採用や教育など人事関連の実務に追われて忙しい毎日の皆さまに、広くビジネス全体を知っていただく機会をご提供していきます。今回は金融業界です。HRmics編集長/海老原のレポートです。
生保の採用事情がここ数年大きく変わった事を皆さんはご存知だろうか?
一昔前なら、多数のセールスレディをそろえ、総合職社員が彼女らをまとめる、という形のステレオタイプな事業形態が、業界共通のスタイルだった。彼女らには契約金額に応じて、少なくないギャランティが支払われる。営業スタイルも、企業にこまめに足を運び、契約者のプライベート情報まで把握して、ハートを掴んで離さないという型が主流だった。
ところが、金融不況以降、倒産や予定利回りの低下など契約者に不利益が発生し、生保側も逆サヤが長く続くなど、「ハートとハートの営業」ではおぼつかないシビアな経営環境に突入。同時に、金融規制の撤廃で外資や損保の参入も増え、業界は合理性を軸に衣替えを強いられる事となった。
簡単にまとめるなら、現在は働く人の価値観によって、それ相応の働き方がある業界になったといえるだろう。
と4つの選択肢がありうる。1から順に「ハード」かつ「一攫千金」型であり、4はもっとも「プレッシャー少なく」「安定的」となる。
以下、4つのケースごとにどのような人がどう働くのかを見てみよう。
1のケースは、個人向け・法人向けともに外資系の生保に多く見られる。ストレスへの強さが重要なため、他業界出身者でも営業で業績を上げた人なら採用されるケースが多く、若年層の未経験者もハート次第で採用されることがある。
2は中堅国内系や外資系などが多く、中小企業の顧問先を多くもつ税理士や社労士などを代理店として、経営者の節税対策としての生命保険を売る。ノルマは厳しくはないが、税効果会計や返戻プランニングなどが出来できる必要があるため、保険知識や税務・数字勘などが必要となる。
3はカーディーラーや住宅メーカーなどを代理店とする。こうした分野は損保が浸透しているため、損保契約をしたついでに、生保も売ってもらう、という完全な代理店営業。完全な代理店営業だから、プレッシャーは少なく安定的当然、損保系の生保会社がその主流となる。
4は生保レディは卒業したが、事務では空き足りない営業ハートを持つ女性が応募するケースが多い。国内大手生保で新たなスタイルとして確立しつつある。
この業界は、社名のネーミングと企業系列が面白いように一致している。ひらがな系の者名→損保系生保、カタカナ系→外資系生保、漢字系→旧来生保といった具合だ。そして、このネーミングと1~4のワークスタイルがまた、かなり一致していたりもする。
「カタカナ系→12」「ひらがな系→3」「漢字系→24」。つまり稼ぎたいならカタカナ系(外資)へ、安定的ならひらがな系(損保系)、中庸なら旧来生保(漢字系)といったところだろう。
保険業界で働く場合、リスクとリターンの組み合わせで4通りの選択肢がある事が分かる。かなりの確率で自分が納得できる働き方が見つかるのではないだろうか。
さて、最後に人事的な観点から「不況期採用の鉄則」の話を書いてみたい。
前回の銀行・証券マンの転職では、ベテランのホール系が深い業界知識を持つ人間は、プライベート・エクイティファンドや中堅企業のCFOといった仕事へ転職するケースが多いと書いた。一方、若手で比較的キャリアが浅い人は、地道な対人営業が必要なMAコンサルやIRコンサルに転職するケースが増えている、ともレポートしている。この2つのケースが不況期の人材異動の典型例と思われる。要は、「ハイスペックでなかなか採用できなかったピンポイントの求人」と、「スペックはそれほど厳しくないが、採用予定枠が大きく、対人ストレスが伴いがちな職務のため、充足していなかった求人」。
図示するなら、下図の2つのスウィート・スポットが浮かび上がる。好況期に採り切れなかったこのスウィート・スポットを埋める事が出来るのが、不況期採用なのだろう。保険業界のケースでは、2~4は比較的応募者も多く、好景気でも決まりやすいニーズだが、1はやはり、プレッシャーが多いために、他の求人が沢山ある時期には応募者が集まりにくい。ところが、現在だとツワモノの経験者が採用出来たりしている。未経験もOKと謳えば、それこそ1~2年前ではありえないような優秀な人材が、数多く応募してくるという。この辺を念頭に、採用戦略を描いてみてはいかがだろう。不況は、長年悩みの種となっていた未充足求人を一気に埋める格好の時期なのだ。
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