最新の転職者アンケートデータから採用を考える！　その6

誰にでもドラマがある。送別会に見え隠れする人間模様

リクルートエージェントでは、転職を実現したビジネスパーソンに、転職活動全般にわたるその時々の意識や行動の決め手となった事項を調査する「転職世論調査」を定期的に行っています。今回からの4回は、その最新の調査結果をご紹介すると同時に、そこから見えてくる転職者心理と最近のキャリア採用の動向を交え、採用ノウハウとしてお届けします。

※「第七回転職世論調査」
実施期間：2006年8/24（火）～8/29（火）まで
対　　象：リクルートエージェントの登録者で、何らかの手段で転職を実現した方4686名（うち回答者2157名*回答率46%）
調査方式：Webを使ったアンケート

出会いの前に別れあり。転職はいつも、ドラマのよう。

退職時に引き留めはありましたか？

送別会はありましたか？

『ある社員の誕生会と聞かされ出席したら、自分の送別会だったんです』。

これは第七回転職世論調査ではじめて試みた質問、「在籍企業での送別会」について寄せられた、フリーコメントのひとつです。 アンケートでは転職した7割強の方が送別会を経験しており、併せて寄せられたフリーコメントを見ると、上記のような“粋な計らい”で仲間から見送られた方々も少なくありませんでした。たった1～2行のフリーコメントなのですが、そこには人間ドラマが見え隠れしています。

私たち編集部では、これらエピソードをそのままファイリングしてしまうのが　勿体無い様な気分になりました。思わず胸がジンとしてしまったり、口元が弛んでしまったり…。初めて文章を目にした私たちでさえ心が揺れるような、数々の送別会のシーンが書かれていたからです。

多くの求人企業は、転職者が在籍していた会社を円満退社し、自社に入社することを望んでいます。前述のような、嬉しかった送別会としてコメントをくださった転職成功者は本当に理想的。素晴らしい社会経験を1ページに刻み、新天地で心新たにスタートを切ることになるのでしょう。

本来、採用ノウハウをお伝えするシリーズ企画ですが、まずは皆様と、こうした「転職者が体験した送別会のエピソード」を共有させて頂こうと思います。転職理由が十人十色であるように、人との関わり方も十人十色。どんな転職者にもドラマがあると思うと、採用活動にも誠心誠意取り組まなければいけないと思うのです。

感動した送別会のエピソード

●こんな意外なことが…
「いちばん嫌だと感じていた上司が、実は自分をちゃんと見ていてくれ“あなたのいい所をもっと伸ばす育て方をすればよかった、ごめん。長所を見るべきだった”と、反省の文をみんなの前で述べてくれた。」
「背広を着る仕事に就くということで、同僚がシャツ・ネクタイ・小物などなどをまとめてプレゼントしてくれたことが嬉しかったです。」
「送別会の前に、自分が好きな釣りに部署の方々が一緒に行ってくれたこと。」
「ある社員の誕生会と聞かされ出席したら、自分の送別会だったんです。」
「妻と同伴の送別会。」
「卒業証書をもらった。」
「生まれた年のヴィンテージワインをプレゼントされた。」

●企画モノ的な送別会に限らず、仲間からの何気ないねぎらいも意外と感じ、嬉しかったという方もいたようです。
「退社当日何もなく帰るものだと思っていたら、全員が起立し、餞別をもらい見送ってもらったこと。」

●意外な人が…
「トップ以下臨時職員に至るまで全員が出席してくれたのには感激しました。普段の忘年会や親睦会には絶対顔を出さない人も来てくれ、嬉しかったです。」
「過去に仕事上いさかいがあってそりが合わなかった人に送別会を開いてもらい、温かい言葉をかけてもらった。」
「私より前に辞めた方も送別会に来てくれた。」

●みんなが…
「みんなからの送別メッセージ映像が詰まったスペシャル編集DVDをプレゼントされた（泣）」
「他部署の人たちも来てくれ、人生で初めて花束をもらった。」
「所属部署のみんなが自分の写真を撮り、そこにコメントを寄せてアルバムとして渡してくれた時、涙が出そうになった。」
「迷惑だと思い職場の有志でという条件で開催してもらったら、職場の全員が来てくれたこと。」
「ヘルメットにみんなの寄せ書きがしてあったこと。」
「部下全員の似顔絵とコメントが書かれた手作りの小冊子をもらった。」
「最後にみんな一言ずつ述べて握手をして去っていった朝5時の新橋駅。」

●社内だけでなく、お客様から送別されて…
「担当していたお客様が私一人のために10人近く集まり、盛大な送別会を開いて下さった。また毎日のように社内外から送別会のお誘いをいただいた事も嬉しかった。」
「職場の同僚だけでなくお客様が多く送別にいらしてくださった。」

●面倒を見てくれた上司や先輩が…
「上司の自宅に招かれ、そこで送別会を開いてくれました。奥様の手料理を頂きながら、私の将来の夢を聞いてくれ、上司の若かりし頃のエピソードを話してくれたり、現実の厳しさを忠告してくれたり…」
「いちばん迷惑をかけた先輩から大きな花束を頂いた。」
「直属のリーダーが期間を別にして数人いましたが、個別に別個の送別会を開いて頂いたことです。」

●後輩が…
「後輩から寂しいと抱きつかれた。」
「別れ際に握手をした手をなかなか離してくれなかったこと。」
「派遣さんが泣いてくれ、同僚が胴上げをしてくれた。」

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• 第4回・転職者世論調査から探る採用ノウハウ　その1転職の相談相手に求めるのは「誠実さ」。有名人でいえば「古田敦也」。あなたが転職の相談相手に選ぶのはどんなタイプですか？ 転職を相談したい有名人は誰？ リクルートエージェントでは、転職を実現したビジネスパーソン4099人を対象に『第4回転職者世論調査』を行いました。転職活動全般にわたる、その時々の意識や行動を調査したもので、採用活動を行う企業にとっては、転職者の動向や意向を知るきっかけともなる調査です。今後4回にわたって、調査結果から見えてくる採用ノウハウをご紹介します。 ※実施期間／2005年11月24日～29日。対象／リクルートエージェントの登録者で、何らかの手段で転職を実現した4099名（回答者は1765名。回答率43%）。調査方式／Webによるアンケート エージェントには、転職活動中の登録者から様々なご相談が寄せられます。中でも意外に多いのが「妻に転職を反対された」「両親が転職に反対している」などで、しかもこれは「応募企業から内定通知を受け取りいよいよ入社日を待つばかりの段階にきて」ということが多く、身近な人にこそギリギリまで相談しない・できない、転職活動の実情が垣間見えます。 新天地に移る不安を、どんな人に相談をしてみたいか。その調査結果は以下の通りで、2位以下を大きく引き離し「誠実な人」が1位となりました。具体的な人物像は、25年ぶりに野球界でプレーイングマネージャーを勤めることとなったヤクルトスワローズの古田敦也氏。その理由として、以下のようなコメントが寄せられています。 古田敦也さんを選択した理由 ・人のことを一番に考えてくれそう ・的確な分析に基づいた回答が期待できる ・下の気持ちを理解し上とも有効な交渉ができそう ・意見に偏りがなさそう ・評論家でないから ・監督と選手を兼任できる担当範囲の広さが魅力だから ・お兄さんぽい 一昨年、選手会長として球界首脳陣との交渉をやり遂げた古田氏は、実にスマートで有能なビジネスパーソンである一面、優しさとユーモアを持ち合わせた兄貴的キャラクターで一気に注目を浴びました。彼が行ったのは、野球界の発展と選手が最大限に活躍できるフィールドを守ること。これまで上下関係でしかなかった球団と選手の間に立ち、粘り強く両者が納得いく合意を導き出しました。 「誠実」を辞書で牽くと「私利私欲をまじえず、真心をもって物事に対すること」。彼が交渉に臨んだ姿勢はまさにこれで、ある意味敵とも言える球界主脳陣からも認められたのは、彼の「誠実さ」によるものが大きかったのでしょう。選手、そしてプロ野球ファンからはもちろん圧倒的に支持され「彼に任せておけば大丈夫」という、揺るぎない信頼につながりました。 この一連の報道を見ていた多くの人々。「古田氏ならば相談者として適任」。「相談した本人の長所・短所を冷静に分析し、的確なアドバイスをしてくれそう。しかも優しさを持って」と、今回の調査で票を投じるのも自然です。 実はこの「誠実な人」は、面接場面で応募者が入社の意志を固める、非常に重要な要素でもあります。面接官の社会人としてのマナーや対応は当然のことですが、たとえば、面接官が会社のポジティブ情報だけでなく、現在の課題や取り組んでいることなど、ある意味ネガティブな情報を応募者に提供することで「企業側の誠意を感じ取り入社意欲を高める」ことが少なくありません。 たとえば「入社1年目の年収は下がるが、人事制度を改定中なので2年目にはこうなる」といった情報。「昨年の業績下方修正は、大々的な設備投資が背景になっている」といった説明。本来話しにくい情報を入社前にオープンにすることが、応募者の信頼獲得につながるケースが多いのです。「マイナス情報を隠さずオープンにしてくれた」ことが誠意、つまりプラス情報に変わり、双方が納得いく転職が成立するといった具合にです。 心のどこかに「入社してしまえばこっちのもの」という誠実さに欠けた心理があると、受け答えにも出てしまうもの。応募者はそのへんを敏感に察知します。古田敦也氏のスタンスを、ぜひ、採用場面にも応用してみてはいかがでしょうか。20代から40代までのどの年齢層からも1位に選ばれた彼の仕事に対する姿勢やキャラクターからは、実に学ぶところが多い気がします。 ちなみに同じ野球選手でもイチロー氏は7位の4.9%。「天才に私の気持ちを分かってもらえるか？」…。ちょっと遠い存在なのかもしれません。
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