入社した社員を取り巻く環境について考え、どのような制度や取り組み(物質的・精神的に)が、社員の定着や戦力化といった採用成功に効果をもたらすのかを探ります。今回も企業文化の継承についてです。
社員総会でトップの話を聞いている社員の表情。部門長の今期の事業方針についての報告を聞いている社員の表情。課ごとに分かれて具体策を練っている社員の表情。
この3つを比較した時、個々がいちばんイキイキとしている場面はどれでしょうか。会社全体を見渡して社風を表現すると漠然としてしまうことも、「課」のような小さい単位で考えてみると具体的な会社らしさが語れるようになる、ということはないでしょうか。
例えば、企業DNAの1つとして協働推進型の組織(学習する組織)を重んじているような例では、1人のリーダー(課長)と10名以下のメンバーで組織される課こそが、日頃の社員の業務基盤。協働推進型の組織が形成され機能していくことで、会社の業務基盤はより強固なものになります。
会社のDNAを明確にして継承していくことは大切です。しかし、積極的なキャリア採用によって色々な価値観が会社に大量に流れ込む中では、たとえ「課」という単位であっても、企業DNAの浸透を考えていくのが難しくなります。
以前、リクルートエージェントでは、キャリアディベロップメントの一環で入社半年後を目安に「360度評価プログラム」を実施しておりました。自分自身と、周りの仲間や上司の評価を書き出して並べてみる。すると、自分自身はよく発言すると思っていたにも関わらず、周りは発言が少ないという印象を持っているなど他者を通じて自己理解ができます。
これが効果的に進みますと「課の状況を良くするために、自分にも何かできることがあるのではないだろうか?」とメンバー個々が自主的に考え始め、課は協働推進ができるような空気になります。メンバーそれぞれのパーソナリティの気づきがこうした空気を創りだします。上記の360度評価プログラムはその基礎となる人材開発プログラムとして一役買っていたのです。
日常業務を通して協働推進型組織を作っていく場合、リーダー(課長)は、指揮命令する役割ではなくメンバー同士のコミュニケーションを活性化する役割に徹する必要があります。異質な文化や多様な価値観を持ったメンバーが、自分たち自身でチーム運営の良し悪しを考え、意見交換しながら課を育んでいく。リーダー(課長)は他責性のあるメンバーには苦言を呈し、チームの状況の良さにも悪さにも自分自身が加担しているということを、実務を通じて気づきを与えます。
転職希望者の本音を突き詰めていくと、多くは人間関係にトラブルを抱えており、中でも常に上位にランクインするのが直属の上司との関係悪化です。考えてみれば、社員の仕事は課単位で行われ評価されるもの。社長への不満で今すぐ会社を辞める社員は稀ですが、直属の上司に不満があればそれは転職へと直結します。逆に課内の関係が良好であれば人はやる気になり、全社的な課題にさえ課で取り組んでいこうと、協力関係が強くなる事さえあります。
社員総会では見えにくい社員個々の表情は、日常業務や課の飲み会でこそ現れてきます。そして、その表情こそが社風、自社らしさ。日常から遠い社長や経営陣がカリスマ的存在でも、より日常に近いリーダー(課長)に魅力がなければ、やはり社員の安定的な定着、戦力化を生む組織にするのは難しくなるでしょう。企業文化を継承するために、日常に近い組織レベルでの実践に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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