売買仲介→法人仲介は全くないが、個人住宅には動きが出てきた。求人もつられて徐々に増加。
  • ・不動産投資顧問→合成指標であるJリートは値動きが鈍いため人気がない。

そのため、リート関連の求人は底打ち感が見られないが、底入れ低位物件を組み込んだ私募ファンドには人気が集まっている。特に、旺盛なチャイニーズマネーが食指を伸ばしていることもあり、この分野の求人は、リーマンショック前に匹敵するほどの求人数に迫る。

底入れが広範に起きているわけではないため、各分野で「旺盛な領域」と「閑散としている領域」に分かれ、まだら模様となっていることがわかるだろう。ここから、全体が好転するまでにはまだ少し時間がかかりそうだ。

資金繰り対応

一方、ROI(投下資本利益率)を考えた効率の良いビジネスへの事業伸張も進んでいる。特に、中堅・中小ディベロッパーは、資金繰り悪化から、その動きが顕著だ。たとえば、直近やけに北関東の戸建て住宅の開発・販売に伴う求人が増えている。理由は推して知るべし。マンションよりも戸建ての方が用地仕入れが容易く、販売も早い。とりわけ、北関東なら物件価格自体が低く押さえられる。少ない資金ですばやく利益確定、のお手本といえるだろう。

建設の柱は「効率化」

建設業界にもまだら模様は散見される。ここでは、「底入れ」がその機軸ではなく、「効率化」が変わって柱となっている。

たとえば、コンストラクション・マネジメント(CM)関連の求人が設計事務所を中心に徐々に数を増やしている。この仕事は、施主とゼネコンの間に入り、施主の立場から、ゼネコンの設計や建築計画を精査する役割を指す。CMが入ることにより、施主は、ゼネコンの言いなりにならずに、VE(ValueEngineering=価値を変えない範囲で部材を変えて値段を下げたり、無用な機能を減らしてコストカットする)を行い、また、安全性なども増強できる。不況業界だからこそ必要となった、新たな役割だろう。

同様に、メンテナンスやリフォームなどで秀でた能力を持ったサブ・コンが施行監理の求人を増やしていたりもする。たとえば、橋梁などのひび割れを補修し、耐震性能や耐用年数を大幅に増やすことができる特許技術を持つサブ・コンが、買い手市場の昨今、急激に求人を伸ばしている。

商流変更、法制変更

面白いところでは、建材系メーカーの知財・特許関連求人がある。製品販売が滞り始めた建材メーカーでは、ホームセンターなどの一般向け販路に商品を流し始めた。俗に言う「商流変更」だ。ただし、業者向けと異なり、競争が激しい一般向けだと、少し売上げが増えるとすぐに類似品が出回る。こうした問題への対応として、特許関連の防衛を意識した求人が増えているのだ。

一方、法律の変更も求人に流れを作る。10月から住宅瑕疵担保履行法が施工されたため、構造計算求人が設計事務所で増加。法律や条令で助成金が出る「エコ関連」の建材、たとえば太陽光発電やEcoキュート、太陽熱温水器などでも求人は増えている。他業界ではあるが、国際会計基準の変更により、経理職や経理システムを作るSEの需要が増えたのと同様だろう。ちゃんと吟味して政策を作れば、人の流れが確実に起きるいい例だ。

常在求人に、優勝劣敗の法則

ただ、不況期に何よりも大きいのは、やはり優勝劣敗の法則といえるだろう。これは、常時人手不足にあるような職種において、不況により敗退した企業から、大手・安泰企業へと人が移る流れだ。電気・設備系や大規模プラント、大規模ビルなどの施工技術者が、そうした職種に当たる。業績悪化で人材を維持できない中堅ゼネコンから大手ゼネコンへの出世魚的な転職が、徐々に目立ってきている。


どうだろう。不況期には不況期にあった経営シフトがある。「底打ち狙い」「効率化需要」「商流変更」「法制変更」「常在求人に優勝劣敗の流れ」。企業内、時には企業を超えた業界内でのうまい人材移動が、すでに経営に組み込まれ、景況にしたがい次の一手が繰り出される。
その対応も早い。
不況サイクルの申し子でもある建設・不動産では、すでに復活の芽が方々で萌え出している。

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