建設・不動産業界-本格的な業績伸長で、ビル管・施工管でも未経験採用

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建設および不動産の求人需要から雇用の明日を占ってみます。

アベノミクスといえば、まずは金融が主軸となり、その金融が動けば不動産が動き、景気が回復するという流れを連想する人が多いと思います。現実はどうなっているのでしょうか?レポートはHRmics編集長の海老原嗣生です。※2013/12/05の記事です。

期待先行型で火が付いた求人ニーズ

この業界では、景気回復の兆しが現れるといっせいに求人に火が付くというよりも、小さな範囲でニーズが生まれ、それが燎原の火のように徐々に広がっていく。

最初に動いたのが、東日本大震災がらみの復興需要で、こちらは土木が中心となった。東北地区にベテラン技術者が赴任したため、その穴埋めとして、関東・関西を中心にした施工管理系の求人が急激に増えたのだ。

続いて、少子高齢化という社会情勢が、介護型マンションニーズに結びつき始める。昨年中盤には販売型、賃貸型、完全介護型、巡回型と、高齢者を対象とした、さまざまなバリエーションのマンションが生まれだし、それが新たな投資先として小金持ちを呼び込んで業界は急成長。結果、営業スタッフを中心とした求人が活発になった。

そして、昨年の今頃になると、久しぶりに政権の座についた自民党が公約としていた大規模金融緩和などで、先行き良好感が高まりつつあった。そうした思惑が、都心の大型再開発を後押ししたのだが、すでに主要ターミナル駅では開発が進んでいたために、スポットのように置き去りにされていた都心隣接駅、たとえば飯田橋、恵比寿、神田などでの中規模開発が進む。

今年の春先になると不動産投資が本格化し、外資系ファンドが再上陸。彼らが超大型案件として、ECを対象とした物流センターを次々と立ち上げ、今度はここが主戦場となっていく。

ここまでは、景気がよくなり、「次のあたり業界」を物色する投資筋が、期待先行のニーズに火をつけた形だろう。

政治エポックがニーズを広げる官製相場

こうした流れにアベノミクスの浸透と、東京オリンピック決定が重なり、またまた好調な波が頭をもたげ出しつつある。

まずは、不動産価格上昇を見込んだ個人投資家向けの投資用マンションが、久しぶりに業績好調となっている。さらに、現在は消費税増税前の駆け込み需要が重なるため、販売員を大幅に増やす企業が多い。

さて、ここで問題。こうした駆け込み需要で採用された人たちは、増税後、マンション売り上げが減少するから、仕事がなくなってしまうのか?

答はNOだ。実は、増税後は、住宅ローン控除の拡充(現状の2倍)、すまい給付金(購入時の一時金)制度などが適用され、結局、増税前と同等以上の条件で住宅購入が可能なのだ。

とすると、業界は増税前は駆け込み需要で、増税後は、「実は今の方がお得」というセールスができる。1997年の消費増税で不況を招いた経験から、政府はこうした買い替えサイクルが長い住宅や自動車に関しては、激変緩和措置を多重に講じているから、増税後、大幅に仕事が減ることはないだろう(自動車販売でも同じことがいえそうだ)。

このほかにも、東京オリンピックがらみでホテルの建設もしくは中古売買が増えている。先日も、東京ディズニーランド近辺の高級ホテルが国内最高値で取引されたことなどが、記憶に新しい。

さらには、戦略特区での容積率の緩和や、リノベーションに関する規制緩和などの話も漏れ伝えられるところであり、こうした期待が、都心の旧来物件の売買につながるなど、官製相場の感もある業績拡大が続いているといえるだろう。

ビルある限り求人が尽きないビル管理の仕事

さて、こうした業界全体の業績拡大に伴い、引く手あまたで採用難になっているのが、ビル管理と施工管理の経験者だ。

とりわけ増えているのがビル管理の求人だ。基本的には、電気系/電気工事士、消防/消防設備士・危険物取扱者、熱源系/ボイラー技士・冷凍機械保安責任者、管理系/ビル設備管理技士、通信系 アナログ・デジタル3種工事担任者などの資格が必要となるが、まずは見習いとしてアシスタント業務に携わり、その後、資格を取得するケースも多い。ただし、ビルや建設現場の規模によって、有資格者の必要数が決められており、こうしたアシスタントではその頭数が満たせないために、有資格者の獲得が激化することになる。

電気系ともなると、工業高校卒業以上の専門知識が必要となるために、まったくの門外漢がアシスタントから資格取得するのはハードルが高い。そこで、電気系の有資格者は不況期でさえ売り手市場となっており、この最上位資格にあたる「第3種電気主任技術者」は、隠れたプラチナパスといった状況だ。年齢や最終学歴など関係なく、いつでも転職が可能といえるだろう。

一方、比較的取得が容易なのがビル設備管理技士であり、こちらは、文系出身者でも2年の実務経験を経て、資格試験をパスする人も多い。ということで、ビル管理会社では、大学新卒者を大量に採用して、アシスタントに就け、ビル設備管理技士を目指させるケースが増えてきている。新設・増設系の工事は景況に左右されるところが大きいが、ビル管理に関しては、既存物件がある限り、需要は安定的だ。つまり、経済環境の展望が難しい現代では、ビル管理系の仕事に就き、資格を取るというのも、一つの保険になるといえるだろう。

専門職の施工管理まで未経験登用

もう一つの採用難職種である施工管理についても、ビル管理同様に未経験者採用を進める動きがにわかに広がりつつある。ビル管理同様、工事規模に伴う法定有資格者数が決められ、施工に関する専門的な知識が必要とされていたこの職種は、従来なら最低でも工業高校の建設・土木系の卒業者で有資格者を対象にしていた。それがどうして未経験者でも通用するようになっているのか。

理由はこうだ。この職務でもやはり、アシスタント的な業務がかなり多くあり、一通りの社内研修を積ませれば、未経験者でも就業可能になっているのだ。たとえば、建設現場で足場を組むためには簡易CADなどが使えなければならないが、こうしたことは集合研修で速習させる。その後に、作業現場で用品管理や雑用担当をしながら、たとえば、部分的な工事の進捗スケジュール作りやその管理を覚えさせ、頃合いを見計らって資格試験にチャレンジさせる、という流れを想定しているという。

ただし、こうした未経験者から施工管理者への道は、特定派遣事業主が用意をしており、直接雇用ではまだまだ茨の道のようだ。

技術者派遣でも、特定派遣は未経験者を大量採用して教育するのが得意だ。個別企業による直接雇用のハードルが高い日本では、未経験者の育成および登用には、特定派遣が向いているともいえるのだろう。


昨今の好況と少子化による若年労働者の減少により、企業は、未経験者の活用を真剣に考え始めた感がある。大手のショッピングモールのテナント管理やコンビニエンスストアのスーパーバイザーなどでも同じような動きが起きていることはすでにレポートをした(流通・サービス業界-人材活用の壁が崩れ、人物本位の採用が始まった)。

今しばらく好景気が続くことで、学校を出て社会人となってからも、多くの人が今までの道を捨てて新たな領域へと歩を進められるような社会が来るのではないか。

そうなるまで、頑張れ、日本!

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